白くまの着ぐるみを着たままビールを飲むため、8年に渡り研究を続ける人に理由を聞いた
こちらの画像をTwitterに投稿したのは白くまの中の人、デゴチ(@degochi)さん。2015年4月に「ベルギービールウィークエンド」というビールのイベントに参加し、ヴェデット(白くまのマークがあるビール)を買って飲んだという。
シロクマ着ぐるみで栄のベルギービールウィークエンドに行ってシロクママークのビール、ヴェデットを買って飲むという企画を完遂しました。捕まらなくて良かった。ビール売り場のお姉さん、会場のお客様、優しい対応ありがとう。 #bbwjapan http://t.co/4mKU8nDTV0
— デゴチ (@degochi) 2015年4月28日
一体どういうこと??
デゴチさんは2014年からこの着ぐるみを来て各種ビールイベントへの参加を続けている。さらに、白くまの着ぐるみを着た状態でうまくビールを飲めるよう「口の構造」を研究し続けているそうだ。
8年に渡る試行錯誤の過程は、デゴチさんがTogetterにまとめている。
勝手に毎年恒例にしている名古屋オクトーバーフェストでのシロクマ着ぐるみ遊びは19:20ぐらいから始めようと思います。なお今年はビール飲み機構の修理が間に合わず、ただジョッキ持っているだけのシロクマです。お邪魔にならないよう心掛けますのでご容赦を。お写真撮影も大歓迎です。 #nagoyaoct https://t.co/9VsvrMoc1b
— デゴチ (@degochi) 2018年7月18日
確かに着ぐるみを着たままでビールは飲みにくい。脱いで飲めばいいものを、なぜ長い間、着ぐるみ姿でビールを飲むことにこだわり続けるのか?デゴチさんの長い研究について話を聞いた。
「シロクマの着ぐるみで行ったら驚くのでは?」というイタズラ心から
なぜシロクマの着ぐるみを着てビールを飲もうと思ったのですか?
私は子どもの頃から工作が好きで、木工や電子工作、陶芸、裁縫などジャンルを問わず『無いモノは作る』をモットーにモノ作りを趣味にしていました。
学生時代、冬にスノーボードなどで遊ぶ際「スキー場でリアルなシロクマの着ぐるみを着て行ったら皆ビックリして面白いのでは?」というイタズラを思いつきました。
ただ、当時販売されていたのはデフォルメされたアニメキャラクターのようなクマの着ぐるみばかり。「それでは作ってみるか」という安易な考えでリアルなシロクマの着ぐるみを作り始めました。
ビールを飲める仕様にしたのは、もともと私がビール好きだからです。
私の住む名古屋市では毎年7月にドイツのビールのお祭り「オクトーバーフェスト」を模した「名古屋オクトーバーフェスト」というイベントが開催されていました。そこに「シロクマの着ぐるみで行ったら、みんな驚くのでは?」というイタズラ心から、着て遊びに行くようになりました。それが2014年のことです。
当初はビールを飲むための仕組みは着ぐるみにはなく、着ぐるみの姿でビールを買ったり、飲み終わったビールジョッキをもってお祭りの様子を見るだけでした。
名古屋オクトーバーフェスト、今年も行けました。楽しかったです。 #nagoyaokt http://t.co/jyQ1VyaEaB
— デゴチ (@degochi) 2014年7月18日当然の帰結として「着ぐるみを着たままでもビールを飲めるようにしよう」という考えになりました。
こうして2015年から、「上手にビールが飲める口の構造」の研究が始まったという。
シロクマ着ぐるみの頭部に、アゴ可動と飲み物飲むための機構を組み込む試行錯誤中です。リアルに見える頭の大きさ、角度を維持しつつ、そういったギミックを入れる事はかなり大変です。 http://t.co/7vwUBtrwbo
— デゴチ (@degochi) 2015年6月28日
改良の過程を教えてください。
最初に試したのは「下あごパーツだけを作りビールを注ぎ込む方式」です。この方法は、ビールのこぼれっぷりが豪快で実用的ではありませんでした。
その後「ストローを仕込んで吸う方式」に改良しました。この方法では、たとえばジョッキを持つ手の部分から着ぐるみの中を通して口までチューブを伸ばして飲むなどしていましたが、長いチューブにビールが滞留してしまう問題が発生しました。
さらに改良し、上唇付近にストローを持ってくる形にしましたが、今度は下唇がないため、ここでもあごからビールがこぼれ落ちる大惨事となってしまいました。
着ぐるみの口の構造はまだまだ進化させる予定ですか?
おおむね現在の、「上唇をストローのようにすぼめてコップから液体を吸って飲む」という動作に落ち着くと思います。
そのため、この構造で完成度を高めていく予定です。
2022年10月、最新の構想がこちら。
もう何回も描いている『生き物の口の構造を再現して作って着ぐるみのままコップから液体を飲む機構』のスケッチ。
製作着手しようとするたびに描いているけど、エジプトのピラミッドの壁画かよ。目がいけないのか。
あと半端な断面構造だとムカデ人間っぽい雰囲気がスケッチに現れるの、なぜ? https://t.co/x7BO5ODCrr
— デゴチ (@degochiyakuri) 2022年10月30日
8年と長きにわたり研究されていますが、長期間研究を続ける動機を教えてください。
「リアルな白くまの着ぐるみが、自然な感じで本物の生き物のように口からビールを飲んでいる」という楽しい光景を作りたいというのが動機です。
自分が笑いたいし、それを見た人が笑ってくれたらさらに嬉しいです。
「おもしろがって欲しい!」という動機だけで長年ストイックな研究を続けてきたデゴチさん。
最近は科学系フリーライター集団に所属し"覆面のおかしな怪人"として、「薬理凶室」という共同ペンネームでの活動もスタート。 大人だけでなく中高生向けにもわかりやすく親しみやすい内容の『アリエナイ理科』というシリーズ書籍を発行している。
その「薬理凶室」メンバーで2023年2月に開催予定のイベントに、白くまの着ぐるみの覆面として参加し、着ぐるみでビールを飲むパフォーマンスを計画中だとか。
生の白くまに会いたい人は、ぜひ「薬理凶室」のTwitterアカウントをフォローして、イベントの詳細発表を待ってみては。