フォビドゥンフォレスト・1話前半・3 生徒会と幼馴染たち

前編・3/3になります。 中編へ続く予定です。
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…程なくして佐佑里さんが到着して会議が始まった。俺達の場合、長くても朝は30分、夕方は1時間で終わる。 事前にSNSで毎日確認してるんで、今日みたいに半数が欠席してても対して問題ない。 活動日は月水金だが、部活と被っても半分は出られる寸法だ。 17

2016-07-27 00:18:59
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「…ではバレンタインイベントはこの内容で提出しますね。節分記念サバゲー大会は水曜に各部の了承を得てから、最終提出とします。片桐くん、不足しそうなモデルガンは借りられそうですか?」 「はい。参加者の確定人数次第ですけど、取り敢えず20、最大40丁くらいはなんとか行けそうです」 18

2016-07-27 00:20:24
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今朝は、イベント企画書類の提出前の確認だ。バレンタインみたいな毎年恒例のは、去年までのを手直しするだけなんで簡単だが、新しい奴はそうもいかねぇ。このサバゲー部が企画してきた大会は、連中自身は参加せず運営に回るらしい。ま、参加しちまったらコイツらの一人勝ちだろうしな。 19

2016-07-27 00:25:15
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実際、狙いとしては部員の勧誘も兼ねてんだろう。最初は事実上の勧誘イベントを特定の部だけに認めるのはどうかと他所から突っつかれたが、連中の企画書が結構しっかりしてたのもあってGOが出た。つまり同じことしたかったら、同レベルの企画書を持ってこいってこった。 20

2016-07-27 00:26:00
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俺達がやったのは、学校との調整や銃の調達の手伝いくらいだ。調達の甘さについて弁護してやると、連中は水鉄砲やらを使う気だったらしいが、それじゃショボいしまだ真冬で冷てぇから参加も振るわねぇだろうと、こっちで周りの学校とかに働きかけてレーザー照射する奴を集めてやっただけだ。 21

2016-07-27 00:30:12
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他に口出したのは、対戦チームを豆撒き役と鬼役に分けるのはどうかと止めさせたくらいか。なんか片っぽが悪役みたいで不公平感あるだろ?結果的に節分の原型が無くなっちまった感は否めねぇが、まさか豆をぶつけあって学校中散らかすわけにもいかねぇだろ。 22

2016-07-27 00:34:38
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…7時50分。他には特に大きな学校の案件もなく会議は終わりそうだったが、最後に佐祐里さんが付け加えた。 「今朝はこれで解散としますが…先程、僚勇会から森のレベル3で不穏な霊波反応を観測したとの報告がありました」 全員が佐祐里さんに向き直る。 「出動?」 ラッタが聞いた。 23

2016-07-27 00:36:15
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「いえ、反応は微弱ですので様子見です。解析結果は夕方になりそうなので、今夜辺り討伐か探索に出る可能性があります。待機の人も注意しておいてください」 全員がスマホを取り出してチェックする。緊急以外は会長のタブレットにだけ来るので、今言われた内容は入ってない。シフトの確認だ。 24

2016-07-27 00:39:08
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今日の予定だと俺とラッタが「仕事」、佐祐里さんと絵里が待機、他はオフか町内待機…まあ平常シフトだ。この町内待機ってのは町の外に出なきゃ良いだけで実質休み、待機は本部か家で待機、なんもなきゃ勉強でもゲームでも好きにしてていい。そしてここでいう「仕事」が僚勇会のことだ。 25

2016-07-27 00:41:37
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アンタは多分知ってると思うが、一応何も知らん前提で話しておくと、俺たち僚勇会は風科の森の奥からくる妖怪共をぶっ倒すのが仕事だ。何もなきゃ今日は森の奥の設備点検に行く予定だったんだが、こうなるとそっちは延期かも知れねぇ。ただでさえ、雪のせいで櫓や砦の再建が遅れてるってのによ。26

2016-07-27 00:49:51
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「ったくぶっ倒しに行くついでに設備点検も出来りゃいいのによ」 「まあしょうがないだろ。二兎を追う者は一兎も得ずって言うだろ」 俺のぼやきにラッタが反応した。 「そりゃ分かってるけどよ」 「ま、通り道のだけでもなるべく確認してけばいいさ」 「…だな」 27

2016-07-27 01:00:32
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「出動になるんなら私行くわよ?で、とっととぶった切って点検しちゃえばいいじゃない」 剣を振る動きをしながら、絵里が無茶をほざく。 「いや、お前一晩にそんなあっちこっち行けるわきゃねぇだろ」 「え?」 「だから妖怪が隠れてる方と今日の点検予定が同じ方向とは限んねぇだろうがよ」28

2016-07-27 01:09:27
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「あ、あ~…。でもハル達だって点検してくって行ってたじゃない」 「通り道に、たまたまもうすぐ点検予定が近いのがあったら、の話だよ」 「う…でもひょっとしたら偶然妖怪と、今日の点検予定の場所が被ってるかも…?」 「そりゃ被ってりゃ楽だけどよ…」 絵里は佐祐里さんのほうを見た。29

2016-07-27 01:18:44
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「残念ながら、点検予定は森の真ん中より少し西寄りで、妖怪がいそうなのは東側ですね…」 佐祐里さんは申し訳無さそうな顔でそう言った。アンタのせいじゃあねぇってのに。 「直線距離で5・6キロだっけ…それくらいなら…?」 「お前の基準で考えんな」30

2016-07-27 01:24:49
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森に入るには色々装備がいるし、今は雪も深い。そうでなくても森の中ってのは直線距離の数倍の移動を強いられる。コイツはその辺を勘定に入れてねぇ…って訳でもねぇ。絵里一人なら全然余裕で東から西まで言って帰って来れるだろう。全員そうだったら討伐も点検もまとめて出来んだろうがな。 31

2016-07-27 01:29:30
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「お前だけなら余裕で動けんだろうけどよ、点検までは無理だろうがよ…」 「うーん…ダメかぁ…」 「まぁ冬とはいえ、こういうこともありますよ。予定を修正するしか無いでしょうね」 妖怪は冬はあんまり出ねぇ。餌が少ないからだが、逆に言うと偶然餌にありついたら普通に成長して増える。32

2016-07-27 01:37:19
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「しょうがない!取り敢えず私は出動する前提で準備しとくわ」 言うが早いか、スマホでメールを打ち始めた。多分、家でやってる定食屋を今夜は手伝えないって報告だろう。今からなら代わりを探す時間も十分だろうしな。絵里は割り切っちまえば行動の早い奴だ。 33

2016-07-27 01:44:27
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「じゃあ絵里ちゃん、放課後ウチに来ませんか?」 絵里が打ち終わるのを待って、佐祐里さんが声をかけた。佐祐里さんの家のほうが森に近いし、もし出動となれば待機シフトの2人共出ることになるから確かに都合が良いだろう。絵里も二つ返事で承諾した。 「瑠梨ちゃんも一緒にどうです?」 34

2016-07-27 01:52:04
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佐祐里さんが誘うが、瑠梨は首を振った。 「ごめんね。多分、私お祓いの準備になると思うよ。お父さん今日忙しそうだから、会の仕事まで手が回らないだろうし」 瑠梨のシフトは町内待機だが、コイツは巫女の仕事があるので、完全オフでもない限りなかなか休めやしない。 35

2016-07-27 01:53:36
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もう出動前提で話が進んでいるが、実際佐祐里さんのとこまで情報が来ている段階で9割型出動が確定していると思っていい。後は出動人数の時間が問題なだけだ。 俺達は夜の予定について簡単に打ち合わせてからそのまま解散して教室へと向かった。 36

2016-07-27 01:56:10