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    性的虐待・性的搾取の被害に遭った子どものケアを考える上で、精神病の問題を外す事はできません。そして、精神病には、病識のない患者はもとより、病識もあってかつ投薬治療を受けている患者ですらも自覚がない事が多い、ある特徴があります。
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     まず、頭の病気を理解するためには、正常な人間の行動関する理解が必要です。人間は何かをする時に、記憶を参照しながら将来の行動計画を立てます。この記憶とは、自分自身の体験である場合もありますし、過去に読んだことのある書物や聞いたことのある音楽の歌詞という場合もあります。
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     次に、何かをしようとする時は、成功を前提に行動しているので、失敗の記憶、負の記憶を思い出していたら話にならないので、それらの記憶にはブロックがかかります。あるいは、その反対に、どう考えても成功の見込みがない場合は、成功するかも知れないという確信や期待感にブロックがかかります。
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     ところが、頭が病んでくると、この記憶をブロックする機能にほころびが生じてきます。一例として、家から外に出るという一連の行動で、記憶のブロック作業についての説明をしてみます。
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     普通の人間は、家から外に出て会社に行くなり遊びに行くなりする際に、何も考えないか外に出たらすべきことを想定しながら行動します。ですから、問題なく家から外に出ることができます。つまり、「家を出て酷い目にあった」という記憶がブロックされているので、行動に迷いがありません。
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     ところが、この「嫌な記憶をブロックする機能」が壊れていると、いざ「外出しよう」と思った瞬間から、記憶の目録の中で「外出した時に酷い目にあった時の記憶」も引っ張り出してきてしまいます。たとえば、外出して転んだとか、外出して不良に絡まれた、などです。
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    そうすると、もう家から外に出るという行為が嫌で嫌でたまらなくなります。怖い、汚いなどの不快な感情と、外出という行為が結びついてしまうからです。この程度が強いと、もうその人は家から出られなくなってしまい、引きこもりになってしまいます。
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    このように、記憶のブロック機能が壊れた状態で人間は平常の精神を保てません。何か行動を起こそうとするたびに記憶を参照して将来の行動計画をたてるのが脳の機能なので、そこが壊れている段階で、何かをしようとする度に嫌な思い出が蘇ってきて悶絶することになります。
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    この苦痛は想像を絶するものです。
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     そこで、記憶のブロック機能が壊れた人間は、こうした苦痛を回避するために、様々な心理的回避機能を形成しようとします。一番ありがちなのは「こんなに苦しいのは自分のせいだ」と自分を責めることで、これを一般に鬱病と呼びます。
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    二番目にありがちなのは「こんなに苦しいのは周囲の人間が悪いのだ」と他人のせいにすることで、これを「被害妄想」とか「統合失調症」と呼びます。
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    この2つはコインの裏表の関係で、よく話を聞いていると、鬱病診断された人間が苦痛を他人のせいにしたり、逆に統合失調症の人間が自責の念に駆られていたりするケースは結構あります。
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    また、特定の行為、例えば家の鍵を閉めているかどうか「だけ」が気になったり、手が清潔かどうか「だけ」が気になって、その部分の記憶のブロック機能が阻害されている状況を「神経症」と呼びます。
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    ただし、回避機能を心理的に形成したとしても苦痛が解消されるわけでもないので、自覚のない精神病患者は、記憶のブロック機能不全から逃れるために、大きく分けて2つの行動をとります。1つはアルコールやドラッグで意識を混濁させるという方法で、もう1つは記憶そのもののねつ造です。
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     自分は頭がおかしくない、いやオカシイかも知れないけど実は軽傷だ、こんな行動をとるの自分が悪いんだ、いや親の育て方が悪かった、いやこの社会が悪い、資本主義が悪い、男女差別が悪い、いやその反対に女性だけちやほやされているのがいけない、日本独自の風習が自分を疎外している、等々……
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    そうして、本人は何か「分かった」気持ちになって、一時的な安息を得る、という次第です。
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     言うまでもないことですが、それらのどれもが間違っています。悪いのはたいてい自分の脳で、その悪いというのは善悪ではなく機能が阻害されている意味で悪いのです。
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    ところが、脳の記憶をブロックする機能が長期間にわたって壊れていると、患者はそれを「当たり前のこと」として受け止めてしまい、これが病気の症状であることの自覚を失ってしまいます。
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    この症状は「魂の殺人」と呼ばれます。あるいは、森田明彦先生によれば「心の傷は消えない」ということになります。それは、人格の問題でもなければ社会の問題でもありません。
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    では、次に精神病発生のプロセスについて述べます。人間の脳は正常に活動するために、主に3つの条件を必要とします。1つは栄養、2つめは睡眠、3つめは他の脳とのコミュニケーションです。
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    栄養に関しては、、脳がタンパク質で構成されている以上、食事と脳には密接な関連性があります。また、当然のことながら脳の異常というのは化学的には脳を構成するタンパク質の異常を意味しています。
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     2つめの睡眠ですが、高度な機能を備えた脳には休息=睡眠をとる必要性があり、長時間にわたって睡眠がとれないとダメージが蓄積されて機能に異常が生じ、最終的には脳細胞そのものが破壊されます。不眠や過眠は脳の正常な活動を妨げる、もっともありがちな障害です。
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    3つめの他の脳とのコミュニケーション」は、他人との接触や会話のことです。人間は群れで生活することを本能にしている動物で、希少な例外を除いて孤独には耐えられません。
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    では、人間は孤独にどれぐらい弱いのかというと、視覚、聴覚などの諸感覚を遮断し、被験者をプールに浮かべて重力も遮断する感覚遮断実験によれば、脳が正常な状態の人間であっても、情報を遮断された状態で30分経過するだけで異常を来し、幻覚が見えたり幻聴が聞こえてくるようになります。
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     もちろんこの実験は日常生活とはかけ離れている、と言いたいところですが、ある条件を満たしている人間には、かなり類似の状況が発生しうるのです。
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コメント

  • TETSU1002
    妥当性はともかく、とりあえず精神を止むまでのプロセスの一解釈として受け止めておこう、メモメモ…
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