️"代官山蔦屋書店、棚と世界観"

5
山本唯人 @tadahitoy

社会学のゼミでフィールドワーク実習をしています。今年のテーマは「本屋さんの未来」。実際の街に出て、「フィールドワーク」ってこんな感じでやるんだと分かってもらうことが目的です。 pic.twitter.com/P5sU3oCOvL

2019-05-24 17:03:21
拡大
山本唯人 @tadahitoy

なので、「本屋さん」はこちらからふった「お題」で、学生が選んだ本当のテーマではありません。それでも10人ぐらいの学生で、そのとき一生懸命考えるので、やっていると深みが出てくることはあります。 pic.twitter.com/Cd3OS7hzge

2019-05-24 17:03:22
拡大
山本唯人 @tadahitoy

今回の実習場所は代官山蔦谷書店。5月14日の午前、みんなで現地に行き、翌週まとめのレポートに、自分なりの「結論」をタイトルとして付けてもらいました。紹介しましょう。書いてくれたのはみな、20歳前後の女性です。 pic.twitter.com/fdBQXbqQHz

2019-05-24 17:03:24
拡大
山本唯人 @tadahitoy

「代官山蔦谷書店は、日常の中の非日常を味わうことのできる本屋である。」 「代官山蔦谷書店は、サービスに溢れた娯楽施設。」 「代官山蔦谷書店は、お客のニーズに合わせて変化することのできる本屋です。」 pic.twitter.com/0EsmSWmJ5A

2019-05-24 17:03:25
拡大
山本唯人 @tadahitoy

2番目のレポートは、「本屋」という概念をふりきってしまい、「娯楽施設」であると言い切っているところが面白いですね。社長の増田さんは喜ぶかな。 pic.twitter.com/6G8kqjfEu1

2019-05-24 17:03:26
拡大
山本唯人 @tadahitoy

3人に共通する蔦谷書店のイメージを突き詰めると、この店では、必ずしも「本」がメインの売り物になっていないという認識を抽出できます。レポートはとりあえずこれを肯定的なイメージでまとめていますが、深く議論すると「本がどこにあるか分かりにくい」という声も出てきます。 pic.twitter.com/h946FgW1sw

2019-05-24 17:03:28
拡大
山本唯人 @tadahitoy

これはぼくも感じました。蔦谷は本とグッズの垣根を取り払った、偶然の、コンテンツとの出会いをもたらすべく棚ができています。それはとても魅惑的ですが、すぐに理解するには十分複雑で、ナビゲーションなしにはたどりつくのが難しい。 pic.twitter.com/MjN8Kgv9pl

2019-05-24 17:03:29
拡大
山本唯人 @tadahitoy

蔦谷にはあちこちに検索用の端末があり、棚を熟知した店員さんがいることでこの問題に対処しています。ただ、この「ひと手間」はけっこうめんどくさい。それでも気にならないとすれば、棚の背後にある「世界観」のようなものを、共有している場合ではないでしょうか。 pic.twitter.com/8i1zUFuphA

2019-05-24 17:03:31
拡大
山本唯人 @tadahitoy

棚の「面白さ」に使づく近道は、パソコン端末の充実よりも、「世界観」の学習にあるのかもしれません。 pic.twitter.com/ZRNu3ifz4Q

2019-05-24 17:03:33
拡大
山本唯人 @tadahitoy

話は変わりますが、蔦谷の棚を見ながら、六本木にあった青山ブックセンターの棚を思い出して、ちょっと懐かしくなりました。あの棚もかなりめんどくさい棚だったと思いますが、当時は全然気にならなかった。むしろ、好奇心を刺激してくれて面白かった。 pic.twitter.com/1wnOotWuUf

2019-05-24 17:03:34
拡大
山本唯人 @tadahitoy

あのとき、別にパソコンの端末なんてなかったけれど、店にいきさえすれば大づかみにパッと勘どころを把握できた。その「世界観」が、今よりも若者たちに広く共有されていたのだと思います。 pic.twitter.com/cUFFWPjY91

2019-05-24 17:03:35
拡大
山本唯人 @tadahitoy

十分に複雑すぎる棚にどうたどりつけばいいか。便利に検索できれば解決するのではなく、ふだんから本の持つ「世界観」を語ってくれたり、わくわくしながら話題にしてくれるひとが世の中に増えることが、棚への本当の近道なのではないかと思いました。 pic.twitter.com/fxeQgRa1J6

2019-05-24 17:03:37
拡大
山本唯人 @tadahitoy

もう一つ、「本に手が届きにくい」という声の背後に、学生目線からみたときの敷居の高さがあります。象徴は書店第2棟、2階の大面積をとっているラウンジでしょう。コーヒーが800円から。相手にしていないと言われればそれまでですが、まぁ学生は難しいですよね。 pic.twitter.com/9tD470wjy3

2019-05-24 17:03:38
拡大
山本唯人 @tadahitoy

2011年刊のコンセプトブック『代官山オトナTSUTAYA計画』によると、代官山蔦谷は団塊世代を「プレミアエイジ」と呼んで、その世代の良質な人びとを引き寄せることが、ほかの世代のけん引役になると、はっきり掲げています。 pic.twitter.com/Gj8F6b4pdo

2019-05-24 17:03:39
拡大
山本唯人 @tadahitoy

午前の開業前だったのでがらんとしているだけでしたが、ラウンジの巨大スペースが実際、誰にどれぐらいアクティブに使われているかは気になるところです。

2019-05-24 17:03:41
山本唯人 @tadahitoy

一方、一番ひとがたくさんいるのは、書店第3棟のスターバックス周辺でした。30~40代ぐらいのひとたちがパソコンを広げて、仕事をしています。それならいっそ、「本屋にカフェがついている」のではなく、「カフェの回りが新刊本の棚で囲まれている」ところまで、

2019-05-24 17:03:41
山本唯人 @tadahitoy

ふり切ってしまえばラディカルですが、それには席数が少なく、いつもひとで埋まっているので、自分がカフェ使いするかというと躊躇します。オープンスペースの配置と使い方は、これからの本屋のポイントになるでしょう。(了)

2019-05-24 17:03:41