治療的場面での「活きた」言葉とは何か

「中井久夫の臨床作法」より:横田泉先生の「自分でも用意していなかった問い」の要約と私の感想。ある統合失調症の患者さんの転機となった中井久夫先生の「活きた」コミュニケーションの治療的意味について、横田先生は、ソシュールの言語論まで引き合いに出して論じています。 ちなみに私のフォーカシングの臨床活用についても少し我田引水しています。
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chitose @kasega1960

裕さんには悪いが、「スーパーヴィジョンのパワーゲーム」の読書は一旦中断して、中井久夫の臨床作法 (こころの科学増刊) 神田橋 條治 他amazon.co.jp/dp/4535904367/… @amazonJPさんから を読み進めている。中井先生の臨床実践を読むのは一服の清涼剤になる。

2016-02-03 22:34:19
chitose @kasega1960

「中井久夫の臨床作法」の横田泉氏「自分でも用意していなかった問い」のP.118から書いてある、言語学者の丸山圭三郎氏の「第1次言語=制度化された言語」と「第2次言語=本質言語」の違いの話は非常に興味深い。フォーカシングの中でフェルトシフトと共に見いだされる言語は後者である。

2016-02-05 20:41:56
chitose @kasega1960

↓余裕があればこの「第1言語」「第2言語」の差異の問題についてブログの方で記事にしてみたいが・・・

2016-02-05 20:56:22
chitose @kasega1960

今、いざはじめてめてみると、筆が重いな~ 要約しようとしても要約にならない。中井久夫の臨床作法 amazon.co.jp/dp/4535904367/… … のp.117からP.119 までを読んでみることをまずはお勧めします。中井先生が事例で用いた言葉の「猿真似」では治療的ではない。

2016-02-05 21:33:12
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 『ソシュール小事典』のp.88に「ソシュールは、その独自の記号理論に立って、制度化された言語を現実の言語状況としては認めながらも、これを《本質的言語》とは見做さず、その疎外-物象化のプロセスから作られた惰性態であることを指摘していたのである」とあります。

2016-02-05 23:59:57
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 「制度化された言語」はラングと同義でしょう。これは人間の言語能力(ランガージュ)が、個別社会において独自の構造となり、特定共時的制度となったもので、諸言語に共通する原理的記号体系であり、個人の行為を規制する条件・規則の総体としての価値体系です(p.291)

2016-02-06 00:01:52
chitose @kasega1960

@kitsunekon2 そうなんですか。ソシュールについては何も知らないので。ありがとうごさいます。

2016-02-06 00:02:05
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 「本質的言語」は他では「言語の本質体」という形で説明されます。p.287の「本質体」の説明には、「言語の本質体は、実体ではなく、関係態としてのシーニュ [記号]であり、この表現面[シニフィアン]と内容面[シニフィエ]は不可分である」とあります。※[ ]は私

2016-02-06 00:03:28
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 ラングと対立するのはパロール(parole)であり、個人がラングの規則と条件に従ってその意思を表白するために行う具体的言語行為です。制度としてのラングの強い規制の下にありますが、ラングそのものを変革する働きもまた、この実践を通じてのみ可能となるのです。(同

2016-02-06 00:03:57
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 「本質的言語」には、ラングだけでなく、パロールも含むと考えることができます。

2016-02-06 00:04:15
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 ただし、ここまでは共時態=時間軸上の一定の面における状態についてであって、ある共時態から別の共時態への変化=通時態が入っていません。通時態は、構造・制度・価値が崩壊し、あらたに形成される過程です。力動=出来事の世界なのです。

2016-02-06 00:04:35
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 「本質的言語」には、共時態だけでなく、通時態も含むと考えることができます。ただ、共時態と違って、通時態では、シニフィアンとシニフィエの結びつきも、分節も弱いので、「言語の本質体」の定義と矛盾してしまいます。[終]

2016-02-06 00:05:00
🦊王子のきつね🦊 @kitsunekon2

@kasega1960 『ソシュール小事典』の編者が、故・丸山圭三郎さんです。←書き忘れ。w

2016-02-06 00:18:13
chitose @kasega1960

@kitsunekon2 それじゃモロに関連してますねえ。

2016-02-06 00:19:23
chitose @kasega1960

中井久夫先生の実例:退院要求を面接のたびに繰り返していた患者。過去の記録によると、7回の退院後はすべて1週間で関係念慮と幻聴が再発して、一ヶ月以内に再入院していた。(中略)私はある日突然「君が退院したいのは、君の病気はもう治らないと思っているからではないか」という問いを発した。

2016-02-06 00:29:19
chitose @kasega1960

『自分でも用意していなかった問いであった。患者が感情を込めて「そうです」と答えた。「私が諦めていないのに、どうして君が先に投げてしまうのか」と私は言った。かなり強い語勢だったかと記憶する。患者は何も言わなかったが、私はこの「直球」を彼が受け止めたと思った。:以上中井久夫先生の事例

2016-02-06 00:32:28
chitose @kasega1960

横田先生は同じように退院欲求を繰り返す患者さんにこのやりとりを真似て試したところ、結果は惨憺たるものだったという。「中井先生と私のことばの違いは、心の底から湧き上がってきたことばとマニュアルで覚えただけの表面的なことばとの違いである」。

2016-02-06 00:33:14
chitose @kasega1960

・・・・ここまでが要約出来た部分。これからが大変なんだよね。自分の臨床体験としてはピンとくることなんだけど。kasega.way-nifty.com/nikki/2013/01/…

2016-02-06 00:40:01
chitose @kasega1960

以前もツイートしたが、カウンセラーが、クライエントさんの話を聴く中で、その関係性の中で生じてくる曖昧なモヤモヤをいかにセルフモニタリングしながら「たたずんで」いるかということ。それだけで面接の「場の空気」に余裕が生じる。そしてそうした中で、突然言葉が「天から降って」くる!!

2016-02-06 00:52:20
chitose @kasega1960

「しかし、それは何もないところから突然湧いてくるのではない。繰り返される退院要求を聞きながら行われていた中井先生の『自問自答ともつかぬつぶやき』にみられるように、ただちには明確な形をとらないが、治療者の中で何度も練られている思考過程が前提としてあるはずである」(横田)

2016-02-06 00:58:02
chitose @kasega1960

「そういうプロセスをへた『オリジナルな』言葉だけがベース・シェンジをひきおこす」(横田。『』はchitose)・・すでに公式化されたできあいの「解釈」などは「第1次言語」であるに過ぎない。かといって思いついたひらめきを勝手に口にするのとも違う。治療者の言語体系自体が変化した場合。

2016-02-06 01:07:34
chitose @kasega1960

「言語学者の丸山圭三郎は、『第1次言語』と『第2次言語』、『制度化された言語』と『本質言語』などのことばで言語の二面性を挙げている。前者は『擦り減った貨幣』のように、交換の仲立ち・コミュニケーションの道具としては役に立つが、一方で私達の日常の世界を支配し規制する」(横田)

2016-02-06 01:16:09
chitose @kasega1960

「本来何の繋がりもない星々をヒトがつなぎ合わせて星座ができているように、あるいは光の連続体である虹を七色に区切るように、ヒトは独自の切り取り方で世界を分節する。一旦そのような区切り方が成立してしまうと、その区切り方を離れ新たな区切り方を個人が独自に作ることはほとんど不可能である」

2016-02-06 01:23:43
chitose @kasega1960

「一度星座を知った人が、星座を知る以前の『ばらばらでつながりのない星」を見ることができないことを想像してみればよい」

2016-02-06 01:26:07
chitose @kasega1960

「この区切り方の強制性、支配力が第1次言語の強制性であり、その区切り方を組み替えるように新たな価値体系をもたらすことばが本質言語、第2次言語である。そもそも言語の本質は後者であり、それが使い古されて沈殿したものが、私達が使っている第1次言語である」

2016-02-06 01:33:11