映画表現において感動とは何か? ――『見えないほどの遠くの空を』公開前日に思う。 - Togetter
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> 映画表現において感動とは何か? ――『見えない..
2011/06/10 23:51:45
カルチャー
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見えないほどの遠くの空を
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映画表現において感動とは何か? ――『見えないほどの遠くの空を』公開前日に思う。
まとめました。
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chimumu
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1.サラリーマン時代からの課題であった映画の観客にとって「感動とは何か」ということについて連投します。
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chimumu
2011/06/10 23:22:09
2.映画とは娯楽か芸術かという議論は時々勃発するのであるが、まあ、両方であると考えればいいんじゃないかな。
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chimumu
2011/06/10 23:22:29
3.アメリカでは低所得者の娯楽として映画が発展し、やがて、物語を映像で語る技法が発展していく。ヨーロッパでは1920年代に映画の芸術運動が起こり、仏ではシュールレアリズム、独では表現主義が盛んになった。が、シュールレアリズムはその後、トーキー化と同時に火が消える。
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chimumu
2011/06/10 23:23:26
4.一方のドイツ表現主義はアメリカに渡って、サスペンスの技法として強い影響を残すことになる。ドイツ表現主義の流れをみていくと、芸術運動が娯楽と融合していく様子がわかるはずだが、これは専門家にまかせる。では、娯楽としての映画に観客が求めるものは一体何なのか?
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chimumu
2011/06/10 23:23:56
5.ここで面白いデーターを紹介しよう。いま読んでいる「フランス映画どこへ行く」(林瑞絵著)の中に<フランス人は異様なコメディ好き>というコラムがある。この中で、フランス人の圧倒的なコメディ好きを紹介しているが、同時に浮かび上がるのが、日本人の“感動好き”である。
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chimumu
2011/06/10 23:24:48
6.邦画の宣伝マンは、映画を観た後で観客に呼び起こされる感情を二分することが多い。“泣き”か“笑い”かである。これに娯楽としての“恐怖”、そしてエロチシズムが感情のサブジャンルとしてあると考えていいだろう。そして断然宣伝しやすいのが“泣き”に落とすことだという。
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chimumu
2011/06/10 23:25:41
7.このように映画を見おわった後、観客に残る感情を“お持ち帰りの感情”と呼んだ奴がいる。実は、サラリーマン時代の俺です。そして、こういう映画は動員力が強い。故に、その映画の“お持ち帰りの感情というのは何か”を、宣伝や興行マンは意識した方がいいと言ってきたのである。
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chimumu
2011/06/10 23:26:32
8.では、このように、“泣く”にブレイクダウンされた感情は何によってもたらされるか。その大きな部分を担うのは通常は物語だ。物語が観客を巻き込んで、うねり、「さあお泣きなさい」という場所まで連れて行ければ、観客は心地よく泣いて「この映画に金を払ったのは正解だった」と思うだろう。
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chimumu
2011/06/10 23:29:15
9.まあ、ここまでは、多少の異論はあるが、娯楽映画としてはあるべき姿とも言える。ところが、最近、俺がよくわからないのは、物語の吸引力もさほどないのに、観客が映画の中の“泣き要素”を見つけて、自分で感情のスウィッチを入れて泣いてしまうような状況が生まれつつあることだ。
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chimumu
2011/06/10 23:31:19
10.これは“泣き”というフィールドで映画マーケットが“萌え”化しているということである。猫耳に萌える。そのこと自体に理由はない。それが萌え要素だからだ。母と子が再会して、涙ながらに語ってる、そこにいい音楽。お、これ“泣き要素”だな、泣こう! となっているのではないか。
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chimumu
2011/06/10 23:32:18
11.そして、一体なぜそんなに泣きたいのかという疑問もある。日常では人は泣きたくない、笑っていたいはずだ。しかし人は映画館に泣きに行っているようだ、なぜか?
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chimumu
2011/06/10 23:34:21
12.こう考えてみよう。複雑な現代社会を生きていると、人の感情も複雑に堅く強張っていく。この強張った感情を嘘でもいいからどっと泣いて弛緩させる。その為に映画を観よう。だから、宣伝は「泣けます」の方向に映画を引っ張っていく。これを僕は感情のマッサージ産業としての映画ビジネスと呼ぶ。
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chimumu
2011/06/10 23:35:21
13.このような“泣き”の需要に向かって映画が作られる。そして、“泣き要素”を適当に配置しておく。あとは観客が勝手に映画を解釈して泣く。極端ないい方をするとこのようなポストモダン的とでもいうべき鑑賞態度がじわじわ広がっているのではないか。
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chimumu
2011/06/10 23:35:47
14.が、一方で、そのような複雑な感情は、そんな単純なもので本当にもみほぐせるのかという疑問も湧く。これは日本映画大学で社会学と韓国語を教えている韓東賢(ハン・トンヒョン)さんからの問題提起だ。
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chimumu
2011/06/10 23:38:57
15.韓さんは在日朝鮮人だから、この日本を生きる複雑性は僕よりも断然高い、そんな風に泣いてみたからって、私の心はちっとももみほぐされねえよ、という意見ももっともだ。
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chimumu
2011/06/10 23:39:45
16.が、とりあえずこう考えてみたい。情報化社会の中で僕らは絶えず押し寄せてくる情報を、瞬時に<取るか/見送るか>の決断に迫られる。じっくり考えたり味わったりする暇はない。その時、人は大抵、味わいが単純なものを選び、複雑なものを捨てる方向に流れていく。
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chimumu
2011/06/10 23:40:57
17.しかし、表現という視点からみればこれは一体どういうことなのか。泣けるように物語を作ることは、それは可能だろう。しかし、その意味はなんだ? 自分を必死になって育ててくれた母ちゃんが死んだ。悲しい。それは、まあそうだろうが、それって「表現」だろうか。
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chimumu
2011/06/10 23:41:27
18.一方、複雑で繊細な感情を紡ぎ出すには、あまり濃厚な物語は不要、むしろ邪魔だという人もいる。むしろ静かな物語で人間のきめ細かい感情をじっくり描くことが大事なんだ、と。これが日本映画の“良質な伝統”であった。これが海外における日本映画のイメージ(黒澤明を除く)として残った。
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chimumu
2011/06/10 23:42:04
19.しかし、このことが日本映画を束縛した気も俺はするのだ。確かに、物語にドライブをかけると、シンプルで力強い物語の濃密さの中で、淡く複雑な感情がかすんでしまうということも起こりえる。そこは非常に難しい。
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chimumu
2011/06/10 23:42:33
20.しかし、物語がないと映画の素朴な面白さは下降する。宣伝力が弱いインディペンデントは物語の力を上げ、面白さの強度を上げるべきだ。そして、その中で複雑な感情を炙り出すことにもチャレンジするのがまっとうな道ではないか?『トーク・トゥ・ハー』(P・アルモドバル)を見よ。
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chimumu
2011/06/10 23:43:25
21.物語の力を使って動員する。そして同時にそれを裏切りつつ、めんくらった観客を必死に追走させ、思いも寄らないところに連れていく。最後にたどり着く風景に観客は「うわっ」「ありゃ」となるかも知れないが……。しかし、それを「感動」と呼んでくれる観客がいてくれれば本当に素晴らしい。
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chimumu
2011/06/10 23:46:18
22.などと思いつつ撮った『見えないほどの遠くの空を』がいよいよ明日から上映が始まります。午前10時10分より舞台挨拶あり。ヒューマントラストシネマ渋谷にてお待ちしています。
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chimumu
2011/06/10 23:47:21
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映画監督見習い。映画プロデューサー。シナリオライター、シナリオアナリスト、プロジェクトのコンサルタントなども。初監督作品『見えないほどの遠くの空を』(出演:森岡龍 岡本奈月 渡辺大知他)が全国をぼちぼち公開中。次作長編を準備中。興味のある人は連絡下さい。chimumu59@gmail.com
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