「終わった…」マンション屋上にウミネコの巣と卵を見つけて住人が頭を抱える理由は?当事者に話を聞いた

もしこれが自分のマンションだったらと思うと…
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東京のとあるマンションの屋上にて、複数のウミネコの巣と卵が産み付けられている様子を写したツイートが注目されている。

東京都心で野鳥の巣や卵が見つかったなどと聞くと「都会にも自然が残っている」といったほっこり話題かと思われるかもしれないが、実はそんな呑気な話ではない。

屋上に産み付けられたウミネコの卵

これらの画像を投稿したのは水生昆虫ブロガーのゲンゴロウ飼育ブログ(@gengo6com)さん(以下、投稿者)。

2013年頃から東京の23区のうち、台東区、墨田区、江東区、中央区の4区の住宅ではウミネコによる被害に悩まされている。投稿者もそのひとりだ。

東京都の資料によると、ウミネコは繁殖期である4月~8月ごろ、毎年約100羽が複数の建物の屋上に集団を形成し、産卵・子育てをしている。営巣や子育ての場所に屋上が緑化されているビルやマンションを選ぶ傾向があり、それらの物件の住民は一日中ウミネコの鳴き声を聞かされ、大量のフンをまかれるといった影響を受けている。

では、ウミネコを自分で駆除してしまえばいいと思う向きもあるかもしれないが、ウミネコは鳥獣保護管理法の保護対象であり、捕獲は禁止されている。ただし令和4年4月からは東京都の許可を受けた業者が3月~8月の期間に限ってヒナと卵を撤去することが可能となった(東京都環境局「第13次東京都鳥獣保護管理事業計画について」)。東京都としてもできるだけの対策は考えているようだ。

生活を脅かされている側にとって防鳥対策にかける負担は大きいもの。こうした状況から、投稿者が「終わった…」と絶望するセリフとともに投稿した理由が理解できるだろう。

Togetterオリジナル記事編集部では、投稿者のゲンゴロウ飼育ブログさんに現状を伺ってみた。

マンションの屋上はウミネコのフンだらけに(画像提供:ゲンゴロウ飼育ブログさん)

業者が駆除したあとに、再び巣と卵が増えた

ウミネコの巣と卵を見つけたのは今回が初めてだったのでしょうか。

私が気づいたのは初めてですが、マンションとしては5月に1回、区から紹介された業者による駆除を行っているとのことです。聞いてる数からすると、その時より巣・卵ともに増えています。

卵がある巣の付近を飛び回るウミネコたち(画像提供:ゲンゴロウ飼育ブログさん)

現時点では、どのような対策が進んでいますか。

 今回のように巣を撤去してもまた産んでしまうことがあるため、一般には屋上にネットを設置する方法での対策が一般的です。

業者に見積りを取ったところ多額の費用がかかるとわかったため、マンションで臨時総会を開いてでも今回、対策すべきか検討中だと聞いています。

 お住まいのマンションでウミネコの問題に悩まされているのはいつ頃からですか。

行政文書などにも目を通して東京都のウミネコ問題については認識済みでした。

マンションについては2021年くらいから気づいていて、2022年には数十羽の群れが深夜、早朝と鳴いたりして寝付けないことがありました。 ただし、本マンションで営巣確認されたのは今年が初めてと聞いています。 

東京都の対応には満足されていますか。

都も問題を認識して対策に動いている点は評価しています。

具体的には2022年から鳥獣保護管理法の例外として、都から許可を得た業者による繁殖時期のヒナと卵の駆除が可能になりました。 それ以前はウミネコは鳥獣保護管理法で保護されていて、有害鳥獣駆除のハードルが非常に高く、実質駆除不可能でした。

また、投稿者はツイートに対する反応について、事情を知ってか知らずか「こっそり捨ててしまえば」「動物をけしかけては」など、違法行為につながるような提案も多く「うんざりしてしまった」と話している。

ウミネコの群れによる生活環境への被害は東京都特有の事象だという。その点、広く知られていない事柄かもしれないが、東京都心においても野生動物による被害とは決して無縁ではないのだ。

参考資料

【ウミネコの被害状況及び対策について】 東京都環境局(PDFファイル)

ウミネコによる被害を防ぐために(台東区)

ウミネコの被害について(墨田区)

編集部注:記事本文の表現を修正しました(6/12)

(修正前)ウミネコは繁殖期である4月~8月ごろに100羽以上の集団を形成して産卵・子育てをする。
(修正後)東京都の資料によると、ウミネコは繁殖期である4月~8月ごろ、毎年約100羽が複数の建物の屋上に小集団を形成し、産卵・子育てをしている。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。