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過去数十年分の名作が堆積している現代において、新しい映像作品を作る意味はあるのかどうかについて

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生命情報保存研究所 @rodan670

ケーブルテレビを見ていると、かなりの頻度でループ再生される作品と、めったに放送されることのない、あるいは一度たりとも放送されることのない作品との二極化が著しいことが分かる。主に前者は時代時代においてある程度一世を風靡し、人気があり、よって多くの視聴者が期待できる類のものであり

2016-10-18 13:10:35
生命情報保存研究所 @rodan670

これに対し後者はリアルタイムにおける放映当時からそこまで知られた存在と言うわけではなく、局側の気まぐれか、あるいは何らかの特集(共通の作者、テーマ、事象)などを組む際にどういうわけかまとめて引っかかったマイナー作ということになる

2016-10-18 13:12:42
生命情報保存研究所 @rodan670

前者の場合、特に長い年月を超えてシリーズ化されている作品群だと回収率が高い。単に幅広い世代において人気であるがゆえに、放映対象として選ばれやすいだけでなく、一旦その一部を放送しだすと、方や流れで、方や視聴者側からの「どうせならシリーズ全部放送してほしい」という要望のもと

2016-10-18 13:16:07
生命情報保存研究所 @rodan670

まとめて引きずり出されることとなる。長年のシリーズともなると、その中には今更現代人の前に晒すまでもない駄作や、時代遅れの代物も多く混入することとなるが、シリーズをまとめて放送しなくてはならない、あるいは見なければならない、という義務感にかられた

2016-10-18 13:18:04
生命情報保存研究所 @rodan670

局と視聴者の双方がこれを気にすることはない。仮にそれが、もしシリーズの枠組みに属していない単体の作品であれば、未来永劫、再放送にてあえて回収されることのないような代物であってでさえである。むしろ該当シリーズを好んでいるものたちであれば、そのような「キワモノ」へも愛着を感じ

2016-10-18 13:20:33
生命情報保存研究所 @rodan670

あるいはそのような己をマニアなる存在と認識するうれしさに、作品自体の面白さはさておき、視聴のための視聴を繰り返すかもしれない。 また作品自体がリアルタイムにてどれだけ多くの人間に認知されていたかもやはり重要な要素となる。

2016-10-18 13:22:40
生命情報保存研究所 @rodan670

例えばアニメ系の専門チャンネルの番組表をみるに、いまだに90年代の作品群が幅をきかせている。これは、当時その作品を子供の立場で見ていた視聴者層が、ケーブルテレビと契約するに足りる経済力を有する大人となったから、などという背景とは必ずしも一致しないものと思われる

2016-10-18 13:24:25
生命情報保存研究所 @rodan670

というのは、そのアニメ専門チャンネルの番組表が、10年程度前のそれとあまり代わりがないことによるものである。同チャンネルは00年代半ばにあっても、やはり同じような顔ぶれの、90年代ごろの作品を選り好んで放送している。

2016-10-18 13:27:30
生命情報保存研究所 @rodan670

これは結局のところ、90年代ごろまではアニメと言うものがまだ地上波のしかも夕方から夕食時に放映される事が多く、ゆえに多くの人間に認知され、局側が作品選択の際、最大公約数的により大規模な視聴者集団を確保できると期待しての結果であると考えられる。

2016-10-18 13:30:38
生命情報保存研究所 @rodan670

逆に、アニメ文化がより活性化したとされる00年代以降の作品群は、それとは裏腹に放映時間が深夜帯やBS放送に追いやられ、数も増加したために、放映したとして十分な視聴者が期待できないものも少なくなく、ゆえにリアルタイムで放映されたはいいもののCSではほんの1回かそこら回収されるだけ

2016-10-18 13:33:25
生命情報保存研究所 @rodan670

ひどければ一度たりとも再放送されないようなものも出てくることとなる。そうしているうちに日々新しいアニメ作品は製造され、傍らでは90年代ごろの作品がタイムライン上で幅を利かせ続けているわけだから、これらの作品が日の目を見る機会はますます少なくなる。

2016-10-18 13:34:37
生命情報保存研究所 @rodan670

そもそもある時代において、作品を目にする能力を有する視聴者の数は限定されている。人口が指数関数的に増加する人口爆発期ならともかく、日本においては人口はむしろ減っている。このなかでしかし創り出される作品は日々増え続け、回収率の格差も発生すれば

2016-10-18 13:37:06
生命情報保存研究所 @rodan670

リアルタイム放映時以外に人目につくことがない作品というものは、今後無視し得ない割合で生まれ始めるものと考えられる。 この時、人はあえて新しい作品を作る必要があるのだろうか。 例えば使い捨て覚悟でまったく新しい作品に労力や費用を投資するよりも

2016-10-18 13:38:46
生命情報保存研究所 @rodan670

すでに強靭な認知基盤を有している、シリーズ化された名作に集まり、シリーズ内での新作やスピンオフの製造に奔走すればどうなるか。シリーズ内の作品群はすべて放送したい、すべて視聴したいという人々の欲求を背景に、それらはめでたく未来永劫回収され続けていくこととなる。

2016-10-18 13:41:04
生命情報保存研究所 @rodan670

無論、過去の名作をかり、それをなぞるだけでは、クリエイターと呼ばれる人々の真なる欲求を満たすことはできないだろう。 作り手であるならば自分の個性を前面に出した、自分でなくては作れない作品を生み出せないならばすべての意欲を喪失してしまうかもしれない。

2016-10-18 13:45:04
生命情報保存研究所 @rodan670

しかしながら今後、創り出された作品の数が増え続け、かなりの名作でなければ以後の回収がままならないような時代が来るのであるとすれば、あえて共通の名作の一部となることと、それとも使い捨てられること覚悟で独自の色を紡いでいくことのどちらが幸福であるかについては議論が分かれることとなる

2016-10-18 13:53:07