大貫剛さんの、役所の「過去の決定を間違いだと認めると死んじゃう病」

国立競技場問題をはじめ、なんでこんな事になってしまうのだろうかという原因が、この死んじゃう病にあるらしい。ある種の善意が根っ子にあるだけに、これをどう変えていったらいいかは考えどころだと思う。こういう病気は日本では戦前からずっとあるもので、それが様々な悲劇の原因になってきたのではないのか。
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大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

役所に本当にある病気で「過去の決定を間違いだと認めると死んじゃう病」ってのがあって、たとえ前任やもっと前の人の決定であっても、「状況が変わったので、当時正しかったものが現状に合わなくなりました」と言わなければならない。国立競技場問題は、これ。

2015-06-24 09:09:42
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

当然、状況が変わったと説明するためには「当時は予見し得なかったような変化」である必要があるので、ほとんどの場合は説明できない。そこで、決定したことの範囲内で「ずらす」程度の変更しかできなくなる。役所が一度決めたことが変わらない理由。

2015-06-24 09:12:51
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

こうなってしまう原因は、日本的な発想では失敗は「誰の責任かを決めて処罰する」ことにあると思う。役所は責任から逃げてしまう。民間は、責任を誰かに負わせる。どちらも本当は良くなくて、「最善の結果になるように方針を変える」が必要なのだが。

2015-06-24 09:17:38
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

役所の「間違いを認めると凍んじゃう病」のRTが多いので、国立競技場問題について追記。国立競技場は、予算超過してる時点で、認めるもなにも間違いは明白。だからこそ設計変更もしてるのに、何が間違いと認められないのか。

2015-06-24 13:15:22
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

「建設ラッシュで単価が上がった」「詳細に設計を詰めたら予想より高くなった」はある程度理由になる。「規模を縮小する」「簡素化する」「一部を仮設にする」も、決定されたことの範囲内での「ずらし」なのでOK。ダメなのは「アーチをなくす」

2015-06-24 13:18:16
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

アーチをなくすということは、そもそも国立競技場の機能としてアーチは必要なかった、と認めたことになる。文科省は財務省に「アーチがなくてはならない理由」を説明したはずで、それを反古にしたら文科省は嘘つきになってしまう。大臣が「アーチやめよっか…」と言った翌日にそれが取り消される理由。

2015-06-24 13:22:16
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

こういう場合、国交省がよくやるのは「そこは二期工事にする」という方法。「道路は往復4車線必要です!」と言っておいて、予算が足りないから「暫定2車線で開通します」と言う。2車線で足りると言ってしまうと将来広げたくなったときに困るから、暫定という言葉を使う。

2015-06-24 13:25:32
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

で、国立競技場はアーチの基礎がすごく大きくなるので、アーチだけ後から作るのが難しい。なら、「技術開発であとから作る方法を考えました」とか適当なこと言えば、辻褄が合う。シールド工法で横から掘ります、とかね。そんなの嘘でもいいのよ。話の辻褄さえ合えば。

2015-06-24 13:27:47
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

で、オリンピックが終わってから2期工事の検討会を開いて、「アーチ作るより普通に屋根掛けた方が安上がりだとわかりました!」って言えばいい。いや、もう屋根なんか付けなくていいかもしんないけど、それなら「二期工事は未定」と永久に言ってればいい。

2015-06-24 13:29:45
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

こういう、役所内ゲームのテクニシャンが文科省には足りないんだろうなあ…と、いろんな場面で思う。単なる内輪ルールの話なのに国民の見てる前で右往左往されたら、国民は呆れちゃうでしょう。

2015-06-24 13:33:26
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

良いご感想を頂きました。役所の「間違いを認めると死んじゃう病」は、認めても個人が懲戒されたりはしないです。組織的に大変なことになる。 twitter.com/mimana_o/statu…

2015-06-25 09:32:42
おりもとみまな22年10月20日ばくおん16巻ばくおん台湾編3巻同時発売予定! @mimana_o

この死んじゃうっていう部分が 比喩とかではなく、おそらく懲戒につながってしまうんだろうな twitter.com/ohnuki_tsuyosh…

2015-06-25 06:27:11
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

前に、実際にあった話。東京都が有料道路を建設した。国の補助制度を利用して、建設費の一部は国の補助金、一部は都の税金、残りは借金をして通行料金で返済することにした。ところが開通したら、予想より通行台数が少なかった。

2015-06-25 09:37:29
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

もともと地元の要望で作ったのになぜ?と調べたところ、有料道路だと遠回りでも一般道路を使ってしまう人が多いせいだった。このままだと赤字で、借金は返せず、税金で穴埋めしなければならない。

2015-06-25 09:39:51
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

しかし、考えてみれば間違っていたのは「有料道路にしたこと」で、最初から税金で建設すれば無料でみんな使ってくれる。その前提で計算し直しても、税金を使う価値は充分にあることがわかった。むしろ、料金徴収の経費が要らなくなるのでトータルは安上がり。

2015-06-25 09:42:22
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

そこで都は、借金の残りを税金で返して、無料にすることにした。すると、国からクレームが来た。「無料道路の補助金ではないので、不正支出だ。補助金を返還しろ」と。無料道路の補助金は国土交通省の隣の課が担当。でも課が違うから不正支出だと。

2015-06-25 09:44:47
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

つまり、今までにやったことが間違いだと認めると、間違ったことに使った税金の根拠が失われてしまう。国と都なら、都に「返せ」と言える。ところが国の内輪だと、返す金も国の金だから、返しようがない。法的根拠が存在しない仕事は、役人にはできない。

2015-06-25 09:48:20
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

こういう酷い状況になっても、役人が個人的に懲戒処分を食らうことはない。ただ、役人がルールの範囲内で処理できない仕事は政治的解決しかないので、こういう決着へ持ち込んだ役人は役人失格のレッテルを貼られかねない。周囲の役人は、あいつと仕事したくないと考えるかもしれない。出世に響く。

2015-06-25 09:50:38
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

なので、役人が間違いを認めないのは懲戒処分とか明確なルールがあるわけではなく、不文律として「絶対にやってはいけない」と全員が考えていると言うべきでしょう。そこで、優れた役人は、間違いを認めることなく方向修正するテクニックを会得してるわけです。

2015-06-25 09:54:45