黒澤映画「蜘蛛巣城」のあの伝説的なシーンの撮影で使われたトリックについてのお話「それでもやっぱり怖い」

超望遠の圧縮効果の話
326
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

三船敏郎に本物の矢を射掛けて撮影された、と伝説的に語られる『蜘蛛巢城』のクライマックスですが、実はトリックは存在します。矢は本物です。トリックはレンズに有るのです。三船の真横に突き立つ矢と三船の間には実は充分な距離が有るのですが、超望遠で撮っているので距離が圧縮されてしまう。 pic.twitter.com/V28Ms63Hjn

2018-03-23 12:41:40
拡大
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

『蜘蛛巣城』ラストの矢の雨の撮影法の内、壁に突き立つ矢の説明をしましたが、当然全てをそれだけで撮った訳では有りません。三船のボディやすぐ側に刺さるものは『七人の侍』で黒澤が発明した、矢を中空に(詰まり管状)してテグスを通して的に固定し、射る手法です。テグスが弛むと危険な方法ですね。

2018-03-23 23:34:11
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

最後の、三船の首を横様に矢が貫くカットは、まず三船の前を矢が何本も通り過ぎる所を撮影。この内、三船の首付近を矢が通った瞬間を狙ってフィルムをカット。矢を首に装着した三船のショットに編集で繋ぐ。この時若干位置がズレるのが、却って刺さった瞬間の衝撃に感じられて効果を増幅させています。 pic.twitter.com/VYJnULx4QU

2018-03-23 23:48:42
拡大
リンク Wikipedia 蜘蛛巣城 『蜘蛛巣城』(くものすじょう)は、1957年(昭和32年)1月15日公開の日本映画である。東宝製作・配給。監督は黒澤明、主演は三船敏郎。モノクロ、スタンダード、110分。シェイクスピアの戯曲『マクベス』を日本の戦国時代に置き換えた作品。ラストに主人公の三船が無数の矢を浴びるシーンで知られる。原作の世界観に能の様式美を取り入れ、エキストラ人員とオープンセットは黒澤作品では随一の規模で製作された。第31回キネマ旬報ベスト・テン第4位。北の館(きたのたち)の主・藤巻の謀反を鎮圧した武将、鷲津武時と三木義明は、喜 48
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

『蜘蛛巣城』の矢の場面の撮影方法、解り難い部分も有ったかに思えたので補足。望遠レンズに拠る、奥行きの消失と云うのは、撮影に詳しいか、レンズに興味有る人以外には中々把握出来ない部分だと思います。望遠で撮影された場面を見て奥行き数cmに見えてもすんごい離れてたりするんですよw pic.twitter.com/eKZrCX7jl4

2018-03-24 03:21:41
拡大
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

と云う事なので、その場面で使われた望遠レンズが何㍉か判らない状態で、奥行きの距離数センチじゃん!とか決められないんです。数メートルかもしれない訳で。特に黒澤明は、狭い茶室のセットの内部を撮影するのに、スタジオの外にカメラ置いて超望遠で撮る人ですからねw

2018-03-24 04:50:21
リンク Wikipedia 高寺彰彦 高寺 彰彦(たかでら あきひこ、1960年7月18日 - )は、日本の漫画家。静岡県下田市出身。漫画情報誌『ぱふ』へマンガの投稿をしながら、まついなつきの紹介で大友克洋と知り合い、大友の『気分はもう戦争』第4話からアシスタントを始める。1980年、『マンガ奇想天外 SFマンガ大全集 No.4 1981年 WINTER』に「FOGGY GOBLIN」を発表してデビュー。デビュー後も自作品を描きながら、大友のアシスタントを『AKIRA』の頃まで続ける。他にも白山宣之の仕事も手伝い、逆に大友や白山がデビューした
Otowa @___otowa

@Ace_Number1 @mondocomics2013 写真の教本とかで出てくる圧縮効果ってやつですね

2018-03-23 19:35:35
こいずみりく@9月中は秋休みを頂きます🐢 @koizumiriku5133

いわゆる、「箱根駅伝で2位の走者が1位のすぐ後ろに迫って見えるけど空撮で見ると実は結構距離がありました」現象ですね。 twitter.com/Ace_Number1/st…

2018-03-23 19:44:49
鮪鯨人(ゆうげいじん)@角刈り @yuugeijinn

航空機撮影でも、超望遠による圧縮効果で編隊飛行の距離が極端に詰まる例は枚挙にいとまがないが、映画でもあったとは…… twitter.com/Ace_Number1/st…

2018-03-23 21:21:51
放牧執事 @situ_ji

@Ace_Number1 スチールで見ると三船敏郎の指が壁の穴にでも入っているように見えますがこれは遠近感を誤魔化すために矢の当たる板が演者と同じ平面上ではなく前に出ていて指が隠れてしまっているんですね。

2018-03-24 00:54:36
地虫兵衛 @zimusibei

@Ace_Number1 首に矢が刺さるこのシーン、好き、すごい。いくらコマ送りしてもよくわからなかったのですが、なるほど、そういう方法だったのですね。よくわかりました、ありがとうございます。今でもすごいと思います。

2018-03-25 19:47:51
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

@zimusibei ロンドンの王立劇場のこけら落とし作品としてイギリスで初上映された時は場内に悲鳴が渦巻き、失神者もでたそうですw

2018-03-25 19:49:33
勝見ふうたろー @FuutalowK

@Ace_Number1 矢が首に刺さって「トッ…!」と一瞬固まってこちらを睨みつける三船さんの顔は凄かったですね…

2018-03-23 12:48:18
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

@FuutalowK 矢の刺さる前と後でメイク変えてますしねw

2018-03-23 12:56:43
the OMEN official @BLP4003

@Ace_Number1 とは言えこの距離で矢を射たれては怖いでしょうね pic.twitter.com/yT07D00Tcb

2018-03-25 16:00:14
拡大
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

@BLP4003 前日眠れなかったとも言いますし、三船の顔色が只事でなく、撮影を延ばしたとも言いますね。当然だと思いますw

2018-03-25 16:31:17
しのぐ @_shinogu_

@Ace_Number1 @nawokikarasawa これだけを読むと安全を考慮していたようによめますが、一応七人の侍の撮影時に本当に役者に矢が刺さったことがある例を付け加えておくと当時の状況が理解しやすいと思われます。

2018-03-24 13:34:04
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

@_shinogu_ @nawokikarasawa 七人の侍の時の事故は、黒澤考案のテグス方式がまだ発案して間も無くである故の事故なので、安全を考慮しなかった訳では無いと思いますよwテグスに緩みが有ると的を外れてしまうんです。逆に七人の侍以降にこの事故は起きていません。

2018-03-24 14:22:17
ncc1701 @ncc170116

@Ace_Number1 @sunafukin99 この場面、父が昔から「あれはすごかった、あれはすごかった」としつこく言うので観たら本当にすごかったです。レンズによる圧縮は映画で実によく活用されてますね。私の好きな『ブルーサンダー』で、下から浮上してぬっと現れるヘリの威圧感も圧縮による効果だったと思います。

2018-03-24 10:20:55
高寺 彰彦 akihiko takadera @Ace_Number1

@ncc170116 @sunafukin99 ブルーサンダー面白かったですねwジョン・バダムは映画好きの心をくすぐる作品が多いです。

2018-03-24 14:45:13