原材料はミイラの粉…!希少な絵の具を入手した人に色や匂いを聞いてみた

「かなりミイラが含まれている」らしいです
5

ミイラの成分が含まれているのか...

Twitterユーザーの山猫だぶ㌠(@fluor_doublet)さんが投稿したある絵の具の画像が大きな話題になっている。

絵の具の名前はマミーブラウン。16世紀から17世紀の間に製造された茶系統の色素であり、原材料にはエジプト産のヒトやネコのミイラを使用している。

当時はエジプトからヨーロッパへとミイラを輸入する交易が多く、16世紀の絵画に広く採用されたという。20世紀に入り、利用可能なミイラの供給が尽きたことでマミーブラウンの製造はおこなわれなくなっていった。

製造工程は上記の動画(Ryan Demaree氏のYouTube)にあるようにミイラを粉にして、すり潰すというシンプルなもの。

世にも珍しいミイラを原材料とした絵具を見たTwitterユーザーからは、「これが昔は使われていたのか」「芸術もここまでくるとオカルト」「ホラー映画のネタに使えそう」など事実に驚愕したといった様子の意見が集まった。

現在は入手困難だというマミーブラウン。入手した経緯と絵の具の特徴について、山猫だぶ㌠さんに話を聞いた。

マミーブラウンは現在も入手できる

マミーブラウンを再現した方は、どんなルートでミイラを入手したのでしょうか?

こちらはカナダのRyan Demaree(ライアン・デマリー)という方が再現したものです。もとは Billy Jamieson collection(ビリー・ジェイミーソンコレクション)(※)に収められていたミイラのかけらになります。

(※)Billy Jamieson(ビリー・ジェイミーソン)とは、リアリティ番組のスターであり、財宝・骨董品のディーラー。彼の膨大なコレクションはトロントのロフトに収容されている。

マミーブラウンを譲ってもらった経緯を教えてください。

ライアンさんが再現したものを、私がインターネットオークションサイトのeBayで購入しました。

色や匂いはどんな感じでしょうか?

透明感のある濃い褐色で、ちょっと粒子(ミイラ)が残ってます。油絵具の匂いがするだけで、ミイラ由来の匂いはなさそうです。

こちらは何の目的で使用するのでしょうか?

現在執筆している色材の歴史の本で紹介する予定です。

鉱物由来の色材の話については、福音館書店から出版されている『たくさんのふしぎ 2022 8月号 石は元素の案内人』で山猫だぶ㌠が執筆しているとのこと。気になった方はぜひチェックしてみてほしい。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。