日本の陶器製手榴弾について

日本の陶器製手榴弾についての基礎知識をまとめておこうと思います。手榴弾四型については明日以降追加します。
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たまや @tamaya8901

いよいよ例の放送が明日なので、日本の陶器製手榴弾についての基礎知識をまとめておこうと思う。 pic.twitter.com/Wl8SJFR89O

2015-09-02 21:42:42
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 陶器製手榴弾と一口にいっても、陸軍と海軍でそれぞれで別々のものを開発していた。 パイナップル型で知られる備前焼・京焼(清水焼)が陸軍。 球形の体部を持つ有田や瀬戸、信楽等のものが海軍で、「手榴弾四型」と称されたらしい。

2015-09-02 21:43:29
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 備前では、昭和19年に大阪陸軍兵器廠長名で当時隣組の組長であった金重陶陽に依頼があって、そこから製作にかかり、昭和20年4月頃から終戦までに3万ないし数万個が製造されたという。

2015-09-02 21:43:46
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 備前焼陶器製手榴弾の製作技法はロクロ成形と型押し成形がある。型押し成形では石膏型に粘土を押し込んで作るため、比較的形状・寸法にバラつきが少ないが、ロクロ成形では製作者の技量が如実に反映される。

2015-09-02 21:43:59
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 また、底面には基本的に製作者に割り当てられた番号が刻印又は手書きされ、それにより製作者が分かるものがある。但し、印がないものも僅かながら存在する。以下に各種の特徴を示す。

2015-09-02 21:44:47
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 ロクロ成形で番号不明の陶器製手榴弾。山本陶秀製作の手榴弾に似るが、線やプロポーションの特徴から別人作と思われる。底面は付着物のため製作者番号が読み取れない。 pic.twitter.com/up93Dn0toc

2015-09-02 21:45:46
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 製作者番号が判明していないが、手榴弾をロクロ成形で製作したのは金重陶陽・金重勉ほか2名と言われ、そのいずれかの可能性がある。

2015-09-02 21:46:24
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 ロクロ成形で3番の陶器製手榴弾。西村春湖製作で、理由は不明だが刻み目がないのが特徴。但し、縦横の刻み目入り個体も一定量確認されている。備前で線を入れなかったのは、他に彼の弟子の金井春山だけである。 pic.twitter.com/pIeqrLoz17

2015-09-02 21:46:55
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@tamaya8901 型押し成形で7番の陶器製手榴弾(右)。この個体は一般的なサイズのもの(左)と比較すると一回り大きく、素地は淡橙色、表面の塗り土も完全にガラス化していない。即ち、生焼け品である。 pic.twitter.com/dsfomBhUlo

2015-09-02 21:49:01
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 京都藤平陶芸で立命館大学が行った調査でも同様のものが8点報告されているが、備前では今のところこれだけしか確認していない。製作者は不明。

2015-09-02 21:51:05
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 型押し成形で9番の陶器製手榴弾。手書きで大きな製作者番号が特徴である。同じ印のものが木村興楽園に伝えられており、同窯の製作か。 pic.twitter.com/QuAErZVmNl

2015-09-02 21:51:39
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@tamaya8901 ロクロ成形で10番の陶器製手榴弾。藤田龍峰製作で、比較的現存数が多い。 pic.twitter.com/dJ3fULZRzR

2015-09-02 21:52:41
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@tamaya8901 ロクロ成形で11番の陶器製手榴弾。山本陶秀製作で、製作者番号印には大小2種があるほか、1点だけ爪で刻んだ個体が確認されている(備前市教育委員会所蔵)。 pic.twitter.com/Iyqlgh6kif

2015-09-02 21:53:23
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@tamaya8901 型押し成形で12番の陶器製手榴弾。大きな製作者番号印が特徴である。製作者は不明。 pic.twitter.com/mhtI6UWsgr

2015-09-02 21:55:29
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@tamaya8901 型押し成形で15番の陶器製手榴弾。片倉直之製作で、比較的現存数が多い。線は、元から型に刻まれていたままのもので、他の製作者のように手で刻みなおしていない。 pic.twitter.com/ItVTeoVR1Y

2015-09-02 21:56:08
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@tamaya8901 型押し成形で20番の陶器製手榴弾。金井春山製作で、成形技法の違いはあるが、彼の師匠の西村春湖同様に刻み目有りと無しの手榴弾を作っている。 pic.twitter.com/HErz9Z7lXH

2015-09-02 21:57:13
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@tamaya8901 京焼(清水焼)の陶器製手榴弾は、備前と同じパイナップル型であるが、胎土が半磁器質で殆どのものに筋目がないのが特徴である。製造は、藤平陶芸のほか、高山耕山化学陶器株式会社で行っていたといわれる。 pic.twitter.com/zkW7IESEGc

2015-09-03 21:43:25
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@tamaya8901 成形手法は、石膏型への泥漿鋳込み成形である。鋳込みで作った体部に円盤状の頭部を貼り付け、口を穿孔して細部の整形を行ったのち、全面に鉄釉をかけ、上面と口内面の釉薬を削り取り、乾燥させて焼成している。 pic.twitter.com/Y7rAIqJitz

2015-09-03 21:44:04
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 藤平陶芸では、製造した陶器製手榴弾の側面下部に「京 正文」もしくは「正文」の刻印をしているものが見られる。但し、釉薬が厚かったのか元から押してなかったのか、確認できないものも多い。 pic.twitter.com/Ix8yE0k3Dz

2015-09-03 21:44:37
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@tamaya8901 平成8年に藤平陶芸で見つかった256個の陶器製手榴弾弾体は、そのうち215個が立命館大学国政平和ミュージアムに寄贈された。これを調査した報告書によれば筋目有りは2点のみで、見本品か熟練工の作だろうとしている pic.twitter.com/NPMmv6hbSz

2015-09-03 21:46:03
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 私が所蔵する京焼陶器製手榴弾は、これらとの比較から全部藤平陶芸製と思われ、立命館大学の調査が入る前に市場に流出したものだろう。筋目あり1点、無しが5点ある。

2015-09-03 21:46:40
たまや @tamaya8901

@tamaya8901 美濃焼の手榴弾は、縦横と斜めの深い刻み目が入り、陶器製の蓋と栓を有するのが特徴である。製造所は、岐阜県土岐郡笠原町の日本製器であるが、現在この会社はなくなっている。 pic.twitter.com/BXHsjbVS3K

2015-09-03 22:00:56
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 日本製器では、マンガンと粘土を混ぜた「マンガナイト」という土を開発したところ、それで手榴弾を作れと軍から命ぜられ製造したという。また、丸型以外にも茶筒型のものも製造したという。 pic.twitter.com/PqNB2xdS35

2015-09-03 22:03:33
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@tamaya8901 この陶器製手榴弾は、表面に刻み目のある石膏型を用いた機械ロクロ成形で、比較的寸法のバラツキが少なく、規格性は高い。 pic.twitter.com/SIaDIzfWU7

2015-09-03 22:04:24
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たまや @tamaya8901

@tamaya8901 ただ、刻み目を見ると、元から深い線が型に刻んであったものと、型に浅い線だけが入っていて後から深く手で刻みなおしたものが見られる。手刻みではさらに、横から見た斜線の向きが「<」と「>」の2種がある。 pic.twitter.com/Xnw0YxQK51

2015-09-03 22:05:36
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