住めたらいいのに…!高さ3mの巨大な「ボクの夏休みの違法建築」に込めた「家」への思いとは

「家」に思いを馳せて作った
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テーマは「ボクの夏休みの違法建築」

こちらの画像、一見何かの建物のようだが、隣の子どもや背後にある家と比べると何かサイズがおかしい。そう、この建物は、ベニヤ板などの木材で作られた造形作品としての「家」だ。

製作期間は8か月、運搬はおみこしの要領で4人がかり

この画像をTwitterに投稿したのは「家」を制作したミキ(@tori_god007)さん。「ボクの夏休みの違法建築」をテーマに作り上げた本作品は高さ3m、幅160㎝にもおよぶ巨大なものだ。

この絶妙なバランスでそそり立つ「家」はどのように誕生したのか、話を聞いた。

「家」に帰りたい気持ちのままに積み上げる

この巨大な作品を作るきっかけは?

ちょうど大学の卒業制作に取り掛かる時期に、コロナ禍のため実家に帰省することが叶わなかった大学4年生の1年間について考えました。

その際、家族の暮らす「家」の存在を思い起こし、そこへ帰りたいと強く感じた経験が何度もありました。その経験から卒業制作では「家」という存在に向き合い、「家」をモチーフにした造形作品を作りたいと考えました。
完成後「住めたらいいのに_」とタイトルをつけて発表しました。

どのように作っていったのですか?

設計図は作らないまま、その時々の想いや葛藤、想像力に任せ、変化する私の中の理想像のままに、地面から上へ上へと積み上げて制作しました。

この「家」の上層部は、制作場所でもある秋田県に多い住宅を、下層部は外部から守られるシェルターのような実家をモチーフに作っていったという。

実は中に入ることもできるらしい

制作にあたり、苦労した点は?

図解①にある下層部から作り始め、図解②の上層部が上に載るよう作り増築していきました。

「敢えて意図しない形を造形する」という課題に挑むため、設計図がありません。ですので3mの高さの作品をどうバランスを崩さす成立させるかに苦労しました。

図解②の上層部は、3mのはしごを登って完成している下層階の上に載せてみては修正し、の繰り返しでした。

それに加え、作品の材料の買い出しがしんどかったです笑。
この作品は秋田で制作したのですが、冬場は道路に雪が積もって固まりツルツルで、風も強く吹きます。材料を買ったホームセンターでは運搬用の車を貸してくれるのですが、怖くて運転できず、作業場まで畳一枚分ほどの大きなベニヤ板を2~3枚を抱えて歩いて運んでいました。

この作品でぜひ見て欲しいところは?

見る人の目線の高さによって見え方が変わり、さらに360度どの位置から見ても見え方が変わるように作りました。

大人の目線・子どもの目線で見たときの違い・気づきを楽しんでもらいたいです。

見事なバランスで成立する巨大な造形作品。上層階ほど広い「違法建築」のようになってしまったのは、月日の経過とともに「家」への想いが募った結果なのだろうか。

ミキさんはこの作品の引き取り手を探しているとのこと。気になった人はぜひ投稿をチェックしてみては。

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