大人の魅力

かおり @orange_shake_

【大人の余裕・26】 えっと…これは本当に私の彼氏なのでしょうか。 でも、だいぶ酔っ払ってはいるみたいだけど、間違いなく隆平くんの声。 "うっさいボケ。さっきから同じ話ばっかしやがって、ほらもう帰れ" 『だってさぁ〜…』 "あれ？○○ちゃん？" 『えぇ？○○…』

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【大人の余裕・27】 安田さんにベタベタくっついていた隆平くんがこちらを見て、しばらく固まる。 『…え？？』 あ、一気に酔い覚めてる。 『あれ、俺酔いすぎて幻覚…』 "幻覚ちゃうわアホ。お望みのもの持ってきたってんから、さっさと持って帰れアホ。" 『アホ2回言うた…』

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【大人の余裕・28】 まだ少し赤さの残る顔と、トロンとした目で私を見てぱちぱちと瞬きをする。 『…はっ‼︎』 急に立ち上がり、私の目の前に駆け寄る。 『○○、なんでここおるん⁉︎』 "おっそ(笑)"

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【大人の余裕・29】 幻覚じゃないことを確かめるかのように、私の肩や頬にペタペタ触る。普段ならこんなことしないんだけどなぁ… 「渋谷さんに連絡もらって。隆平くんここにいるって聞いたから。」 『へっ？渋やん？あれ？でも俺先に寝といてって…』 「隆平くんがいないと嫌だから。」

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【大人の余裕・30】 『ほぇ…』 "うひゃ〜、ごちそうさまです♡" 『えっとぉ…あれ？でもここまでどうやって…』 「家にいるときに渋谷さんに連絡もらって、そこから走って…」 『あかんやん！』 急にぎゅっと抱きしめられる。 少しお酒臭いけど、いつもの隆平くんの匂いと温度。

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【大人の余裕・31】 『こんな夜遅くに1人で歩いたら、危ないやろぉ？何も怖いことなかったか？』 私の顔を覗き込む隆平くんは、もういつもの隆平くんだった。 『ちょっと渋やん、○○に夜道1人で歩かせんとってや！』 渋谷さんを振り返って叫ぶ。

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【大人の余裕・32】 "おーすまんすまん。帰り道は1人で歩かすわけにいかんやろ？ほら、お前が連れて帰ったれ。もう酔い覚めたやろ" 冷やかすような2人の視線に、 『…帰ろか』 「…うん」 なんだか私の顔まで赤くなってる？

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【大人の余裕・33】 ＊＊＊ 帰り道。 手をつないでゆっくり歩く。 お互い無言だけど、考えてることはたぶん同じ。 「あのさ、隆平くん…」 『○○』 立ち止まる。 『あのぉ、俺…』 「嬉しかった。」 『え？』

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【大人の余裕・34】 「いつもの隆平くんじゃないみたいでちょっとびっくりしたけど、私嬉しかったよ？」 『ほぇ…』 「隆平くんはいつも優しくて、大人だから。そんな隆平くんが大好きなんだけど、本当はちょっとだけ自信なかったから。 こんな素敵な人が、私なんかでいいのかなぁ…って」

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【大人の余裕・35】 へへっと笑ってみせるけど、隆平くんは真顔で、つないだ手に力を入れる。 『ごめんな…○○』 すごく切なそうな顔で言うから、何か悪いこと言っちゃったかなと不安になる。 『俺な、○○が告白してくれる前からずっと○○のこと好きやった』

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【大人の余裕・36】 『好きやからカッコつけたくて、○○の前ではクールぶって、大人でかっこいい俺を作っててん。』 『そしたら○○が告白してくれた。正直めっちゃ嬉しかったんやけど、○○が好きになってくれたのはカッコつけた大人の俺やったからさ…ほんまは全然ちゃうねん。』

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【大人の余裕・37】 『さっき○○が見たのがほんまの俺。 でもやっぱり好きやから、ほんまのこと言えへんかった。』 まっすぐ私を見つめる。 『ほんまの俺は、全然かっこよくなんかない。大人の余裕を必死に演じてるけど、ほんまは心配性でヤキモチ妬きで…小っちゃい、カッコ悪い男やねん』

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【大人の余裕・38】 「隆平くん」 『ガッカリした？イヤやったらフってくれてえぇよ、悪いのは…俺やねんから』 「隆平くん‼︎」 『ちょ…なんで泣くん』 泣き出した私に慌てる隆平くん。 「イヤになるわけない。嫌いになるわけない。」

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【大人の余裕・39】 「私は、隆平くんが大人でかっこいいから好きになったんじゃない。」 『○○…』 「優しくて、あったかい隆平くんが好きなの！なのに…なんでそんなこと言うの…」 『…ごめん』 「私こそ…ごめんなさい。隆平くんに、いっぱい無理させた…」 『無理ちゃうで』

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【大人の余裕・40】 私の涙を指で拭って、目を合わせて笑う。 『お前のためやったら何でもできんねん、俺。キャラ変えてても全然苦しなかってんで？(笑)』 「今の隆平くんの方がいい。 隆平くんの笑ってる顔も怒った顔も、いっぱい見たい。全部大好きだから」 隆平くんの目が潤む。

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【大人の余裕・41】 『ありがとうな。 改めて言わして？ 俺、○○のこと好きや。好きやから心配するしヤキモチ妬くし小っちゃいことで一喜一憂するけど…これからも一緒にいて下さい。』 ＊＊＊ 『…なんか、照れるな』 「…だね」 再び歩き出す。 『ヒール、足痛ないか？』

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【大人の余裕・42】 「大丈夫だよ」 『可愛いな』 「これ？ありがとう」 『ちゃうよ、お前』 「…ありがとう」 こんなにストレートな愛情表現する人だったんだ。嬉しいけどなんか恥ずかしいな。 『気が気じゃなかった、今日は一段とかわえぇから。』

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【大人の余裕・43】 『男もいっぱいおるやろうし、と思ったら他の男と抱き合ってるし』 「あれは…」 『えぇよ、わかっとる』 家に着く。 『こっからは、俺がいっぱいぎゅーってしてもえぇ？』 返事をせずに彼の胸に飛び込んだ。 「隆平くん、大好き♡」 『俺も♡』

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【大人の余裕・44】 大人じゃなくたって、私を愛してくれる可愛い彼を 今までよりもっともっと大好きになったんだ。 『…渋やんに感謝やな』 「ほんとだね」 ＊＊＊ 翌日2人で送ったお礼のメールには "このバカップルが" とだけの返信が届きましたとさ♡ 【おしまい】