エンジニアが作った「柿ピー分離機ver.2.0」 ハイテク技術で粛々と種とピーナッツを分ける様子がじわじわくる

「柿ピーは美味しいですが、買った時は混ざっていて何かと不便です」
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とあるTwitterユーザーが投稿した、「柿ピー分離機」なる装置が話題となっている。

分離機の上に柿ピーを投入すると、モーターで回転する台座に設置したカラーセンサーによって、柿の種とピーナッツを色の違いを判別して自動で分別してくれる仕組み。

こんなハイテク技術を用いてまで柿ピーの分別を!?

(画像左にある照明箇所がカラーセンサー)

柿の種はアームによって弾かれる
ピーナッツはそのまま通り過ぎ、画面右上の穴の中へ
判定の成功率は9割ほど


こちらの装置は、DIYの展示発表イベント『Maker Faire Tokyo2022(以下MFT)』に出展されたもの。開発・製作したエンジニアのAKIさん(@akidn8)に、動機や開発の舞台裏を聞いてみた。

チョコレートを仕分ける機械の日本版を考えた

AKIさんはこれまでに何度かMFTに参加していて、こちらの柿ピー分離機は2代目になる。

柿ピー分離機はどれくらいの大きさですか

縦x横x高さ = 35 x 35 x 20 cm ぐらいです。


この装置を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

MFTへの参加に向けて新しいネタを探していた時、海外の動画で色の付いたチョコを色ごとに仕分ける装置を見つけ、感銘を受けました。

「この装置の日本版はなんだろう?」と考えてみた結果、柿ピー分離機を思いつきました。

制作期間や費用はどの程度かかったのでしょうか?

制作期間は半年ほどですが、実際に集中して作業した期間は2〜3ヶ月程度だと思います。

材料の費用は12,000円程度です。内訳はモーター、センサー、マイコン、筐体部分の材料費など。

自宅のレーザーカッターで加工したので、加工費はありません。

以前のバージョンから改良した点を教えてください。

一つは、動力にあたるモーターを変更し、「回す」「止める」などの操作をマイコン側で容易に制御できるようにしました。

二つは、構造をゼロから再設計しました。以前のバージョンでは上部が覆われている部分がありましたが、その部分を無くしたので視認性・メンテナンス性が向上しました。

初代柿ピ―分離機

また、私自身のレーザーカッターを使った工作スキルが向上していたので、全体的により堅牢になったと思います。

三つめはソフトウェアの作り直しです。以前のバージョンでは、柿の種を弾くときに回転台が動いたままになっていたのですが、モーターを変更したことで、柿の種を弾くタイミングで回転を止めるよう制御できるようになりました。動きを一度止める分、弾く際の精度が上がったと思います。(ただし、精度測定はしてないです)

また、従来版はソフトの作り込みが甘く、上手く作動しないこともありましたが、今回はその問題を解消しています。

ちなみに、ピーナッツと柿の種がくっついた状態で運ばれた時や、センサー付近を通る時のポジションなどによって分離の判定にミスが生じることもあるみたいだ。それでも、精度としては8割~9割方正しく分離できているとのこと。

Twitterで反響があった感想を教えてください。

今回は今までよりも一段と反響が大きく、驚きの思いが強いです。twitterで微バズったり、Youtube動画の視聴回数が伸びたりと嬉しい限りです。

特にツイートが微バズったおかげで多くの方に認識され、MFT会場に来た方からも「ツイッターで見た」という声を多数頂きました。

その他、個人的に尊敬しているDIY界隈の方も数名ブースに来てくださったり、自職場の偉い方にも作品の存在が認識されていた(作者が私ということは知らないまま)といった現象が起きました。

作品や動画を作るのは、正直面倒くさいところもあるのですが、今回は特に思いがけない出来事や繋がりにたくさん出会えて、本当にやってよかったなと実感しています。

柿の種とピーナッツを分離するというシンプルな目的ながら、緻密な設計とブラッシュアップがなされていることが伝わってくるお話だった。

AKIさんのYouTubeチャンネルでは、柿ピ―分離機のほかにもユニークな装置の動画が公開されている。気になった方はのぞいてみては。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。