ここでケインズの言葉を一つ紹介。(中公クラシック「ケインズ」に付いている「名著のことば」から) pic.twitter.com/HH1on1Ji3d
2016-05-04 21:46:30重要なことは、私的利害と社会的利害が常に一致しない現実を踏まえつつ、それをどのように調和するか、である。おそらくヘーゲルの弁証法哲学以来、社会科学や人文科学はこの問題と格闘してきたが、日本の場合、「個か公か」といった愚かしい二者択一も、吐いて捨てるほどある。
2016-05-04 21:47:10.@Lynette_Ellils さんの「アイドル「産んで国家に貢献します!」」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/970797
2016-05-05 10:15:43ヘーゲル哲学は、「国家」と「社会」を区別した。国家はいわゆる「政府見解」というやつで、ただ一つの意見に統一されるし、されてないと政府の一貫性がなくなる。けれど市民社会は多様な価値観が存在し、多様な目的が存在する。個人や家族は、国家の目的に奉仕するためにあるのではない。
2016-05-05 10:27:57ヘーゲルやマルクスは、近代社会における個人と社会、国家の分裂をどのように克服するか色々考えたが、理想状態としての「合」ばかり重視されれば、戦前の大日本帝国やナチスが、ヘーゲル哲学を全体主義のプロパガンダに使ったようなことになる。
2016-05-05 10:28:31古代ギリシャでは、人びとは権利を持った市民であると同時に、国家に奉仕する存在だった。そこでは国家と社会の分裂はまだ始まっておらず、近代的な自我の悩みは存在しなかった。ロマン主義は古代ギリシャを理想として、空虚感や孤立に悩む近代的自我が、国家や社会と一体化することを望む。
2016-05-05 11:12:59ヘーゲルも初期はロマン主義に惹かれつつ、結局批判して距離をとるようになる。個人を消して、国家も市民社会の境目もない、ドロドロと溶け合ったような社会はありえないと考えた(ヘーゲルの解釈はあれこれ分かれてるんだけど)。
2016-05-05 11:13:35安倍首相が首相就任前に書いた本、「美しい国へ」は、映画「ミリオンダラー・ベイビー」を「アメリカのナショナル・アイデンティティーを描いた」という評論家の指摘から、「共同体への帰属サイコー」という作品内容からいえば的外れな話に進むことで、色々批判もされた。
2016-05-05 12:13:13作中の登場人物は、民族や家族に帰属したいと思いつつ、うまくできないでいる。そういう人を救うのが政治の使命かもしれないが、安倍首相は政治がモデルを示せばできる、と思っているらしい。
2016-05-05 12:13:36安倍さんは政治家であって、映画評論家ではない。作品解釈がどうのこうの・・・、ということは置いといて、彼は現代の個人と社会、家族と民族のアイデンティティー分裂といったことを理解できてないんじゃないか。
2016-05-05 12:14:06個人と共同体が一体化していたある種の幸福な時代から、それが分裂して古代ローマのような複雑で広大な帝国へいたり、近代社会に移行する過程を、ヘーゲルはギリシャ悲劇「アンチゴネー」(アンティゴネー)を例に説明する。
2016-05-05 12:39:22より有名なギリシャ悲劇で言えば、「オイディプス王」もそうだろう。個々人の最善だと思った行動が、最悪の結果を招く。人は全てを見通すことが出来ない、というこの悲劇は、ミクロな勤勉と貯蓄が、特定のマクロ経済では不況の悪化を招く、というケインズ経済学にも通じる。
2016-05-05 12:39:46安倍首相の議会答弁でつまらないのは、民主党に批判されたら、逆に民主党を批判し返すような、相手のあら捜しやつっつき合い。
2016-05-05 13:03:13インターネットの論争みたいなもので、その場ではうまいこといったように見えるが、世の中がよくなるわけじゃない。国民が政治に期待しているのは、そういう事じゃないだろう。しかし「美しい国へ」を読むと、家族道徳の崩壊は、地球市民とかジェンダーフリー論者とか、
2016-05-05 13:03:33「保育園落ちた、日本死ね」ブログも、保育園不足の深刻さとかは、既存のマスコミで繰り返し報じられてきた。例のブログ記事を「匿名じゃないか」というのは、それに限定すれば正しいが、それが共感を呼ぶ背景にある、生活の中での切実な怒りは全く解消されない。
2016-05-05 13:04:11