スゴロクカラテリヴェンジ【ヒア・カムズ・ニュー・チャレンジャー】(実況付き)
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「タクミ・スシ」。ネオサイタマ某所にその小さなスシ・バーはあった。店主の名はカンナ。店を継いだばかりの、まだ若い女スシ職人である。マッポーのネオサイタマにおいても、彼女の店は細々と続いていた。あの風変わりなニンジャのおかげと、カンナは勝手に思っている。79 #4215tk
2015-05-01 00:33:05ニンジャ……そう、ニンジャだ。ひどくタチの悪い客に暴れられていた所に入ってきたそのニンジャは、瞬く間にそいつを蹴り出した。そしてスシを幾つか食べ、満足げに帰っていった。以来、オトクイサマとして訪れるようになった。ニンジャの噂はガラの悪い客避けとなった。80 #4215tk
2015-05-01 00:36:04それ以来、カンナはそのニンジャにちょっとした尊敬を抱いている。時折ぱたりと来なくなっては、嘘のような探検譚を肴にスシとサケを嗜んでいく。そういえば、またしばらく顔を見ていない……彼女がそう考えていた矢先。「ミャオーウー」来客を知らせるマネキネコ・チャイム。81 #4215tk
2015-05-01 00:39:12「エーラッシェー!」アイサツを投げかけたカンナは、入ってきた客に目を見張った。「エクスプローラー=サン!」「ドーモ。ゴブサタです」中折れ帽に迷彩ニンジャ装束のニンジャが店内へ入ってくる。「ゴブサタです。それは?」「ウム」彼は荷物をカウンターに置いた。82 #4215tk
2015-05-01 00:42:03カンナは目を丸くした。丸太めいてカウンター上に乗せられたのは、立派なオーガニックマグロである!「これは……」「探検の成果だ。マグロそのものではないぞ。探検で稼いだカネで買ったのだ」エクスプローラーが中折れ帽を深く被り直す。「貴女にプレゼントしようと思ってな」83 #4215tk
2015-05-01 00:45:04「プレゼント!?」カンナは思わず頓狂な声を上げる。「そんな……勿体無いですよ」「そんなことはない。受け取ってくれ」帽子の縁から目を覗かせ、エクスプローラーは言う。「俺はな。今疲れ果てているのだ。貴女の握ったスシで疲れを癒したい」その言葉の響きは切実だった。84 #4215tk
2015-05-01 00:48:06カンナはオーガニックマグロとエクスプローラーを交互に見、逡巡していた。が、その表情が綻ぶ。「ハイ、ヨロコンデー」「うむ」「下準備に時間がかかります。サケを?」「頼む。……ああ、そうだ」彼は懐からレコーダーを取り出す。カンナは不思議そうにそれを見つめた。85 #4215tk
2015-05-01 00:51:02「準備をしながらでいい。俺の探検譚を聞いてくれるか」「また探検ですか?」「そうとも。探検はいいぞ。まずカラテが」「鍛えられる」「よくわかるな」「何度も聞いてますから」「そうだったか?」エクスプローラーはバツの悪い顔をする。が、その表情がすぐに悪戯っぽく輝いた。86 #4215tk
2015-05-01 00:54:05「いいか、カンナ=サン。俺はな、ニンジャ砦を踏破したのだ」「ニンジャ砦ですか」彼女は微笑みながらサケを出す。受け取ったエクスプローラーはそれに口をつけた。「誓って言うが本当だぞ。レコーダーにも吹き込んである」「疑ってませんよ」「本当か?」「本当です」87 #4215tk
2015-05-01 00:57:06カンナはニコニコと笑う。釣られて笑みを浮かべたエクスプローラーは、レコーダーのスイッチを入れた。探検の思い出が、狭いスシ・バーの中に満ちていった。88 #4215tk
2015-05-01 01:00:05次でサイコロ【6】を出し、ゴウランガ! エクスプローラーは見事生還! オーガニックマグロに、体力回復のためありったけのスシを買った。◇よかったね!◇ #4215tk
2015-05-01 01:00:28