鈴木智彦さん、うなぎ／鰻／ウナギを追う。

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

決戦は土用の丑の日。一年で唯一、マスコミすべてがウナギに注目する日。

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ウナギ取材で台湾です。インタビュー時、スマホ触ってるフリで隠し撮りはあんですが、取材相手のかなりがこっちの写真や動画を白々しい演技で撮影してくるので、編集が超絶びびってます。ま、いけない場所に触ってるからね。覚悟決めろっつー話。 pic.twitter.com/nQi5RnBNBO

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真面目なので、田ウナギを食べにきました。 pic.twitter.com/FcWZUgZuHc

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地方のコンビニだと、俺のかーちゃんの実家近くにセブンイレブンがあって、昔からの知り合いが経営してるわけですが、夏場、ウナギ販売のノルマがあって、付き合いで毎年買うはめになるらしい。絶滅危惧種をそんな売り方……などといちいち言わないけど、ひょえーとは思う。

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｢日本のウナギはまずいというけど、アルマーニじゃなくユニクロ作ってるんだから｣と言い放ち、それを書いたら訴えると言ってきて（書いたけど）、その後えらくもめたのは鹿児島の大規模養鰻業者です。今回、台湾・香港と取材して確信したけど、日本のウナギが美味いはずがない。売るための国産信仰。

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よくこんな記事書くよなと思う。元来、新仔には初鰹的な意味はあっても決して美味いものじゃない。11月、12月あたりにシラスを池にいれ、重油炊いて水温を上げ、真っ暗のなか眠らせず、ずっと餌を食べさせ続け、わずか半年で太らせたのが新仔です。j-town.net/miyazaki/gourm…

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対して外国のウナギ養殖、台湾や中国では、露地池にシラスをいれるので成長が遅い。出荷まで一年から二年かかります。異常な環境に追い込んでブロイラーのように育てたウナギと、どっちが生物として健全か、論じるまでもないこと。そして加温ハウス養鰻のウナギはそうしても匂いがとれず臭い。

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あとプロ信仰も捨てたほうがいい。ウナギには大きさ以外の等級がない。つまり老舗だろうがスーパーだろいが、同じウナギを仕入れてる。そして蒲焼きの職人は低賃金と労働条件の悪さで慢性的に不足しててかなりを派遣に頼ってる。同じウナギを、派遣が、同じようなたれで焼いて味に違いがでるはずない。

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マスコミもその片棒を担いでる。うなぎ関連業者に小一時間さらっと取材し、｢国産はまずい｣なんて言質を引き出せるわけがないのに、セールストーク・建前を真に受けてパブ記事を書く。中国の悪口書けば売れるという風潮もあって、わかっててもそれにのっかる。美味いは主観だ。それが逃げ口上。

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築地という魚のプロにもピンキリはある。今の築地にはウナギを扱う仲卸が8～9軒くらいあるんだけど、そのひとつにちゃきちゃきの江戸弁を使い、威勢がいいことで有名な仲卸がある。ウナギ屋の大将といった時、あれこれ質問してみたんだけど、嘘ばかりだった。それ以上突っ込むことはしなかったけど。

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おまけにシラスは真っ黒だ。日本で採捕されるざっと半分が密漁・密流通で暴力団の太いシノギになっている。そして輸入されるシラスは台湾や中国から密輸され、シラスの獲れない香港産として輸入される。俺はなぜここにいるか。シラスはマフィアの資金源だと当てをつけたからで、やっぱり正解だった。

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絶滅危惧種のウナギを食えば、あなたも反社会勢力や黒社会のタニマチです。国民全員共犯者。最高にいかれてる。そしていかしてる。爽快すぎる。

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ちなみに台湾・香港取材の経費は120万円を突破してしまった。ウナギだけ、今回だけで。金があったとしても、時間がかかるし、ウナギ関連業者の誰もが、犯罪に関わってる意識がある。実際みんな歯切れが悪いでしょ？だから関係者を口説くには時間をかけるだけでは成功しない。面倒極まりない案件。

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本来俺のやってる取材は、ウナギの産地として有名な、たとえば静岡、愛知、宮崎、鹿児島なんかの地方紙が手がけるもんだと思うんだけど、彼らは地元に反目できない。簡単な話だ。マスコミは商売だからだ。

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ウナギは見出しが立つ。絶滅危惧種指定、暴力団やマフィアが明確に絡むけだけでなく、例えば｢東京都が運営してる築地市場の一部は泥棒市｣とか編集者が喜んでやりそう。過激にいくと嘘っぽくなるので淡々といきます。ファクトなら捨てるほどある。訴訟は当然、想定内。出るとこ出たほうが話が早い。

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日本で食べられているウナギは、主にニホンウナギとヨーロッパウナギ。前者をアンギュラ・ジャポニカ、後者をアンギュラ・アンギュラと言います。ニホンウナギは絶滅危惧種だけとワシントン条約ではセーフ。ヨーロッパウナギはとっくに規制対象です。wwf.or.jp/activities/200…

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今までは日本でヨーロッパウナギが見つかっても、｢中国の池に残っていた｣と言い訳できました。去年、あちこちの量販店で買ってきた激安ウナギをDNA検査したら、ヨーロッパウナギはひとつもなかった。でもシラス業者は｢前年の日本が豊漁だったから｣と言っています。今年もDNA検査はやります。

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

商社や水産大手、コンビニやスーパーのウナギ担当者のみなさん、検査結果が出たら連絡しますんで、できたら取材拒否しないでください。それはそれで、回答の一つではありますが。どうぞよろしくお願いします。

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さて本日は帰国。イギリスのEU脱退騒ぎで特集が飛んだので、当座の締め切りはない。まず荷物ほどいて洗濯し、写真の現像あたりまで。ウナギ記事の締め切りまでは一週間ある。早めに書き上げ、切ったり貼ったり叩いていこう。

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

@kansaihu 三重で養鰻が盛んだったのは1970年代だそうです。

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@ZZjSiOOSjWH5JLJ 昨年でもっとも高値だった時、シラスは1キロ300万円でした。

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

今年の｢うな丼の未来を考えるシンポジウム｣、研究者のもめ事で現実的な視点を持った学者さんがけっこう抜け落ちちゃったけど、ノータッチだった密漁、密流通、密輸に触れるそう。水産記者は｢調べてもいないのに｣と懐疑的です。俺のウナギ原稿はその翌日に発売です。土用の丑の日は7月30日です。

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

書いてるだけで心臓がばくばくして、｢まずいまずい｣とか、｢やばいやばい｣と独り言が漏れてくるウナギの原稿ってなんなんすかね。今年も｢うなぎ登り｣と｢つかみ所がない｣の２つは、積極的に封じ手としたいです。去年は一方を業者の言葉で使ったんですが、すごく悩んだ。そこにか！

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

誰も知らない分野に踏みいるスリル、原稿を書きながら味わう、パズルが完成する瞬間のような高揚…金で買えず、麻薬のような、くせになる精神的充足。でも毎回こうだったら心臓持たない。元来、暴くなんて行為はサイコパス向きと思う。俺には決定的に向いてない。

鈴木智彦／SUZUKI TOMOHIKO @yonakiishi

@kij_kai うな丼シンポが7月19日、ウエッジの発売が20日です。