古本から出てきた「果し状」震えながら開くと昭和のユーモアあふれる文面が出てきた

開けてビックリなワードセンス
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『日本の広告美術 明治・大正・昭和2(美術出版社)』に挟まっていたのがこちらの「果たし状」

堂々と筆で書かれた「果し状」。令和の今になってこんな書状を出す人がいるのか…!?


「果たし状」を受け取ってしまったのはTwitterユーザーの臙脂(えんじ)さん(@tando_enji)。臙脂さんが古本の整理をしていたときに、本から「果たし状」が滑り落ちてきたという。ドキドキしながら開封したその中身は…

〆印を開封すると
達筆な文字でキャバレーへの誘い文句が記載されている
歴史を感じる手書き感に趣を感じる

「果たし状」は、かつて新宿駅西口に存在したキャバレー(接待を伴う飲食店)の広告だったのだ。「国電新宿駅」と表記されていることから、少なくとも国電が廃止された昭和62年よりは以前のものと思われる。臙脂さんは思わず大の字になってしまうほど拍子抜けしたという。

さらに、果たし状の本文にはユーモアもあふれている。「遊興飲食料金高騰」に「キャバレーはタカイ」、「悩殺的若娘」と書いて「ヤングパワー」と読ませるルビが振ってあるなど、誘い文句がなかなか趣深い。「聖徳太子の御助成は無用」に関しては当時のお札に使用されていた聖徳太子のことだろう。

Twitterユーザーからは「声に出して読みたい日本語です」「趣がありますね」などと、内容の面白さに大きな反響を得ている。

思わぬところから果し状を受け取った、臙脂さんにお話を伺ってみた。


果し状を発見した際の感想を改めてお聞かせください。

視界に入った途端、手汗がドバドバ出ました。怪談の聴きすぎで「あ、コレが原因で私死ぬんだ!」と謎思考に陥り、頭が真っ白になりました。

"所持したら死ぬ呪いの○○"系の怖い話だと思いました。


果し状の内容はユーモアに富んでいると感じましたが、その他なにか感じたことはありましたか?

どちらかというと、内容より紙の劣化具合や折り方のほうが気になりました。

レトロな印象の作品を作ることが多いので、制作の参考にさせていただきたいと思っています。 


現在「果し状」はどのように保管していますか。

発見当日より仏壇に置いています。だいぶ物騒な仏壇になっています。


LINEスタンプを拝見いたしましたが、ご職業は漫画家さんなのでしょうか。

元漫画家で、現在は会社に属しています。

 今回の件は作家業の本格復帰に向け、本棚を整理していた矢先の出来事でした。 果たし状の発見前は不安や葛藤があったのですが、死を覚悟した時「書きたい漫画があったのに」と心の底から後悔したので、この選択は間違ってないと今は確信しています。

 九死一生を得たと思ってヤングパワーで頑張ります!

作家業への復帰のタイミングで広告美術書から興味深い昭和の広告が出てくるのも、何かの縁なのかもしれない。今後の臙脂さんの活動が楽しみな方はTwitterアカウントをフォローしてみては。

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