常識人は淘汰される? ネットの風潮を左右する”ヤバい人バイアス”とは
こんにちは、小野ほりでいです。
皆さん、 ”ヤバい人バイアス”という言葉をご存知ですか?
専門家によると、そんな言葉はないらしいです。
<登場人物>
エリコちゃん
勤務中にインターネットをするのが生きがいのOL。
ミカ先輩
勤務中以外もインターネットしかしてないエリコの先輩。
よーし、この始末書で午前中の仕事終わり!
さて、息抜きにネットサーフィンでもしようかな?
グオォォォ~! 情報が意識に直接流れ込んでくる!!
こうしてエリコちゃんは死にました
先輩・・・インターネットっていつからこんなにギスギスし始めたんですかね…。
なんかもうどこを見ても炎上とか批判とか悪いことばっかで気持ちが暗くなって・・・。
私の好きな、春の河川敷の高架下に咲いたたんぽぽを愛でていたころのインターネットはどこへ行ったのよ~!
待ってエリコちゃん、まだインターネットに絶望するのは早いわ。
不用意な発言を探しては批判、叩いては炎上…。確かに昨今のインターネットはゴミ溜めよ。
でも、それでもあなたはインターネットを諦めてはいけない…。
なぜならそこには「ヤバい人バイアス」が働いてるからよ!
や、ヤバい人バイアス!!!?????
バイアスって?
バイアスとはここではある条件付けによって公正に評価すべき事象への検証結果に対して生じる偏りのことよ。
「インターネットをしたことがあるか」という調査をネット上でしたら「ある」の率が100%になってしまうわ。
実際は現実の世界にはネットをしたことがない人もいる…。
これによって生じる現実に対する調査結果の偏りが「バイアス」ね。
なるほど…なんだかよくわからないけどとにかくヤバいということですね。
インターネットは人を本来より悪く見せるということよ!
ヤバい人バイアス
ヤバい人バイアスとは、「あるコミュニティにおいて常識的な人ほどしだいに沈黙し、ヤバい人が偏って可視化される事象」のこと。
ネット上には手を出すとヤバい問題が沢山あるの。政治、差別、ハラスメント、ナショナリズム、原発…。
でもそのへんに手を出すとまた炎上するからここは「スキンヘッドとロン毛どっちが良いか」という抗争に置き換えるわね。
こういうふうに、はじめはいろんな立場の人が同じくらいの頻度で発言しているわ。
でも、過激な意見の中の人には「完全に自分と同じ意見でなければ敵。
そして敵は排除すべき」ぐらいの勢いの人もいる。
そしてこういうふうに、中間ぐらいの立場の人たちを両極端の立場の人たちが「敵」とみなして攻撃する。
こういうことが繰り返されるうちに、中間的な意見を持つ人たちは「これはアンタッチャブルな話題だ」と学習してしだいに沈黙する。
そしてついにはバランスの取れた立場の人たちが沈黙し、自分が正義だと信じてやまないヤバい人たちだけが残る。
こうして中間的な立場の人が黙ることによってある話題が過激なヤバい意見だけで溢れかえる、これが「ヤバい人バイアス」よ。
だから忘れてはいけないのは、インターネットがいかに醜くても優しく常識的な人はどこかに隠れているということよ。
ひ、昼間の星のように!!!?????
ヤバくなりたくない!
時には奪い合い、時には傷つけ合い…。
色んな立場がある以上、一度の失敗もなく絶対に確実に誰かを傷つけないようにすることはできない。
昨日被害者だった自分が、今日は加害者になるかもしれないということをいつだって忘れてはいけないのよ。
だけどネットでは、人々は寛容になることを忘れ、他人を断罪するための鈍器ばかり発達させてきた。
なんたら差別、なんたらハラスメント、確かに許されざることだわ。
でも、相手にほんとうに悪意があったのか?ただの不用意ではないのか?
もはや「叩いていい条件」を満たした人に人権なしといった具合にオーバーキルを繰り返すネット民たち、恐ろしいマジで…。
でも忘れないで、ギスギスして息が詰まる…。
そんな気分になったときは、回線を切って外に出ましょう。
先輩…私、ネットにちょっとどっぷりだったみたいです。
今日はもう、回線引っこ抜いて寝ますね。
おやすみ、インターネット…。
さようなら、エリコ…。
私はこのことを伝えるためのプログラムに過ぎなかったの。
エリコちゃん、いままデ、あリガトウ…。
…。
まあいいか。
(おわり)