• middlander
    http://bit.ly/gnMFdh こちらの考察をうけて、このところずっとマミさんのことを考えていた。ひとまとまりしたので、ここでぼくなりのマミさん考を述べておきたい。なんとなれば、目を閉じて真っ先に思い浮かぶ魔法少女といえば、ぼくにとってはマミさんであるので。
  • middlander
    象徴という観点から言えば、マミさんは「旧来的な魔法少女」の象徴である。変身ポーズ、多彩な技、必殺技といった要素に見られるように、彼女はこの作品で唯一「ファンタジックな魔法少女」を体現している。マミさんは可憐だ。
  • middlander
    では、マミさんはいかにして、このような魔法少女となりえたのか。世間ではこれを単なる彼女の趣味嗜好と見る向きがあるが、そうではない。彼女にはなるべくしてそうなった背景があり、マミさんの見せる魔法少女像とは、彼女自身の強い意思の現れに他ならない。
  • middlander
    マミさんは、登場人物中で唯一「もし魔法少女にならなかったら」という“if”の選択肢を持たない人物である。彼女はただ生きるために、魔法少女として契約せざるを得なかった。したがって、マミさんの魔法少女活動に対する考え方は、他の魔法少女とは一線を画す。
  • middlander
    “if”のある魔法少女たちにとって、魔法少女活動とは単なる願いの代償行為でしかない。ゆえにそれは、そこに何らかの合理化を求めるにせよ、いかに「折り合いをつけて」「共存して」今後の人生を歩んでいくか、という対象として捉えられることになる。
  • middlander
    こうした魔法少女観は、さやかや杏子に強く見られるものであるし、恐らく登場しなかった多くの魔法少女も同様だったのではないかと思われる。ほむほむは死刑執行中脱獄進行中みたいなことになってしまったが、やはり魔法少女活動そのものには意義を見出していない。まどかはさすがに論外だけど。
  • middlander
    一方で、マミさんは契約によって生き延びたことで、その後の人生が一変してしまった。もはや両親の姿はなく彼女たった独り、残されたものは魔法少女活動のみである。この大きな非連続性に直面した幼い少女が、魔法少女活動にこそ生きる意義を見出したであろうことは容易に想像できる。
  • middlander
    ここにマミさんの孤独がある。彼女にとって『魔法少女』とは結果ではなく目的なのである。それゆえ、その価値観を共有することは、同じ魔法少女でさえ容易なことではない。第3話でのまどかの告白がマミさんにとってどれほど大きなものであったか、想像するに余りあるだろう。
  • middlander
    だから、みんなマミさんを厨二病だのマミリッシュだのといじめるが、そうではない。「フィクションとしての魔法少女」があちらの世界にも存在することは、マミさんと対面したまどかとさやかのリアクションからも伺える。彼女はまさに、そうした存在になろうとしたのだ。
  • middlander
    そのような『魔法少女』は、例えば魔女を淡々と撃滅するゴミ処理屋としての実態を超えて、人々に希望をもたらす存在であるはずだ。ゆえに魔法少女を目的化したマミさんは、それらをロールモデルとして自身が『魔法少女』の体現となるべく努めたのだろう。
  • middlander
    マミさんの魔法の多彩さに、その努力の跡が見られる。想像でしかないが、恐らくこれらは先天的なものではない。願いの大きさに比例するパワーではなく、テクニックの領域だからだ。その中に“守る”魔法があることに、マミさんの魔法少女観が現れていると言える。マミさんは努力家だ。
  • middlander
    だから、みんなマミさんを発狂キャラだの豆腐マインドだのといじめるが、そうではない。マミさんほど魔法少女というものに大きく直面し、その難問を考え込んだ者はいないのだ。その上で彼女は、単なるゴミ処理屋ではない『魔法少女』になろうと決意し、それを遂行しているのである。
  • middlander
    マミさんの精神は薄弱ではない。彼女は“人”には優しいが、“魔法少女”には案外厳しい。過去のループや改変後世界で、マミさんが仲間に向ける冷静な、時に冷酷な言動にそれが見て取れる。結局のところ、魔法少女にハッピーエンドが訪れないことを、一方で彼女はよく知っている。マミさんは賢明だ。
  • middlander
    特に発狂ループの回でこそ、むしろマミさんの強固な意思が垣間見られる。人生の目的としていたものが目の前で崩れさったとき、彼女はただ放心して泣き崩れたりはしていない。魔女の元となる魔法少女を根絶するという行動は、あの時点では恐ろしく合理的でクレバーな選択である。
  • middlander
    また、最初にほむほむが種明かしをした際にも、マミさんはやけに実地的な提案をして場を収めている。一見ちょっと空気読めてない感じもするが、実際問題として魔法少女活動は覆しようなく続くのだし、今後も円滑に活動を続けるには最良の選択である。事実、彼女たちは共闘を続けられている。
  • middlander
    その後さやかが魔女化するまで、恐らくQBは姿をくらましていただろう。この間、マミさんはこの事実について考え抜いていたはずであり、それがあの迅速な行動に繋がったのだろうと考えられる。まどかをフリーにした理由も色々と想像できる。マミさんは不憫だ。
  • middlander
    そして「旧来的な魔法少女」の象徴であるがゆえに、マミさんはマミられねばならなかった。かねてより喧伝されていたように、この作品は「新しい魔法少女モノ」であり、「ここから先は普通の魔法少女モノじゃないよ」という視聴者へのメッセージとして、彼女の退場は用意されていたのだろう。
  • middlander
    また「新しい魔法少女モノ」であるがゆえに、マミさんは終盤にかけてフェードアウトせねばならなかった。この作品において魔法少女とは、その活動ではなく、その願いと葛藤に価値がある。マミさんは契約が必然的であったため、他の魔法少女のような類の葛藤は持ち得ないのだ。
  • middlander
    とはいえ、マミさんはそこまで無下にされているわけではない。それどころか、かなり“愛されている”キャラクターなのではないかと思う。まどかやさやかにはマミさんの教えが息づいていたし、アクションシーンにも気合が入っていた。それと第4話はやはり、マミさんの追悼であるのだと思う。
  • middlander
    そして何より、まどかの願いによってこそ、マミさんは報われたのである。少なくとも、彼女は最期まで魔法少女たりえるようになったのだから。これ以上の救いがあるだろうか。マミさんは報われたのだ。ぼくは嬉しい。
  • middlander
    以上をもってマミさん考とし、筆を置くとする。可憐で、努力家で、賢明で、不憫なときもあったけど報われた魔法少女。『魔法少女』に懸命な魔法少女。それが巴マミというひとりの女の子の、本当の姿である。そんなマミさんの理解者が少しでも増えるなら、それはとっても嬉しいなって。(終)
  • middlander
    (補)録画とかしていない(というかテレビがない)ので、細かい部分の記憶違いからミスリードしている可能性があります。その場合は笑って見過ごしていただくか、ご指摘いただければ幸いです。
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コメント

  • sagara1
    読むとマミさんが大幅に好きになる、いい考察。マミさん、可憐。努力家。賢明で懸命。「彼女にとって『魔法少女』とは結果ではなく目的なのである」「彼女は“人”には優しいが、“魔法少女”には案外厳しい」「まどかの願いによってこそ、マミさんは報われたのである。少なくとも、彼女は最期まで魔法少女たりえるようになったのだから」がいいなぁ。  あと、「ほむほむは死刑執行中脱獄進行中」で脳裏に荒木画のほむほむが浮かんで笑えて楽しかった。
  • sagara1
    ただ「魔女の元となる魔法少女を根絶するという行動」を「合理的でクレバー」というには、あの場に(この街に限らない)全ての魔法少女がいないと前提がおかしいかな。あれはやはり、「良き「旧来の魔法少女」であろうと全身全霊を傾けていたマミさんだからこそ、どうしても耐えられず発狂した」ということでは。で、この論で「だからこそ」の部分はよく説明されているので、それを考慮せず「豆腐メンタル」と断罪するのは確かにとても不当なんでしょうね。
  • middlander
    確かによくよく考えてみれば「合理的」ではないですね…。というわけでぼくとしては、あれはマミさんにとって「『魔法少女』としての最後の仕事」であったのだとしたいと思います。
  • next_nanana
    これで中学生だから凄いよなぁ(胸を見ながら)
  • homusora
    いい考察でした。もう一つ、まどかは最終的にああいう決断を下したわけですが「旧来の魔法少女」までは否定していない。2話でQBとマミさんが語った「魔法少女は希望を振りまく存在」を実現させたのがまどかの決断なのではないかと。そこにマミさんの影響は少なからずあるでしょう。
  • homusora
    まどかは3話のマミる姿を見て4話でマミさんのマンションにノートを置いて行った。だけども最終話で魔法少女になると決めた際、マミさんから返してもらってる。後は8話ごろまで「シャルロッテを殺してマミさん救済」というIFネタが見受けられましたが、そのシャルロッテもまた魔法少女だった。その構造の無情さもありますね。
  • Six315
    面白かったです。とすると、ほむほむ種明かし→さやか魔女化の期間、マミさんは1人ぼっちで悩んでたんだろうなあ。「一番年長の自分が動揺したら、4人の共闘関係が崩れてしまう!」なんて考えて、誰にも相談できなかったんじゃないかしら。マミさんに同輩がいたら(それこそ杏子が共闘関係の中に入っていたら)、もう少し未来は変わっていたのかも。
  • sagara1
    なるほど、まどか魔法少女化のすぐ後に(そのループで魔女化せずに消滅していた)マミさんと杏子が現れ、まどかの"(マミさんが代表する旧来の)魔法少女への夢と希望と憧れが詰まったノート"を返した意味って、この考察踏まえるとすごく感慨深いですね。
  • sagara1
    「3話のマミる姿を見て4話でマミさんのマンションにノートを置いて行った」経緯も考えると尚更か。マミさんがまどかに救われた一方、そのまどかの決断にとってもマミさんの影響は大きかったんだなぁ。マミさん、立派だ。
  • mochi_arisa
    3話や10話の発狂ループは、むしろ素が出たと解釈しました。 平時は賢明で先輩らしい態度を見せるマミが、「泣いてばかり」「死ぬしかないじゃない」と漏らす所に、意味があるように思います。 1話から3話のほむらへの態度など、細かい所を見ると実は余裕がない様子が透けて見せます。余裕が無いのは気性もあるものの思春期だからでしょう
  • mochi_arisa
    マミが『魔法少女』たろうとすること、良き先輩たろうとすることこそが、その弱さの裏返しであり、いじらしさでもあると思います。そして、『魔法少女』に希望を託し、寄りかからざるを得ないがゆえに、そこでの希望が折れたときにスコンと倒れてしまうのが10話発狂ループであろうかと。
  • mochi_arisa
    こうして見ると、まどかとさやかは、共にマミから影響を受けつつも、その後が対照的で面白い。マミのほぼ表面だけを見、ある意味10話マミと同じような心の折れ方をするさやかと、マミ本音に触れたり、4話の挫折を経たうえで、自ら深く考える機会を得て精神的に強くなるまどか。
  • mochi_arisa
    まあでも、愛されてると思うんですよ、豆腐もマミリッシュもひっくるめて。
  • middlander
    @chekisora うわー、そうか。ノートは「希望としての魔法少女」を象徴するキーアイテムなのか。言われてみれば自明ですね、ここに思い至らなかったとは何たる片手落ち…。素晴らしい着想です。
  • M_tusima
    素晴らしい考察ありがとうございました。思えば「巴マミ」というネーミング自体「魔法の天使クリィーミーマミ」へのオマージュかもしれませんね。東映系の「魔女っ子」からぴえろ系「魔法少女」へと世代交代した当時の象徴的作品です。
  • exia_mof
    (´;ω;`)マミスキーとして嬉しい
  • kei_toriumi
    素敵な考察をありがとうございました!前々からマミさんは努力家だなぁと思っていたのですが(変身シーンとか)、他にもいろいろマミさんの素敵な面を発見できて良かったです。マミさん可愛いですよね!
  • mami_m_a
    ありがとう。 最終回の「円環の理」のくだりで私完全に小物に成り下がってたから、 ルールが変わったこの期に及んでまで、 劇中の魔法少女の中で私だけが「魔法少女であることに諦めた大人の姿勢」を崩せなかったからね。 でも、こんな風にちゃんとみてくれてた人がいて嬉しいわ。 私なりの考えを付け加えさせてもらえると、 私が過剰なまでに「魔法少女」なのは、 「助けて」という祈りで契約したから、祈りによる特有魔力 (美樹さんの癒しや暁美さんの時間操作) が、「助ける」こと、つまり「テレビヒロインのような魔法少女であるこ
  • mami_m_a
    「助ける」こと、つまり「テレビヒロインのような魔法少女であること」になったからなんじゃないかと思ってるの。 ただ、私自身もそれが自分の意思なのか、呪いなのかわかっていないのではないか、と。 あと余談だけど、体型については魔法少女になる以前の幼いころは物凄く体が弱くて、小学生の時に病気で3年くらい留年(?)してたのかもね。
  • its_out_of_tune
    結論:マミさんマミマミ
  • suneo3476Pro
    読むと自分の考察の足りなさが分かる。私のマミさんに対する惜情の原因が分かった。
  • asakawamari
    マミさんが、少なくとも作中描写だけで救われたというのは違和感があります。勿論、彼女が救われるのは魔法少女としての自分を肯定される場合に限りますが、結局のところ自分の弱い部分を受け止めて、成長する契機を失っているわけですから。
  • asakawamari
    ちょっと補足ですが、彼女は前提が違って、縄張り争いという現実を前に他の魔法少女を排除?して、一人で見滝原の狩り場を維持していたという事実がありますね。この際、他の子が使い魔を見逃すのもある程度知っていたでしょう。この部分の設定を突っ込んで考えると、彼女にとって残酷な推論も出来ます。
  • asakawamari
    個人的にマミさんを見ていて辛いのは、彼女にだけは根拠がない点ですね。小さい頃から魔法少女以外の生き方が出来ない、それを通すために宇宙生物の価値観に染まらざるをえない。そして生きているだけで十分という願いの性質上、願いに向きあうことも出来ない。生き方自体を肯定するしか無いわけです。
  • asakawamari
    もう一つ。改変後の世界では、おそらくエネルギー回収効率は落ちており、魔法少女の犠牲は増え、民間人に呪いは一律に押し付けられているでしょうから、システム内部で踏ん張っていたマミさんの努力は結果として浮き上がった形になるのでは、という気もしました。
  • odakin
    1話で脱落しマミさんぴくぴくから再開した私ではあるがこれはなかなか
  • joyride1969
    この考察読むとマミさんがもっと好きになる♡
  • Tshirauma
    マミさんは公式でも厨二病になりつつありますな・・・。でもそれがよい。
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