「読者層」の意識の変容によるミステリの潮流の見直しについて

高度経済成長期を中心に「読者層」の評価軸の変容(現実←→夢)から、ミステリの潮流を見直してみる。
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じねん @jinensai

とりあえず、弘前読書人倶楽部の私担当のブックトークは11/15(日)か11/22(日)に開催予定で話はつけてきた。ミステリ関連でレジュメ作っておかねばなあ…。

2015-10-04 15:26:17
じねん @jinensai

行き詰まったので、早目に銭湯なう。まずは併設食堂で安定の焼き肉丼。

2015-10-04 18:51:44
じねん @jinensai

食後、少し調べものをしていた(主に高度経済成長期関連)。受容する読者側の空気感が、きっとカギになる。夢と現実の力関係とゆうか「読者層」への考察が従来欠けていたピースだと思う。さて銭湯入ろう。

2015-10-04 20:21:57
じねん @jinensai

ちょっと備忘メモ。頭を整理。高度経済成長期(1955~1973)は現実が人々の想定を超えていた時代で現実味に乏しい夢物語は軽んじられた。対して現実はエネルギーに満ちた面白空間であり、いわゆる社会派隆盛の基盤はココにある。『点と線』の連載(1957~1958)が起爆剤であろう。(続

2015-10-04 20:51:02
じねん @jinensai

承)『点と線』は早くも1958年11月に映画化されており社会への波及効果も高かったと推定できる。実在する交通機関とダイヤグラムは読者層へ強く訴えかけただろう。列島全てがアトラクションスペースと化していた。これでは荒唐無稽も歯が立たない。受容する側の意識が現実を是としていた。(続

2015-10-04 21:07:33
じねん @jinensai

承)この社会派隆盛の時代がいわゆる「本格冬の時代」でもあるが、出版されているラインナップは意外にも良作揃いであり、客観的には「冬の時代」など無かったという解析もできてしまう。だが社会派の奔流に伴う強力な牽引が、ミステリ全体の裾野の広がりと底上げをもたらした現象ともとれるのだ。(続

2015-10-04 21:21:05
じねん @jinensai

承)受容する読者層が社会派を是とする状況がいわゆる「冬の時代」の本質であろう。1958年には対談で乱歩が清張をいわゆる「一人の芭蕉」と認めるような発言もしており、本格贔屓の作者や読者は糸の切れた凧のような状況でもあったろう。50年前に亡くなるまで、乱歩の目利きは指標であった。(続

2015-10-04 21:32:42
じねん @jinensai

風呂あがり某コンビニ憩いコーナーに着座。続く。

2015-10-04 22:31:27
じねん @jinensai

承)1965年に乱歩が亡くなることでミステリ界隈の評価軸は次第に標語頼りになってゆく。乱歩のお墨付きがなくなったので題名や邦題に「殺人事件」が増えてゆくのだ。内容も一見して犯罪を題材としたものへシフトし、乱歩の業績と言っても過言ではない「奇妙な味」もなかなか顧みられない。(続

2015-10-04 22:48:55
じねん @jinensai

承)その状況に変化をもたらすのもやはり読者層の意識変化だ。高度経済成長期が頭打ちとなり、現実がしらけてしまうことで評価軸は夢物語へと振り子を戻す。旧体制の崩壊という現実面で語られた横溝が、ディスカバージャパンの波に乗って郷愁とともに再発見される。読者層の評価軸が変容したのだ。(続

2015-10-04 22:59:08
じねん @jinensai

承)この間、本格界隈も方向性を見失っていたわけだが、ミステリは好きだがさりとて社会派にも違和感を覚える読者層は海外翻訳へなびくことになる。そこに都筑道夫の『黄色い部屋は~』などに影響された書き手がトリックよりロジックを売りに巻き返しを開始する。幻影城などの流れである。(続

2015-10-04 23:15:22
じねん @jinensai

承)ただし都筑の真意はトリック不要より復権であったと思われる節があり、必然性の付与による存続に主眼がありそうだ。荒唐無稽を現実に引き戻す方向性である。だが時代は現実より夢へ振り子が戻っており、都筑の狙いは彼の意図せざる方向へ動いてしまう。ロジックベースでの荒唐無稽への回帰だ。(続

2015-10-04 23:23:32
じねん @jinensai

承)常々欧米に比べ25年遅れているというのが都筑の見立てであったが、1985か1986のミス連での講演でそれが50年の遅れに訂正されていた。本意ではない方向へ推移しているように感じておられたのであろう。OBとして参加してた私は今後どうすれば良いか途方に暮れたものである。(続

2015-10-04 23:29:56
じねん @jinensai

承)その1、2年後に『十角館~』が世に出て新本格への潮流は決定的となるが、これは現実より夢に寄せた荒唐無稽であり、もはやアトラクションスペースとは程遠くなってしまった現実の列島以外に舞台を求め始めていた読者層の意識をつかむこととなる。クローズドサークルならそれは可能だからだ。(続

2015-10-04 23:38:56
じねん @jinensai

承)海外翻訳が90年代にもてはやされたのも現実の列島以外に舞台を求める傾向に照らせば不思議ではない。読者層はより面白い方向へシフトしていくものだからだ。その時代時代の背景、読者層の欲求が現実と夢の間を行き来している状況を考慮することでミステリ界隈の見通しは大分明瞭になると思う。

2015-10-04 23:48:52
じねん @jinensai

帰宅。少し補足する。

2015-10-05 00:19:14
じねん @jinensai

『点と線』のWikipediaの注にハッとしたことだが、引用する。→「(前略)清張は以下のように発言している。「はっきり言って、『点と線』が自分では好きでなかったんだよ。(中略)『点と線』は何の反響もないんだよ。何か、虚空に向かって球を投げているような感じだったんだ」。」(続

2015-10-05 00:25:42
じねん @jinensai

承)この「虚空に向かって球を投げている」状態こそ、読者というより読者「層」へのアプローチとして有効なスタンスだったのではないか? ココが一つの潮流の始まりとなったのである。

2015-10-05 00:26:27