「宗教的なもの」に「免疫」をつけるための作品たち

倉沢 繭樹 @mayuqix

「宗教的なもの」は不滅だ。原始的社会は、例外なく呪術・宗教的だった。 　「脱呪術化」した現代においても、「宗教的なもの」は力を失っていないように見える。

倉沢 繭樹 @mayuqix

と、大仰に言ってみたが、「宗教的なもの」を感じ、考えて、「宗教バージン」にさよならするためにいくつかの作品をとり上げてみたい。

倉沢 繭樹 @mayuqix

ビートたけしの小説が原作で、映画化された『教祖誕生』は、「ネタ」で信仰宗教の教祖におさまったモラトリアム青年が、だんだん「ベタ」に教祖の役割を果たそうとする姿が滑稽でもあり、興味深くもある怪作だ。

倉沢 繭樹 @mayuqix

実質的な「黒幕」の幹部、司馬の宗教観が面白い。たとえばスゴいバンドがいて、演奏するとゴキブリも象も踊り出す。神ってそんなものじゃないのか。病気を治す神に何の意味がある、と。

倉沢 繭樹 @mayuqix

観終わった後、言い知れぬ感情を喚起する、青山真治監督映画『ユリイカ』は、直接的に宗教に触れてはいない。しかし、バスジャック事件のトラウマから「殺人鬼」になった少年を、その事件を彼と共に体験したバス運転手の沢井が救おうとする姿に、

倉沢 繭樹 @mayuqix

「社会」を突き抜けた者たちがもたらす「癒し」を感じることができる。それはどこか「宗教的なもの」に通じる気がする。

倉沢 繭樹 @mayuqix

僕が高校生の頃に読んだ、トルストイの短編小説『光あるうち光の中を歩め』は、ある意味キリスト教的な「説教」なのだが、若い頃にこうした小説を読んでおくと、「宗教フォビア（恐怖症）」を克服することができるかもしれない。

倉沢 繭樹 @mayuqix

遠藤周作の『イエスの生涯』と『キリストの誕生』は、「ただの人間」イエスが、後世の人々にいかに神格化されていったか、という視点で読むと気づきを得ることができる。中村元『ゴータマ・ブッダ』とあわせて読むと、より理解が深まると思う。

倉沢 繭樹 @mayuqix

「ただの人間」イエスとシャカが、いかにして「メシア」キリストと「覚者」ブッダになったか、を知ることで、たとえば「宗教的なもの」のセクト化・カルト化を考えるヒントになると思う。

倉沢 繭樹 @mayuqix

高橋泉監督映画『ある朝スウプは』は、パニック障害をきっかけに新興宗教にのめりこんでいく男と、それを引きとめる女を描いている。「包括的承認」の源泉である宗教と性愛の「綱引き」だ。

倉沢 繭樹 @mayuqix

現実に自分の望む居場所を得られない者たちが、「地位代替機能」を果たす新興宗教教団で「上昇」をはかろうとする「オウム真理教的現象」を考える上で重要な作品だと思う。

倉沢 繭樹 @mayuqix

マイケル・ウィンターボトム監督『ウェルカム・トゥ・サラエボ』は、戦下のサラエボを取材するイギリス人ジャーナリストが、たまたま、雨あられと砲弾の降る下で死体処理をする年端もゆかぬ少年司祭を目撃したのをきっかけに、孤児を集めてイギリス本国に送り、命を助けようとする、という映画だ。

倉沢 繭樹 @mayuqix

ヒューマニズムなどではなく、何か信じ難いものに接触したことが、彼を衝き動かす。それは「宗教の発生」（宮台真司）のようなものだ。

倉沢 繭樹 @mayuqix

最後は、変わり種、島田雅彦の短編小説『ミイラになるまで』。樹海で飢えてミイラになっていく男の独白を日記調で綴っている。いよいよ今はの際、男は光を見る。これを神秘的と思うか、生理現象だと思うか。

倉沢 繭樹 @mayuqix

瀬名秀明『ブレイン・ヴァレー』とあわせて読んで、考えてみるのもいい。「宗教的なもの」がもたらす体験の構造を考察する一助になるだろうと思う。

倉沢 繭樹 @mayuqix

様々な懐疑を乗り越えて、信仰の道を選ぶのなら、それはもう個人の自由だと思う。僕は、基本的に宗教は「偉大な精神文化」だと思っているので、敬意を払うに止めたいと思う。

倉沢 繭樹 @mayuqix

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