おぎのや「峠の釜めし」の器でご飯を418回炊き続けたらこうなった…長持ちのコツを聞いた

釜自身もここまで使えるとは思ってなかった筈
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荻野屋

人気の駅弁として60年以上の歴史を誇るおぎのやの「峠の釜めし」。保温性の高い陶器の器を使っていることが大きな特徴のひとつだが、食べ終わって空いた釜でご飯を炊けることはご存知だろうか。

その釜で、なんと7年かけて418回もご飯を炊いたというのがTwitterユーザーのた[らん[ちょ]](@taran_cho)さん。Twitterユーザーからは「お釜もこれだけ活躍して本望でしょう!」「天寿をまっとうされた…」「きちんとメンテ・運用すればそこまで行けるんだ…」と感心するコメントが寄せられた。

荻野屋
この釜で食べる釜飯は本当に美味しい

今回、た[らん[ちょ]]さんから「峠の釜めし」の釜を長持ちさせるコツなどを聞いてみた。

なお、おぎのやのWebサイトでは空き釜を使った炊飯の方法を解説している。試したい場合はこちらの方法をおすすめしたい。釜は耐熱容器ではないため直火調理をすると割れる可能性があるので注意が必要だ。

土鍋っぽいから試したくなった

釜めしの器でご飯を炊き始めたきっかけは。

2015年頃から、ソロで登山したときにご飯を炊いて食べることが好きで一人分のご飯を炊いていました。

最初はシェラカップ(※1)や、メスティン(※2)などを使っていました。土鍋で炊くと美味しいと聞き、100均の土鍋で炊いたりもしました。そして、「そういえば、おぎのやの容器も土鍋みたいなもんだな」と思い、試してみたくなったのが最初です。

当時は、1人用の羽釜(※4)の焜炉(こんろ)を持っていて、釜飯の容器のサイズがピッタリだったことも試したくなった一因だったと思います。野外での1番最初の炊飯は2015年10月、場所は山梨の岩殿山(いわどのさん)でした。

(※1)…ステンレスなどの金属製の広口カップ (※2)…アルミ製の飯ごう (※4)…かまどにかけるのに適するように、胴の周りにつばをつけた炊飯用の釜

当時の記録によると、3回目の使用でヒビが入っていることに気づき、恐らく10回は使えないと思った…とあったそう。そこから418回も使うことになるとは…!

外でアルコールストーブを使用しているのはなぜですか。

「放置炊飯」ができるのが1番の理由です。

1合の放置炊飯は、当時メスティンと100均の固形燃料の組合せが有名でした。固形燃料を使った時期もありましたが、少し割高なのと、燃料の量の調整ができません。

今は固形燃料と同じイメージで使える、カーボンフェルトなどのアルコールストーブを自作して使っています。

荻野屋
冬の炊飯は特に美味しそうに見える

放置炊飯では、出来上がりにどのくらいの時間がかかっていましたか?

炊飯に15分、蒸らしに10分以上なので、合計30分ぐらいです。

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3回目の炊飯
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400回以上の炊飯

ヒビの補修に、小麦粉で作った糊を使っていたとのことですが、具体的な方法を教えて下さい。

元々は、ヒビの補修のために小粥を作ったり、水で溶いた小麦粉を温めていました。基本はこの方式と同じで、割れた面に小麦粉で作った糊を塗ってピッタリくっつけるだけです。

信じられないかもしれませんが、最初は隙間なくきれいに割れることが多いので、そのままピッタリ抑えるだけでも水漏れもなく使えます。

荻野屋
メンテナンスも重要

おぎのやの釜で炊いたご飯の味はいかがでしたか?

1人分のご飯を炊くには、ちょうど良いかと思います。我が家は普通の炊飯も土鍋で炊いているので、おぎのやの釜で炊く方が美味しいとまでは感じないです(笑)。 

7年もの歳月の中、大切に扱われながら炊飯にいそしむことになった、おぎのやの釜。ここまで共に歩んだ軌跡を見ると、割れてしまった破片すらも尊いもののように思える。

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書いた人
みわんこ

東京下町出身の3人息子のママライター。アマプラと少女漫画とベリアル様(見た目)が好き。

Twitter:@miwancoo