日本列島が東西に分かれた!末尾に「谷」と「沢」がつく地名を地図化した検証結果が興味深いと話題

こんなにはっきり東西差が!
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谷と沢

末尾が「谷」と「沢」の地名を日本地図に落とし込んでみたら、きれいに東西差が出たという投稿がTwitter上で話題となった。

この地図を作成したのは、地理に関わる仕事をしている地理Bの旅(@chiri_b_geo)さん。地理院地図の画像を使っていろいろ検証するのが趣味の地理Bの旅さんは、末尾に「谷」と「沢」が付く全国の地名を地図化してみたところ、西日本側は「谷」、東日本側は「沢」の付く地名が多いと判明した。

Twitterユーザーからは「実に面白い! 地名の付け方にこれだけ特色があるのか」「こういう気付きってすてきですね」など、地名の奥深さに感動したり「谷」と「沢」について考察したりする声があがり、4.3万以上のイイネがついた。

今回の地図化について、地理Bの旅さんから普段から地理に携わっている人ならではの話を聞いた。

地名の地域性に関心があったため

末尾が「谷」と「沢」の地名を地図にした経緯を教えてください。

「谷」と「沢」の地域差はすでに地理学の書籍でも紹介されており、もともと地名の地域性に関心があったので自分でも確かめてみようと思い作成しました。

今回使った人間文化研究機構の「歴史地名データ」には旧五万分の一地形図に記載の地名が緯度経度の情報とともにテキストデータでまとめられており、難しい操作をしなくても地図化ができます。

国土地理院が公開している「地理院マップシート」を使うと、エクセルの操作だけで数種類の凡例(マーク)の分布図が作れるので、あまり時間をかけずに地図化することができました。

きれいな東西差があらわれたことについてどう思いましたか。

予想したよりわかりやすく分かれたので、面白かったです。

東西といっても関東には「~谷」と書いて「~や」・「~やつ」などと読む地名があるのですが、説明を簡潔にするために東西という表現にしました。

地図化した「谷」と「沢」を見た、ご自身の考察を聞かせてください。

「谷」と「沢」の東西差はすでに地理学の書籍でも取り上げられているものですが、地域差の背景は分布の地図化だけでは説明ができません。

今回の地図は、地名の地域差をさらに詳しく考えるためのきっかけになると思っています。

Tweetの反響についてどう思いましたか。

予想を大きく超える反響があり、たくさんの方が関心を持ってくださって嬉しかったです。

今回の地図化に用いた「歴史地名データ」と地図化に使った地理院地図は、誰でも使えるものなので、皆さんにも実際に試していただきたいと思います。

谷と沢
駅前への立地が一目でわかる各牛丼チェーン店のマップ

地図を作成する上で、皆さんに活用してほしいものがあれば教えてください。

地理院地図には住所を読み込んで分布図を作成できる機能があり、牛丼チェーン店マップはそれを使用して作成したものです。

このほか、地理院地図で「自分で作る色別標高図」を使うと、都市の成り立ちを地形から読み取ったり、災害への備えを考えたりすることもできます。

高校の授業で地理総合が必修になるなど、地理の重要性が幅広く認識されるようになりました。皆さんにもさまざまな場面で地理院地図を活用していただきたいです。

谷と沢
「自分で作る色別標高図」の使い方をツリーで詳しく解説している

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