Fallout鎮守府 吹雪＆磯波編　探索中

スフィルナ＠治療中 @finad8

「まだ、眠るわけには……」 30分ほどは何とか耐えしのいだが、吹雪は睡魔に負け目を閉じてしまう。 コンクリートの壁を背に、規則正しい寝息をたて吹雪は戦闘の疲労を癒すための休息に入る。 #Fallout鎮守府

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「……おきて。」 吹雪が目を覚ますと、磯波の顔が真正面にあった。 磯波がぺしぺしと頬を叩いているのを感じ、吹雪は磯波の手を握ると磯波が引き起こす。 「どれくらい寝てたの……？」 「4時間くらい……それで、外に誰かいるみたいです……」 #Fallout鎮守府

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外と聞き、吹雪は10ｍｍ拳銃を両手に持つと入口の鉄格子の外を覗く。 真っ黒なパワーアーマー、それも凶悪さを前面に押し出したような形状を持ったのを着用している兵士が外を警戒していたのだ。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/Uoxuk

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「あれは……何？」 磯波が吹雪に尋ねると、吹雪は首を振ると声を潜めながら答える。 「見つからないよう祈って。やり過ごすしかない。」 「何でですか？」 「パワーアーマー着てる兵士に銃弾なんて通用しない……デスクロー以上の強敵だから……」 #Fallout鎮守府

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12.7ｍｍ弾すらはじき、ミニガンや重機関銃の保持や射撃まで可能とするパワーアーマーはこの世界でもっとも強力な防具の1つだ。 単独で市街地の制圧を可能とされているが、さすがに間接部分やバイザー部分を狙い撃てば撃ち抜かれるので万能というほどでもない。 #Fallout鎮守府

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パワーアーマーを着た兵士はシェルター入口の鉄格子を開けると、吹雪と磯波にプラズマライフルを向ける。 プラズマの発射装置に簡素なフレームとグリップを搭載したような外見の銃だが、威力は相応に高い代物だ。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/BsQEm

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緑色の光弾が発射され、吹雪の腕を掠めその後ろにあるコンクリートの壁をドロドロに溶かしてしまう。 「吹雪、大丈夫！？」 磯波が吹雪を部屋に引きずり込む。吹雪は腕を抉られ血があふれ出ている。苦痛に表情をゆがませるが、磯波に声をかける。 「大丈夫、応戦して！」 #Fallout鎮守府

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「は、はい！」 磯波は吹雪のハンティングライフルを取り、パワーアーマーめがけ射撃する。 しかし32口径弾では貫通できる代物ではなく、銃弾は金属音を立ててはじき返される。 ボルトを引き、次の球を装てんしている間に兵士がプラズマライフルを発射する。 #Fallout鎮守府

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緑色の光弾が尾を引いてハンティングライフルに直撃、弾き飛ばされてしまう。 「しまった……！？」 『おとなしく投降しろ！』 兵士がプラズマライフルを構えじりじりと近づく。磯波が兵士を見て迷っていると、吹雪が磯波の腕をつかむ。 「絶対に降伏したらダメ。」 #Fallout鎮守府

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「でも、このままだと2人とも殺されますよ……！」 おびえた様子で磯波が言うと、吹雪は強い口調で拒否する。 「あいつらはエンクレイブ。自分達以外の人間をウェイストランドから抹消しようともくろんでるの。だから絶対行ったらダメ。」 #Fallout鎮守府

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旧アメリカ政府の残党であるエンクレイヴはこの世界でも有数の技術者を抱える武装組織だ。 彼らは純血主義を唱え、その名の下多くの住民を実験台に使ったり虐殺した過去を持つ。降伏しても助からないことは明らかだった。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/0NusL

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「で、でももう武器が……！」 磯波は弾き飛ばされたハンティングライフルに視線を合わせる。 銃身部分がプラズマ弾を受けて溶けており、もう使い物になりそうにない。 「まだある。回収してた武器があったじゃない。」 「え、で、でもまだ一度も撃ってないのに……」 #Fallout鎮守府

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吹雪の視線の先には以前ＳＭから分捕ったミニガンがあった。 核分裂バッテリーを用いることで電源を小型軽量化し、弾丸に小さい5ｍｍ弾を用いることで歩兵の携行火器として使えるようになったガトリングガンだ。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/JkqOB

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重量も反動も相応にある代物だが、磯波は躊躇せずミニガンを持つ。 『おとなしく出てこないと射殺するぞ！』 「わ、わかった……今出て行くから……」 おびえきった声で磯波は答えるが、その表情は引き締まりすでに覚悟を決めていた。 #Fallout鎮守府

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重いミニガンも、艤装の重さとそれほど変わりはしなかった。 磯波は外に出るとミニガンを兵士の頭めがけ乱射し始める。兵士はあわててプラズマライフルで応戦するが、銃口を下げていたため光弾は磯波のつま先を焼く程度に留まった。 #Fallout鎮守府

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毎分3600発も発射されるミニガンの銃弾は、ヘルメットのバイザーをぶち抜き兵士の脳内にまで銃弾を送り込む。 頑丈なヘルメットは5ｍｍ弾をはじき返すが、中身の兵士を絶命させるには1発で充分だった。しかもそれが4、5発打ち込まれたのだ。 #Fallout鎮守府

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わずか10秒で全弾を撃ちつくし、弾切れになってようやく磯波は兵士が倒れていることに気づく。 吹雪も外に出てくると、兵士がうつぶせに倒れているのを確認するとパワーアーマーの背中のスイッチを弄りはずし始める。 「あったあった。」 #Fallout鎮守府

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そういって吹雪は兵士のポケットからスティムパックを2つ取り出すと、傷口に差し込む。 針の傷みに顔をゆがませるが、すぐに傷口がふさがり止血される。磯波も見よう見真似で足に注射すると、足の火傷も治っていく。 「……磯波、やったね。」 #Fallout鎮守府

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「うん……」 磯波はミニガンを床に置き、疲れた様子で座り込む。 その間に吹雪はパワーアーマーのスイッチを押し、いろいろと弄繰り回す。 「何してるの？」 「磯波、せっかくだからこれを着て見て。」 「え？」 目の前のパワーアーマーを見て、磯波は目を丸くする。 #Fallout鎮守府

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先ほどまで体格のいい兵士が着ていたパワーアーマーを、自分が着られるのだろうかと磯波は不安になってしまう。 吹雪が兵士の死体をパワーアーマー後部から引っ張り出すと、磯波はズボンのようにパワーアーマーに足を通し、それから袖を通す。 #Fallout鎮守府

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すると、自動的にパワーアーマーの後部が閉まり磯波のサイズにパワーアーマーの間接部分が縮みぴったりのサイズに収まる。 「すごい……フリーサイズなんですね……」 「そういうこと。ヘルメットはつける？」 吹雪は念のため確認する。 #Fallout鎮守府

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ヘルメットの内部は兵士の血や脳の一部が飛び散っており悲惨なことになっている。 バイザーも壊れており、暗視ゴーグルなどの機能も使えそうにない。 「やめておきます……さすがに……」 磯波は生理的嫌悪感からヘルメット着用を拒否すると、吹雪はそっとうなずく。 #Fallout鎮守府

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そして、プラズマライフルを持つと一旦部屋に戻り、荷物をまとめてくる。 「なら、早く行こう？助けを待ってる2人のために。」 「はい。」 吹雪と磯波は荷物をまとめ、外に出る鉄格子へと手をかける。 まぶしい日光が、鉄格子からシェルター内部に差し込んでいた。 #Fallout鎮守府