世界一臭い食材「シュールストレミング」を何が何でも美味しく食べるぞチャレンジ

プロのシェフにちゃんと食べ方を教わってきましたよ
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半信半疑で口に運ぶ参加者たちの反応は

「あのねぇ、普通にいけますよ」

とうながす私を、参加者たちは狐を警戒する小動物たちのような瞳で見てくる。

しかし、食べてもらわないことには企画が成り立たないので、せっせとシュールストレミング一式を生成しては参加者たちに押し付けていく。

食ってみな 飛ぶぞ

「えぇ本当にぃ?」

「罠でしょ?」

と言いながらも次々とシュールストレミングを口に放り込んでいく小動物たち。

「あーはいはいはい」

「ん?うーん?うーん…」

「確かに、意外と…」

「あれ、めっちゃ美味しくないですか?」

「私けっこう好きな味ですね」

さまざまな反応が交差しつつも、やはり「意外とイケるぞ」と感じた人が多いみたいだ。

少なくとも、よくテレビやYouTubeなんかで見る「ウワーくさいくさいくさい!!!」「ギャー!!」「無理無理!!!」みたいな反応はなかった。

そう、遠藤シェフがおっしゃったとおり、ちゃんと正攻法で食べたら「クセはあるもののちゃんと美味しい料理」なのだ。何個か食べ進めるうちに、「これ持って帰ってもいいですか?家でも食べたい」という人まで出る始末。

危惧していた「食べきれないんじゃないか」問題はどこへやら、シューストレミングの山があれよあれよという間になくなっていく。一部希望で持ち帰った分を除き、無事シュールストレミングを完食してしまった。なんと。

こうして、大波乱が予想された試食会は、思いのほか静かに、そして堅実に幕を閉じた。

企画、大成功である。

シュールストレミングをグラタンにしたらどうなる?

無事シュールストレミングを完食し、参加者からもらった感想を紹介しよう。

野菜と一緒に食べたが、全然ストレミング単体でもイケるし、たくさん食べても美味しかった……。美味しかったって家族に言ったら変態扱いされた。解せぬ。(編集部O)

個人的にはかなり好み。美味しさがわかった後ならシュールストレミング単体で食べても美味しかった。アンチョビにも似てるし酒盗感もある。(編集部W)

例えるなら「自己主張の強いアンチョビ」。じゃがいもやレッドオニオンなど他の野菜類がいい仕事をしてた。ただ、帰りの電車で隣に座っていた女性が不自然に席を変えたのが非常に気になった。(編集部M)

他の食材といい感じに合わさっており美味しいが、臭いが食欲を減退させるので、あまり積極的に食べようという気が起きない。「話せばいい奴なのに口調がきついからなんか嫌われてる人」みたいな感じ。(編集部N)

臭いはともかく、味についてはおおむね好評。しかし、もちろん「決定的に受け付けなかった」という人もいる。

ただただ静かに、どんよりと不快な気持ちになる臭さ。魚の生臭くさと公衆便所の臭いが混ざった、悪臭のフレイザード将軍※。みんなは意外とイケると言っていたが、正気か?と思った(ライターたかや)

※『ドラゴンクエスト ダイの冒険』に登場する、半分氷、半分炎な見た目をした敵幹部

また「食べた翌日になってもまだ胸の奥のほうにシュールストレミングが居座っているのを感じる」という報告が相次いだ。私もそうで、これは正直けっこう厄介だった。

今回特にシュールストレミングに好感を示した編集部W氏は、シュールストレミングを一部持って帰って、グラタンにアレンジしたらしい。

見た目は普通のグラタンだが、シュールストレミングが隠れている

味はアンチョビを入れたグラタンに似て非常に美味しかったが、焼いている間にオーブンから強烈な臭いが漂い、キッチンが大変なことになったとのこと。

先のイベントのトークセッションでは、スウェーデン出身の登壇者が「室内で食べることはまずない。残っても決して持ち帰らない」と言っていたが、やはり室内で食べる代物ではないことは確かなようだ。

シュールストレミング旋風が巻き起こる予感

シュールストレミングに対するイメージががらりと変わった本企画、やってみたら大変盛り上がり、また楽しかった。

この記事を書いている間に、立川で行われたイベントに次いで、東京の中野でシュールストレミングを振る舞うイベントが開催され、大いにバズっていた。そちらでも、味は好評だった様子。

こんなに短期間にポンポンとシュールストレミングに関する話題が出てくるなんて、日本でのシュールストレミング旋風の到来を予感せずにはいられない。

重ねて言うが、シュールストレミングは然るべき調理をすればちゃんと美味しい。

この記事を読んで気になった人は、機会があればぜひ入手してみんなでワイワイ開缶イベントをやってみてほしい。そして、日本におけるシュールストレミングに対する認知向上に加担いただきたい。