ニンジャカタナ!Location#A.D2399 Chapter 7 『旅立ち.01~.02』

前回までのあらすじ: カタナの力によって助けられたカーヤ。だが、カタナは同時に船内のロボット達も助けていた。なぜ彼らまで助けたのかと問うカーヤに、カタナは言う。 「友達なんだろ?」と――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

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2016-05-25 22:47:56
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投稿中は皆様のTLをお借りしてしまいますが、どうかテレビのチラ見感覚で暖かく見守って頂けると幸いです。それでは約一時間、本日も宜しくお願い致します! また、ニンジャカタナ!は下記より全話閲覧可能です。こちらも併せてご覧下さいませ! kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-05-25 22:50:10
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前回までのあらすじ: カタナの力によって助けられたカーヤ。だがカタナは同時に船内のロボット達も助けていた。なぜ彼らまで助けたのかと問うカーヤに、カタナは言う。 「友達なんだろ?」と――。 その言葉を受けカーヤは気づく。自分が今まで、いかに多くの心に見守られていたのかを――。

2016-05-25 22:51:17
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ニンジャカタナLocation#A.D2399 Chapter 7 旅立ち ――――――――――――――◆ pic.twitter.com/0o2W0JyEUh

2016-05-25 22:52:28
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壊れた通路、剥き出しのパイプ。パイプの中を通る液体窒素が漏れて、周りの空気を凍らせる。 ここはラピスの第六ブロック。第一、第二と拡張していった僕が、技術の研究用に作った区画だ。アレイドの攻撃は、第一から第四のブロックの殆どを吹き飛ばした。これ以上、あいつの好き勝手にはさせない。

2016-05-25 22:53:22
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「――残念だ」 赤と緑の光の粒子が交錯する中、数メートルの距離を置いてアレイドが呟く。 アラートはしきりに脱出を勧めてくるけど――。 駄目だ。僕は、こいつを倒すまでここを離れるわけにはいかない。 「取るに足らない邪魔が入った。緑光は減じた。俺とお前の拮抗は夢と消えた――」

2016-05-25 22:55:31
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アレイドは並び立つ僕とカタナの前で苦々しく、そして悲しげに言った。カタナが僕やビーンズを庇って力を――ミドリムシを使ったことを言ってるんだ。 「――言ってくれますね。取るに足らないかどうか、試してみたらどうです!」 僕は精一杯の勇気と気概を振り絞り、叫んだ。

2016-05-25 22:57:18
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「試さずともわかる」 アレイドはそう言うと、僕とカタナを値踏みするように眺める。 「この船と、この船で稼働する機械生命体を観察させてもらった。その全てが数百年前の、旧世紀の技術――ガラクタだ」 言いながら、アレイドはその大きな背中からゆっくりと一振りの大剣を引き抜く。

2016-05-25 22:59:26
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「はっ! そいつはどうかな!?」 カタナが手に持った剣をアレイドに向けて構える。緑光が、カタナの周囲を覆う。 「あいつらはガラクタなんかじゃねぇ! みんな、カーヤの友達だ!」 剣の刀身が特殊な動作で延長される。光の粒子が収束して光刃を形成。同時にカタナの髪と瞳が緑に染まる。

2016-05-25 23:02:11
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「ほう――まだそれだけの力を――。だが、いつまでもつかな」 「知るかよ!」 速い! 腰を低く落としたカタナがアレイドに向かって跳ぶ。センサーはギリギリ追いついてる。カタナは腰溜めの刃で切り裂くように横薙ぎの一閃。アレイドは笑う。アレイドが持つ二振りの大剣が同時に消える。

2016-05-25 23:05:08
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激突、閃光――。 カタナの緑とアレイドの赤い光が放射状に広がり、激しい光を撒き散らす。 (始まった――) カタナが戦いを開始したのを確認した僕は、一目散に目的の場所へと向かって駆け出す。 ――僕を取るに足らない、ガラクタだと言ったな。その言葉、絶対に後悔させてやる――。

2016-05-25 23:07:28
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アレイドは必ず自分を狙う。カタナはそう言っていた。 それは逆に言えば、戦う場所はこっちで選べるってこと。僕達は僕達にとって有利な場所で、ただ待っていればいい。 僕とビーンズを庇ったことで、カタナが力を消耗したのは向こうもわかってるはず。なら、尚更アレイドは無茶をしないはずだ。

2016-05-25 23:10:10
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(僕達が、何も考えずにこの実験場を選んだと思うなよ――!) 背後で巻き起こる緑と赤の光の放射。カタナがアレイドと戦っていられる時間は短い。僕はその間、広大な実験場を走り抜けながら次々と小型のビーンズを創っていく。 丸くて自律式。武器はない。極々普通のビーンズ達――。

2016-05-25 23:11:37
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実験場の一番奥、厳重なロックがかかった大きな扉。僕がその扉の前に立って手をかざすと、扉は重々しい音を立てて自動的に開放された。 (僕は、ガラクタじゃない。そして――) 後ろを見る。ここに来るまでに必死で創った大勢のビーンズ達が、青いモノアイをくるくると回転させて僕を見る。

2016-05-25 23:13:31
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「聞いて。これからみんなにやってもらうことは、とっても危ないことなんだ」 僕が生まれてから600年。僕は初めてビーンズ達に視線を合わせ、膝をついて懇願した。 「でも、だからこそみんなの力が必要なんだ。僕達みんなの大切なこの船を守るために――お願い、僕に力を貸して!」

2016-05-25 23:15:09
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「「「ワカリマシタ! カミサマー!」」」 僕のその言葉に、一斉にマニュピレータを振って返事をするビーンズ達――。 僕は溢れそうになる涙をこらえながら、みんなへと視線を巡らせて頷く。 「――みんな、ありがとう」   立ち上がり、扉へと振り返る。 「よし、行こうみんな!!」

2016-05-25 23:18:39
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アレイドの赤い大剣が壁を、地面を、空間を削り取ってカタナに迫る。 カタナは後方にバク転回避、光刃でアレイドの剣を受けることを避け、壁面に垂直に着地、鋭く跳ね返るような動きでアレイドの横を掠めざまに斬りかかる。けどアレイドはその攻撃を避けるでもなく、ハエを叩くように弾き飛ばす。

2016-05-25 23:22:34
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カタナの速度は明らかに落ちてる。多分、もうあの攻撃を受けることも厳しいはず――。 僕は実験場の奥で作業を続けながら、追い詰められていくカタナの姿を固唾をのんで見守ることしか出来なかった。あと少し、あと少しなのに――!

2016-05-25 23:24:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

「諦めろ。そうすればひと思いに楽にしてやる」 「――ざっけんじゃねえぞ!」 はね飛ばされたカタナが地面に着地、まるで弾丸のような速度でアレイドの元に舞い戻る。このやりとりをもう何度繰り返したかわからない。その度にカタナは弾かれ、斬り飛ばされ、叩き付けられる。

2016-05-25 23:25:25
ニンジャカタナ! @NJkatana

アレイドの剣を受ける度、アレイドの攻撃を躱す度、そしてアレイドに攻撃を仕掛ける度に、カタナの光がみるみるうちに弱くなる。 ほんの少し残った緑の光はカタナを心配するように彼の周りくるくると、弱々しく光っていた。

2016-05-25 23:26:42
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――終りの時が近い。俺達の、今生の別れの時だ――」 アレイドが瞳を閉じる。彼はカタナを「息子のように思っていた」って言ってた――。 今のアレイドの表情は、その言葉が本心だったことを現わしているように僕には見えた。 そして、カタナは――。

2016-05-25 23:28:31
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「はぁっ――はぁっ――」 ――全身傷だらけ、右腕はだらりと垂れ下がって、足が震えてる。緑色だった瞳と髪はそれぞれ蒼に戻る。剣の刃になっていた光の粒子も、もう消えてる――。   それでも――。 それでもカタナは剣を握った左手を上げ、その切っ先をアレイドに向けた。

2016-05-25 23:30:01
ニンジャカタナ! @NJkatana

「うおおおらあああああ!」 カタナが突進。作戦も何もない。真っ正面からの特攻。片手で大上段に構えた剣を、ただ思いっきりアレイドに向かって振り下ろす。だけど――。

2016-05-25 23:32:39
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――光刃の形成も不完全。時間切れだ――」 アレイドは一切動いていない。 代わりに、彼の纏う赤い光の膜が、カタナの剣を止めていた――。

2016-05-25 23:35:16