詰め襟の定番だった「プラスチックカラー」が2021年に生産を終了…制服メーカーに事情を聞いてみた

現在は「ラウンドカラー」タイプが定番
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アニメーターの小谷杏子(@koni_ko222)さんによる「最近の詰め襟、プラスチックのカラーじゃなかった」という呟きが話題だ。

小谷さんは「作画監督さんの描いた絵がきっかけで、最近の詰め襟は9割がラウンドカラーだと知り、ショックを受けた」そうだ。

この事実にTwitterでは「知らなかった」「プラスチックカラーは絶滅していくのか」など、驚きの声や、詰め襟の制服を着ていた学生時代を思い出して惜しむ声や「冬は寒く、夏はベタベタして気持ち悪かった」と当時を振り返る人も。

そんな中、明石スクールユニフォームカンパニー公式アカウント(@akashi_suc)さんが、学生服メーカーとして状況を解説。

引用ツイートによれば、詰め襟の定番だった「プラスチックカラー」は既に生産を終了し、現在はラウンドカラータイプの襟が採用されているとのこと。

なぜプラスチックカラーは生産終了となってしまったのか。今回はTwitterで情報を補足していた、明石スクールユニフォームカンパニーさんに、学生服メーカーの視点から詳しく事情を伺うことができた。

詰め襟の現状はどうなっているのか

明石スクールユニフォームカンパニーさんは「ご回答はあくまで弊社の一般的な詰襟学生服・セーラー服・ブレザーの話ですのでご容赦いただければと存じます」と断りながらも、詳しく説明してくださった。

まずは、プラスチックカラーとラウンドカラーの違いを教えてください

「プラスチックカラー」は、カラー(白い部分)が汚れた際に付け替えられるので、首元を清潔に保てます。

「ラウンドカラー」は着用時の首元が楽なのですが、白いテープ部分が破損してしまうと、襟そのものを交換することになるので、修理に時間がかかります。

プラスチックカラーはいつ頃から減少してきたのでしょうか? 

10年ほど前は、まだプラスチックカラーの出荷も頻繁でした。しかし5年くらい前からプラスチックカラーの出荷数が減ってきて、去年にはラウンドカラーへ完全移行しました。

そして2021年3月には、ついにプラスチックカラーの製造が中止になってしまったんです。

制服の種類が詰め襟からブレザーへ変わっていく、この時代の流れがプラスチックカラーの減少を加速させた印象ですね。

プラスチックカラーが減り、ラウンドカラーが増えた理由を教えてください

ラウンドカラーが増えた理由は、生徒の意見の大きさにあります。

実際に店頭で詰め襟を試着してもらうと、首元のゆとりがあるなど着心地がよいので、ほとんどの生徒がラウンドカラーを選びます。

そして、プラスチックカラーは市場に出回らなくなりました。

最近では詰め襟を採用する学校が減っているのでしょうか? 制服のトレンドについて教えてください 

ご認識の通り、学生服に詰め襟を採用する学校は減少しています。

1980年代後半からは、デザイン面でオリジナリティを出しやすいということもあり、ブレザーを採用する学校が増えました。

近年ではジェンダーの観点から、男女とも同じような制服を制定する学校が顕著に増えているという事情もあります。

詰め襟に対してはセーラー服との組み合わせが想定できますが、ブレザーを採用すれば「ブレザーとスカート」または「ブレザーとスラックス」のように、選択肢が生まれるわけですね。

時代の流れとはいえ、詰め襟のイメージの一つでもあるプラスチックカラーが消えてしまうのは寂しいものだ。今もプラスチックカラーの制服を着ている方は、ぜひ大事に使ってほしい。

明石スクールユニフォームカンパニーの公式アカウントでは、学生服に関する豆知識や企業情報をツイートしている。詰め襟を含め、学生服やユニフォームを検討している方、最近の学生服を見てみたい!という方は、明石スクールユニフォームカンパニーの公式サイトを覗いてみるといいだろう。

お時間のある方には、同社が世界の制服をイラスト付きで紹介している、ユニークなツイートのタグ「#世界の制服シリーズ」も面白いのでオススメだ。

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