• dengeki_miki
    昔、『YAIBA』という漫画がありました。ものすごい名作なわけですが、そのワンシーンで、主人公のヤイバ君が、目標を見失い落ち込んでいたケロ吉(カッパ)に伝えた名言があります。『あのなーケロ吉、夢ってのはなかなか叶わないから夢ってんだよ』と。
  • dengeki_miki
    自分の中ではこの言葉がとても気に入ってまして、夢……というか目標は、決して叶わないくらいのところに据え置いたほうが、一杯頑張れるよ!という個人的な「目標立て」のお話です。
  • dengeki_miki
    僕が編集者になった時からの目標であった、ある凄腕編集者さんがいます。他社(もちろん大手出版社)の先輩なのですが、知識、閃き、空間掌握術、すべてにおいて叶わない、と思わせるほどの行動と結果を示していた人で、僕の目標でもあった人です。
  • dengeki_miki
    それがとある時に、「客観的な評価」でその編集者さんを乗り越えた瞬間がありました。決して叶わない夢が実現したのです。そのとき、自分はどう思ったか。狂喜乱舞した……わけではなく、喜ぶどころか周りが見えなくなって、足が震えて立てなくなって、精神的な燃えカス状態になりました。
  • dengeki_miki
    いわゆる「ガス欠」ってやつです。達成した瞬間に、魂を抜かれてしまったのです。しかし、世の中は、そんな個人的な事情なんてどうでもいいわけで、市場は普通にまわっていきます。
  • dengeki_miki
    燃えカスになったとしても、当然「じゃあここで終わり!」とリタイヤなんてできるわけもなく、まだまだ先はあって、これからも頑張って電撃文庫を盛り上げていかねばなりません。当たり前なのですが…それくらい夢だったのです。
  • dengeki_miki
    思うこととしては、いつ自分はその人を「乗り越えた」んだろう。自分は頑張っているつもりだけど、ゲームでいうところのクラスチェンジを果たした!みたいな革新的な成長をした記憶はまったくありません。せめて「よーしこれくらいのレベルなら!」と気持ちを整理して挑みたかった…! 
  • dengeki_miki
    準備してないとマジで心臓に悪いです。あれは。ただ、(僕みたいな矮小なケースは置いておいても)それっぽいことは世界各地で起こっているのでは、とも感じました。
  • dengeki_miki
    ものすごく話は壮大になって飛びまくるのですが、たとえば、18世紀のイギリスにいた技師や工場の機械工たちは、当時の人は誰も、「俺たち、いま産業革命やってるぜ~! へいへい!」と思って仕事をしていません。
  • dengeki_miki
    ピカソだって「俺、いま『青の時代』の絵を描いてるぜ~!」と思ってキャンパスに向かっていません。すべて後世に、識者たちが勝手に付けたネーミングなだけで、当事者はそのときただがむしゃらに頑張っていて、「後から考えるとあのときが『きっかけ』なんだな」とぼんやり思い起こすのだと思います。
  • dengeki_miki
    つまり「いまここで凄いことやってるぜ! おらおら!」みたいに考えず、普段通り夢を目指して邁進していたら、気づけばその夢を追い抜いてて、「あ、あれ? 俺いまなんでこんなとこに!?!」ということが、「達成」なのではないかと思うのです。
  • dengeki_miki
    志望大学に受かるとか、希望したところに内定する、とかわかりやすい指針がある場合は別です。そして、その「達成」というのは、ゴールではないことも重要です。そこはただの通過点で、折り返し地点ですらないのです。そこに到達してからも続けていくこと、そこで新しく始まることが、重要なのでした。
  • dengeki_miki
    そんな僕が言えることは(偉そう…)、作家さんを目指す皆さんは、デビューすることを夢にしないでください。イラストレーターさんなら、小説の挿絵、ゲームの原画、商業の依頼が来ることを夢にしないでください。
  • dengeki_miki
    これから、もっと手強い市場という世界で頑張っていかねばなりません。デビューはスポーツゲームのリザルト画面に表示された評価や結果ではなく、フルマラソンのスタートピストルの号令です。
  • dengeki_miki
    そして、すでにデビューしている作家さんは、今までの自分、そしてこれからの自分もやることは同じでいつもの通りに小説を書いていたのに、突然想像の域を超えた「客観的評価」を受けることがあります。それは予期できず、本当に面食らってしまうはずです。
  • dengeki_miki
    そんなとき、ビックリして足踏みしてしまわないように、なるべく大きく、なかなか叶わない夢を持っておくと良いかもしれません。というわけで、みんなでなかなか叶わない夢を持って、頑張りましょう!
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コメント

  • nattosansai
    女子サッカーワールドカップに、なんだか寂しさを覚えてしまったのはこういうことだろうか。 彼女たちは「次の目標を持てるだろうか?」と思ってしまった。 いや邪推なんだろうけど
  • Josui_Do
    帰国後の会見で澤さんも佐々木監督も「次の目標はロンドン五輪の金メダル」と宣言されてますから大丈夫、杞憂ですよ。
  • dogmuse00
    今まさに (というか二年前からずっと) こういう状態なので、イタイイタイイタイ痛いほどよくわかる。
  • silver__dangan
    syrup16gに夢っていう曲があってね(以下略)
  • nexxas
    なんだろう。井の中の蛙大海を知らず的な思い違いも感じるけど、まぁ人それぞれでしょう。目標は常にバージョンアップ出来なといかん、と思います。
  • SF_yomi
    ビルゲイツや、ジョブスは、今俺凄い事やってるぜ、まだまだだけどな! って生きてると思う。堀江もんは凄くないのに、そんな風に勘違いしてたし、孫さんは、凄いぜって言えば儲かる事を知っていた。なんて風に思うんだよね。
  • SF_yomi
    W3Cがワールドワイドウェッブやってたのも、これが普及したら凄いぜ!!って思ってたのが明らかだと思うし、TCP/IPの人達もそういう熱意みたいな物有ったと思うし。 
  • SF_yomi
    だから、産業革命の人ってボチボチやって無いんじゃね? そういう解釈は、三木みたいに、ボチボチ生きてるからじゃね? と思うんだけど。
  • SF_yomi
    三木さんが担当するラノベって、面白いけどコクが無いんだよね。多分だけど、三木さんのこの辺に原因が有ると思うんだ。
  • aisakiyuji
    夢を持つならデビューなんて小さい夢じゃなくて、何百万部も売る人気作家になるとか、もっと大きい夢を持てということか
  • rio4649
    割と本気で世界征服という夢があるんだが、これを惜しげもなく晒した企業からはもれなく祈られたんだよねー
  • hisa_t_side
    これは、作家・絵師界隈じゃなくて全体的に言えることだよなーと。 そういえば、高校入学、大学入学、就職はいずれも成し遂げた時に燃え尽きて怠惰になった覚えがあるわ。
  • urushizawa_t
    「燃え尽き症候群」ってありましたねー
  • numanyan
    不文律的な内容で、了解の範囲の中の事ですが、ちゃんと文面に起こして頂けた事でより納得が出来ました。でも、目標についてはどうかな、まだ上は果てしなくあるという常套句的展開以外にも、目標だった人に刺し返されて「やっぱり凄い…!」って感動する事だってあり得るじゃないですか。そこにいるうちは、終わらないですよ。まだまだ追いかけっこは続きます。お終いは、席を立った時。その時まで燃え尽きは取っておきません?
  • minhelxx
    個人的には夢は寝て見ろって感じ。起きているときはその時の自分の一番の欲望に忠実に生きればいいかと。重要なのは欲望の強さ。でも途中で気が変わったらやめてもいいし。夢に縛られると叶っても挫折しても辛い。
  • 13gou
    自分に満足したら終わり。
  • o_mina564
    高校、大学に受かった人が皆が皆燃え尽きたわけではないように夢目標が達成したからといって燃え尽きるのは人それぞれだと思う。デビューすることを夢にした人でも引き続き燃え盛っていい作品書いてる人は多いんじゃない?
  • o_mina564
    まぁある立場になるそれ自体を目標にした人と、ある立場になった後のやりたいことが目標の人とでは後者が圧倒的にいい仕事をするのは間違いないけどさ…総理大臣にただなりたい人より、ある仕事を成し遂げたいがために総理大臣になった人とでは、仕事に対する覚悟も成果も全然違うからなぁ
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