ニンジャスレイヤー二次創作　【フレイムセスタス・トラッピング・フィッシング】

コセン・ニンジャ @kosn_ninja

【プロローグ】 #flmsst

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「…俺ァ、生きてんのか、神様？」フレイムセスタスは、倒壊寸前の廃ビルの中で目覚めた。フロアに散乱する瓦礫の山やデスクやUNIXを見て、彼はここがヨロシサン系列のビルである事を思い出す。そして、隣にいるはずの傭兵が、無残にも殺された事も同じく思い出した。 #flmsst

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エアナイフ。盗賊のようにがめつい女傭兵。旨みのない仕事には決して乗らないが、旨みさえあればその分の働きを、名前通りの短剣で確実に遂行した。フレイムセスタスにとって、そこが彼女の一番の魅力であったし、良い関係を築けていた数少ない仕事仲間の一人だった。#flmsst

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だが死んだ。爆発四散を見たわけではない。しかし彼女がいつも首に巻いていたスカーフがここに落ちているという事は、つまりはそういう事だ。フレイムセスタスは、スカーフをバンダナの要領で頭に巻きつけた。彼女の死の瞬間が蘇る。バイオインゴットの山を見つけて気が緩んだ時だ。 #flmsst

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アンプッシュ。雨の如く大量のカラテミサイル。防御は間に合わない。死を覚悟しハイクを叫ぼうとした時、目の前に青いニンジャ装束。エアナイフだ。彼女にカラテミサイル直撃。予期せぬ事態に驚愕した次の瞬間、カラテミサイルの余波でフレイムセスタスは吹き飛ばされた。そして暗転。 #flmsst

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「…情けねえ」フレイムセスタスは気に入らなかった。第一に、今回の仕事が失敗に終わった事。手に入るはずのバイオインゴットは失われ、サイゴン野郎に高額で売り捌く計画は崩れ去った。そして第二に、これが一番気に入らないことだが、エアナイフに庇われたことだ。 #flmsst

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彼女のおかげで、自分は生きている。それが一番気に入らない。どこかで野垂れ死んだならともかく、あいつに庇われた。自分の弱さ故に。カラテが無いが故に。途方もない屈辱だった。「ケジメは付けねえとな…」フレイムセスタスの両手にカトン・ジツ由来の炎が纏う。 #flmsst

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同時に、彼の黒いニンジャ装束に火の粉がまとわりつき始める。彼のジツは静かな、しかし激しい怒りと共に、カミソリめいて研ぎ澄まされていくようだった。深夜、天井無きヨロシサンフロアに重金属酸性雨が降り注ぐ。しかしフレイムセスタスのその炎は消えず、むしろより強く燃え盛る。#flmsst

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「イヤーッ！」力強いシャウトと共に、フレイムセスタスは夜の闇に消えた。彼の目的は唯一つ。卑劣なるアンプッシュ野郎を見つけ出し、殴り殺すことだ！ #flmsst

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【ニンジャスレイヤー二次創作　フレイムセスタス・トラッピング・フィッシング　#1】 #flmsst

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深夜のネオサイタマ港倉庫街。珍しく雲ひとつ無く、髑髏めいた満月が空に輝くこの夜に、リクルートスーツのニンジャがドゲザするヤクザを踏みつけていた。「ザッケンナコラー！俺は誰だか知ってんのか！？こんな端金で、テメッコラー！」ニンジャの名はコモンドック。 #flmsst

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彼は情報屋だ。それまでパッとしなかった彼は、ある時期を境にメキメキと実力を伸ばし、握った極秘情報によって数多くのヤクザクラン間のパワーバランスを担うまでになった。故にこうしてヤクザ相手に威張り倒しては、無意味な嗜虐に興じることも良くある事であり、それに躊躇はない。#flmsst

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「アイエエエ…本当に…本当にすんません…次こそは、この倍は持ってきますから」土下座するヤクザは、大金の入ったアタッシュケースを見た。彼のクランが非合法業務によって稼いだ汚いカネだ。「当たり前だ、クソが。次は無駄な時間をとらせるなよ」 #flmsst

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コモンドックはそう吐き捨てると、当然の権利のように大金の入ったアタッシュケースを持って、停めてあるタクシーに乗りこんだ。「行き先は？」帽子を目深に被ったタクシードライバーが聞いた。「あれを轢け」コモンドックはドゲサするヤクザを指さした。「俺の旧友を殺した」#flmsst

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「へえ、いつからのです？」「アバーッ！」僅かな衝撃と共に、フロントガラスに付いた血をワイパーで取りながら、運転手は聞いた。コモンドックは答えない。タクシーが倉庫街を抜け、大通りをしばらく走った後、彼は言った。 #flmsst

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「この稼業を始めたばかりの頃からの仕事仲間だ。あの頃は皆、何をやってもうまく行かなかった」街の明かりがタクシーを照らし、コモンドックの憂いた目がビル街を睨む。「そのうち仲間意識が芽生えるくらいにな…」「殺られたんで？」#flmsst

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「俺が殺したようなものだ、荒っぽいが良い奴だった…」その時、いきなりタクシーは路地裏の前に停まった。「なんだ？ここはまだ…」「その通り、お前が殺したようなものだ」運転手の声色が変わった。そして帽子を外すと、頭にバンダナを巻いた、鋼鉄メンポ姿の顔があらわになった。 #flmsst

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「ドーモ、コモンドック=サン。フレイムセスタスです」その目は怒りの極致に達している。「ドーモ、フレイムセスタス=サン。コモンドックです。生きていたのか！」フレイムセスタスは運転席を降りると、後部座席を開けてコモンドックの襟を掴み、薄暗い路地裏に引きずり込んだ。 #flmsst

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その後、壁に叩きつけてフックを一発決めた。「イヤーッ！」「グワーッ！」「テメエの情報だよなァ！何が『棚からオハギめいた大量のバイオインゴット』だ！」「俺もハメられたんだ！」血をボタボタ垂らしながら、コモンドックは言った。「ワカサギ・ヤクザクランの情報だ」 #flmsst

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「ワカサギ・ヤクザクラン？」「そうだ。あいつら、放棄されたヨロシサン系列ビルに大量のバイオインゴットが残されてるって情報を、あちこちに流してやがるんだ」フレイムセスタスは思った。そんなうまい話があるはず無い。「んで、そんなデタラメを信じて俺に仕事させたってわけか？」#flmsst

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「そうだ。情報の虚実の確認を含めて、あの報酬だ。けどまさか、こんな事に…」フレイムセスタスは重いボディブローを叩き込んだ。「イヤーッ！」「グワーッ！」「何年これで金食ってんだ？奴らの思うままになりやがって！」「…すまん」 #flmsst

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脳裏にあの時の出来事がフラッシュバックする。降り注ぐ大量のカラテミサイル。自分を庇ったエアナイフ。仕掛け人は不明。手がかりは、デタラメを流したワカサギ・ヤクザクランにある。（しかし、あの大量のカラテミサイル。並のニンジャではない）だが、思案している暇はなかった。 #flmsst

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（これはケジメだ）フレイムセスタスはコモンドックを放し、タクシーに向かう。「案内しろ」コモンドックはゴホゴホと咳き込んだ。「どこにいくんだ？」フレイムセスタスは、タクシーの鍵を壊しかけた車泥棒ヨタモノを殴り倒した。「決まってんだろ？ワカサギ・ヤクザクランだ」 #flmsst

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【フレイムセスタス・トラッピング・フィッシング　#2に続く】 #flmsst

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創作ニンジャ名鑑 【フレイムセスタス】 カトン・ジツ由来の炎を両拳に纏うニンジャ。ボックスカラテによる素早い連撃を得意とするが、スリケンの命中率は悪い。ナナツモノ同盟の一人。 #flmsst