原材料はミイラの粉…!希少な絵の具を入手した人に色や匂いを聞いてみた
Twitterユーザーの山猫だぶ㌠(@fluor_doublet)さんが投稿したある絵の具の画像が大きな話題になっている。
マミーブラウン。エジプトのミイラを粉にして作られる、耐久性の高い古い古い褐色の絵具。最近、某国の変わり者な方がエジプトのミイラをなんとか入手して再現した(!)ので、少し分けてもらった。かなりミイラが含まれている。 https://t.co/8CI46eQ1AI
— 山猫だぶ㌠ (@fluor_doublet) 2022年9月1日
絵の具の名前はマミーブラウン。16世紀から17世紀の間に製造された茶系統の色素であり、原材料にはエジプト産のヒトやネコのミイラを使用している。
当時はエジプトからヨーロッパへとミイラを輸入する交易が多く、16世紀の絵画に広く採用されたという。20世紀に入り、利用可能なミイラの供給が尽きたことでマミーブラウンの製造はおこなわれなくなっていった。
製造工程は上記の動画(Ryan Demaree氏のYouTube)にあるようにミイラを粉にして、すり潰すというシンプルなもの。
世にも珍しいミイラを原材料とした絵具を見たTwitterユーザーからは、「これが昔は使われていたのか」「芸術もここまでくるとオカルト」「ホラー映画のネタに使えそう」など事実に驚愕したといった様子の意見が集まった。
現在は入手困難だというマミーブラウン。入手した経緯と絵の具の特徴について、山猫だぶ㌠さんに話を聞いた。
マミーブラウンは現在も入手できる
マミーブラウンを再現した方は、どんなルートでミイラを入手したのでしょうか?
こちらはカナダのRyan Demaree(ライアン・デマリー)という方が再現したものです。もとは Billy Jamieson collection(ビリー・ジェイミーソンコレクション)(※)に収められていたミイラのかけらになります。
(※)Billy Jamieson(ビリー・ジェイミーソン)とは、リアリティ番組のスターであり、財宝・骨董品のディーラー。彼の膨大なコレクションはトロントのロフトに収容されている。
マミーブラウンを譲ってもらった経緯を教えてください。
ライアンさんが再現したものを、私がインターネットオークションサイトのeBayで購入しました。
色や匂いはどんな感じでしょうか?
透明感のある濃い褐色で、ちょっと粒子(ミイラ)が残ってます。油絵具の匂いがするだけで、ミイラ由来の匂いはなさそうです。
こちらは何の目的で使用するのでしょうか?
現在執筆している色材の歴史の本で紹介する予定です。
鉱物由来の色材の話については、福音館書店から出版されている『たくさんのふしぎ 2022 8月号 石は元素の案内人』で山猫だぶ㌠が執筆しているとのこと。気になった方はぜひチェックしてみてほしい。