威嚇されても遊び続ける野生のオウムの動画がじわじわくる オーストラリアの平和な野鳥ライフについて聞いた

おちょくっているのではなく、遊びに夢中なだけ?
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オーストラリアの公園にて、オウムの仲間であるテンジクバタンとキバタンが対峙する動画がTwitterで話題となっている。

テンジクバタン
威嚇するかのように羽を広げるキバタンだが…
テンジクバタン
近づかれても全く動じず遊び続けるテンジクバタン
テンジクバタン
キバタンはちょっかいを出すのをやめて退散…

投稿したのは、オーストラリアのシドニーに住むAzusa(@chibitaro0612)さん。

ごろんと転がりお腹を見せた状態で、木の棒をつかみながら遊んでいるテンジクバタン。そこへ同じオウム科で体の大きなキバタンが現れるが、テンジクバタンは遊びに夢中で全く動じていない様子。

キバタンは威嚇するかのように大きく翼を広げて見せるがそれでも意に介せず、テンジクバタンは遊び続けていた。すごすごと退散するキバタンの背中にやや哀愁を感じる。

テンジクバタン
お腹を見せて遊ぶ姿がかわいい

Twitterユーザーからは「こんな態度取られたら、キバタンも威嚇する気が失せちゃいますね(笑)」「テンジクは遊び方が本当にかわいい」といった感想が届いた。

Azusaさんに、オーストラリアの野鳥事情について詳しく聞いてみた。

日本のカラスやスズメくらい身近な存在

テンジクバタンやキバタンにはシドニーのどんな場所で会えるのですか?

公園や住宅街の歩道、民家の庭など、あらゆるところで出会えます。日本で言うとカラスやスズメくらい身近な存在です。

都心部からほど近い植物園や大きな公園などにも群れでやってくるので、観光客の方でも野生のオウムを楽しむことができますよ。ただし、彼らが活発に活動するのは採食の時間である朝と夕方で、昼間は樹上で休んでいるため見つけるのが難しいです。

オウムたちは人間に慣れていますか?

オーストラリアに数多く生息する鳥類の中でも、キバタンは一番人間に慣れています。

またテンジクバタンも、スポーツを楽しむ人々がいるグラウンドの片隅で採食する姿をたびたび見かけるので、慣れているのでしょうね。

動画のようなテンジクバタンの「なめきった」行動は、よく見られますか?

テンジクバタンに限らず、アカビタイムジオウムやモモイロインコなども、キバタンに対してかなり強気なのは日常茶飯事です。なかでもテンジクバタンが一番なめた態度だと思います。

おいしそうな餌場、穴掘りできる木の根元などの遊び場や、おもちゃになりそうな小石や小枝をキバタンから奪うことはよくありますし、羽繕いし合っているキバタンをわざわざ邪魔しに行くこともあります。

私が見ている限りでは、テンジクバタンは陽気で天真爛漫な印象です。そのため、キバタンをおちょくっているように見えるのかもしれません。一方キバタンは根に持つ傾向にあるようで、テンジクバタンに何かされた後はもの言いたげな目でじーっと見つめていることがあり、その対比が面白いです。

シドニーならではの鳥エピソードを教えてください。

シドニーではオウムやインコたちは身近な存在ですが、特徴的な鳴き声のワライカワセミや賑やかなクロガオミツスイ、声の良く通るフエガラスなどが庭先にやってくることもあります。

日本とのオンライン会議中に、ワライカワセミの笑い声のような鳴き声が響き、さらにキバタンがギャーギャー鳴きながら家の上を通過した時があり、「一体どんなところに住んでいるの!?」と驚かれました。

また、こちらの動物園では大きなオーストラリアクロトキがあちらこちらで見られるので、野鳥になじみがないうちは「バードケージから逃げ出しちゃった!?」と驚く方も多いです(私もそのうちの一人でした)。

オウムの生息エリアには、天敵である大型の猛禽類や爬虫類がいないので、今回の動画のようにオウムたちが伸び伸びと暮らしています。そのような環境のため、両脚を同時に怪我で失ってしまったキバタンが1年近くも生き延びています。ハンデがあってもたくましく生きていく野鳥の姿を身近にみられるのも、オーストラリアならではでないでしょうか。

テンジクバタン
モモイロインコのチャーリーさん

シドニー在住2年目のAzusa(@chibitaro0612)さんは、オーストラリアで見られる野鳥やご自身で飼っているモモイロインコの画像を日々Twitterに投稿している。シドニーの鳥さんたちをもっと見たくなった人は、ぜひフォローしてみては。

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