武雄市立図書館と宮城県図書館に起きたこと

武雄市立図書館の運営体制についてはこの数ヶ月、数々の問題が明るみに出て批判が高まってきました。一方、自分も関与したところでは2011年に、宮城県図書館がやはりトップの暴走で大事件が勃発。2つの図書館を巡る案件を雑録風にまとめてみました。
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

資料11万点を移管すると簡単に言うものの、途方も無い計画に現場の職員の皆さんは茫然自失。とんでもない館長の暴走を阻止するため、図書館のOB・OG司書の有志が集って、県議会に移管措置の即時撤回を求める請願を提出した。請願の受け付けられるぎりぎりの〆切に間に合う日程だった。

2015-09-01 20:28:03
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この経緯については 「宮城県図書館資料移管について」(togetter.com/li/113838) 「同(その2)」(togetter.com/li/153813) 「shiryouhozonさんによる「貴重書の取扱い」 」(togetter.com/li/107157)を参照

2015-09-01 20:32:44
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

それで2011年の5月頃だったと思うが、この移管を阻止するための運動をもっと広げようということで2つの手段を執ることになった。1つは、「宮城県図書館を普段から使っているお前が頭に立て」と、やんごとない有力者に指名されて有識者団体「宮城県図書館蔵書のあり方を考える会」を立ち上げた。

2015-09-01 20:38:31
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

もう1つの方針は、県議会議員に働きかけて、請願に対する「賛成討論」を議会でしてもらおうということなった。 「考える会」では河北新報さんに取材をお願いしてキャンペーンを張り、7月には阿刀田高さんをパネリストにお招きして県図書館の問題についてシンポジウムを開催して世論に訴えた。

2015-09-01 20:41:47
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

2つめの方策である議会対応としては、文教方面に理解のある相沢議員にお願いして「賛成討論」を県議会定例会で行っていただいた。そのときの討論内容がこちら → aizawa-mitsuya.jp/touron_331.html

2015-09-01 20:45:49
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

後で知ってビックリしたのだが、抑も「宮城県議会で、当該案件に関する反対討論がない中での賛成討論は、昭和41年12月の第125回定例会での市町の廃置分合について以来のことであり、極めて異例」の事だったらしい。相沢議員にはシンポジウムも傍聴していただいたのでこれが実現した。

2015-09-01 20:50:58
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この議会での審議によって、件の移管問題はその不合理さが認識され、いったん付いた予算が撤回されるという極めて珍しい展開となった。それもこれも、関係各位のご尽力とご理解の賜物だと、今でも思っている。自分は単なる御神輿で、実際の折衝や交渉は表に出られなかった皆さんが為された仕事だから。

2015-09-01 20:55:00
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

自分は、2011年の7月21日にこんなツイートをしていましたね。 twitter.com/ke_1sato/statu…

2015-09-01 21:20:49
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

宮城県図書館の貴重資料を博物館に移管する措置が今年度、白紙撤回となりました!!請願や緊急アピールが実を結び、嬉しいです。多謝/河北新報 東北のニュース/図書館資料移管、白紙 県教委方針 秋にも有識者会議 kahoku.co.jp/news/2011/07/2… via @kahoku_shimpo

2011-07-21 13:19:48

当時の状況を振り返ってみて

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

もう一つ、参考記事です。 d.hatena.ne.jp/bookcataloger/… 当時の河北新報のネット上の記事は、リンクが切れてしまい見られない物ばかり。すみません。

2015-09-01 21:00:20
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

2011年7月前後のことを辿ってみると、フォロワーさんが400名前後で自分の情報発信力は今と比べてまだまだ低かったし、そもそも世の中は東日本大震災の復旧の話題で一色だった。それだけに、そのドサクサに紛れて図書館事業で何かしでかそうとした連中に対しては、今でも許しがたい思いがある。

2015-09-01 21:09:30
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

まさに2011年に宮城県図書館資料移管問題などがあったなんて、県外ではほとんど知られていなかったと思う。これもやはり自治体組織(部局)のトップが暴走した結果であった。武雄市との違いは、議会にチェック機能があったこと、住民に圧力がかからずに請願を出すチャンスがあったことだろうか。

2015-09-01 21:18:44
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

武雄市の場合は、元市長からの住民への圧力があったような気配をネットから感じますからね。誹謗中傷、罵詈雑言の類が日常茶飯事として流れてきましたし。異常ですよ。

2015-09-01 21:29:11

宮城県図書館古典籍移管問題についての補足

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

2011年、宮城県図書館古典籍移管問題の発端はここから。「平成22年度 第2回 宮城県図書館協議会 会議録」(library.pref.miyagi.jp/about/kyogikai…) この席上で初めて、図書館側から協議会委員向けに図書館の古典籍約11万点を東北博物館無移管することが「報告」された。

2015-09-03 17:03:15
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

その会の議長が、館長報告に対して激しく抗議。そして「私は館長のそのようなお考えを伺い,会長を務められないと考えました。私は今日ここで辞めさせていただきたいと思います。協議会の皆様には大変お世話になりました。」と発言をして、退席するという異例の事態に。(前掲議事録より)

2015-09-03 17:05:48
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この波乱含みの協議会は2011年2月18日の開催。この委員の中に河北新報記者のいたことが、幸いだった。事の一部始終を知ったこの委員は、2月25日付の紙面に「宮城県図書館の『魂』移管」と題する記事を掲載し、図書館資料の移管問題を報じて、問題を公のものとした。

2015-09-03 17:09:27
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この移管措置は事業名「東北歴史博物館資料活用推進費」で740.4万円。財源は、総務省から交付された「住民生活に光をそそぐ交付金」だった。協議会は2月18日に開催されたが、この事業は2月17日に開かれた県議会で既に承認されていた。だから「報告」事項となったのである。

2015-09-03 17:13:09
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この記事から移管問題の存在を知った図書館関係者、司書OB・OG有志が即座に反対運動を開始。この事業に対する反対請願を知事、教育長宛に提出。2月28日に提出したが、その〆切りは3月1日でギリギリのところで間に合った。だが、事業は2月28日に開始。一部資料は博物館に移送されていた。

2015-09-03 17:18:08
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

さらに運命的と言うべき展開が続く。その請願が審議される文教警察委員会が開催されたのが、なんと、2011年3月11日。移管問題の審議は長時間にわたり、教育委員会側は参加した議員から批判の集中砲火を浴びて、結果として非を認めた。結果は次年度に「継続審議」へ。そして委員会終了後に大地震

2015-09-03 17:23:22
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

東日本大震災の混乱がまだ生々しい11年の5月中に、自分を含めた有志が「図書館蔵書のあり方を考える会」を立ち上げ、河北新報を通じて緊急アピール、さらには、当時の館長と自分のインタビューを併記する特集紙面を組んでもらい世論に訴えた。そして陳情活動も同時に続けた後に迎えた6月の県議会。

2015-09-03 17:32:17
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

6月20日午後の宮城県議会本会議で、請願番号330-3「宮城県図書館資料の東北歴史資料館への移管の即時停止、並びに移管決定に到る手続きの公開に関する請願書」が採択された。異例中の異例と言われた展開だった。結局、その年度内に移管措置は白紙撤回された。これが一連の経緯である。

2015-09-03 17:34:22
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

宮城県図書館協議会の議事録を改めて読み直してみたが、委員の発言に滲み出ている図書館行政に対する良心というか誠意に、思わず天を仰いでしまった。

2015-09-03 17:51:07
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

委員長辞職、退席までして、節を曲げなかった人のいたことが、救いである。

2015-09-03 17:52:44