「題意は示された」の出典を探せ

数学の証明で使われる「題意は示された」という表現の謎に迫るため、江戸時代まで遡ってみた。
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風霊守 @fffw2

数学の証明で使われる「題意は示された」という表現に関して興味深い議論を見つけた。そもそも「題意」って何なのか。受験数学用語なのではないか。なぜ学生は題意をよく使うのか。|題意は示された - Togetterまとめ togetter.com/li/796026

2016-08-07 19:19:29
嘉田 勝 @kadamasaru

受験生の「題意は示された症候群」は根深いらしい。どうやら受験生の3割ぐらいは「〜を証明せよ」という設問への解答の最後に「題意は示された」「題意は証明された」と書かないと気が済まないように洗脳されているようだ。

2013-03-11 00:07:25
風霊守 @fffw2

かく言う私も「題意は示された」を愛用していた一人なんだよな

2016-08-07 19:20:51
風霊守 @fffw2

「題意は示された」を使っていた理由は至って単純。問題文に書いてある"示すべき内容”を写して、「以上より、3以上の自然数nについて、x^n+y^n=z^nを満たす自然数(x,y,z)の組は存在しない」のように長々と結語を書くよりも、「よって題意は示された」と書くほうが楽だから。

2016-08-07 19:21:38
風霊守 @fffw2

中3のときの数学ノートを引っ張り出してきた。賢い友人から「『よって題意は満たされた』って書くだけで済むんやで」とお得な情報を教えてもらったのがきっかけで、この頃から「題意」を使い始めた記憶がある。 pic.twitter.com/lftt8iiUOu

2016-08-07 19:27:16
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風霊守 @fffw2

高1になってからは「題意は示された」という表現を使い始めた。「題意は満たされた」という表現に違和感を覚えたというのもあるが、何より「題意は示された」のほうが1文字少なくて楽だから。 pic.twitter.com/jB2Tbdwola

2016-08-07 19:32:00
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風霊守 @fffw2

高2・高3のときは「題意は示された」ではなく「題意は示せた」という表現を使っていた。理由はお察しの通り。 pic.twitter.com/2QdYfvIYpF

2016-08-07 19:35:30
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風霊守 @fffw2

大学に入ってからは「よって題意は〜」という結語を使わなくなった。証明の最後に点々を打っておけばよいと気付いたからだと思う。 pic.twitter.com/JjPSQFGm4z

2016-08-07 19:38:31
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風霊守 @fffw2

そもそも「題意」とは何なのか。私は専ら「問題文で与えられた示すべき内容」という意味で使っていたが。(※私はあまり「題意より」という表現は使わなかった)

2016-08-07 19:41:48
風霊守 @fffw2

だい-い【題意】〔名〕 大辞泉「①作品などの題に込められている意味 ②出題のねらい」 大辞林「詩歌の題の意味。また出題の意味。」 明鏡「①詩歌などの題の意味するところ ②出題のねらい」 日国「題の意味するところ。また出題の意味。」 広辞苑「題の意味するところ」 新明解「題の意味」

2016-08-07 19:48:18
風霊守 @fffw2

ほとんどの国語辞典が用例を載せていなかったが、天下の日国大先生はちゃんと用例を載せてくれていた。流石。 *俳諧・反古瓢-十番左右合・七番「よく秋寒き朝のけしき、題意に合し意言外にあふれたり」 *歌学提要-題詠「実物・実景を吟詠するにかはりて、題意を想像てよむものなれば」

2016-08-07 19:52:44
風霊守 @fffw2

数研出版の問題集からも「題意」の用例を拾うことができた。「問題文の仮定」や「示すべき内容」といった意味合いで使われているようだ。(数研出版『2007年版スタンダード数学演習I・II・A・B』より) pic.twitter.com/7gHT3lZZAO

2016-08-07 20:06:12
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石塚 @Yusuke_Ishizuka

題意って言葉の出典が分からない

2015-03-17 00:12:12
風霊守 @fffw2

詩歌ではなく数学の文脈で「題意」が使われている古い文献を探してみたところ、『算法求積通考』(天保15年)の序文に記載を見つけた。「題意に応じて其の理を究む。是れ算法の本意なり。」 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/LPor1eEJjI

2016-08-07 20:17:10
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風霊守 @fffw2

証明の文脈で「題意」が使われている例は、探すのが結構大変だったが、なんとか戦前の用例を発見することができた。松室隆光『演習 微分学問題詳解』(昭和12年・啓文社)の p.59, 97 より引用する。 pic.twitter.com/2CRaQex4pc

2016-08-07 20:26:59
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風霊守 @fffw2

「題意ニヨリテ」「故ニ題意ノ如シ」「題意ニ適セズ」

2016-08-07 20:28:25
風霊守 @fffw2

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『演習 微分学問題詳解』(松室隆光)。タイトルロゴがレトロで大変良い。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

2016-08-07 20:31:52
風霊守 @fffw2

「題意」ではないが、明治時代の数学書『微分学例題解式』で「所題ヨリ」「所題ニ合ス」といった表現が使われていた。「所題」とは、題するところ、すなわち「題意」に近い意味だと思われる。 pic.twitter.com/yWVcLTWo4L

2016-08-07 20:58:01
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風霊守 @fffw2

出典:長沢亀之助『微分学例題解式』(東京数理書院・明治17年) - 国立国会図書館デジタルコレクション dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

2016-08-07 20:59:20
風霊守 @fffw2

少なくとも「題意」は受験数学で作られた言葉なんかではないということが分かった

2016-08-07 21:06:34
風霊守 @fffw2

推測だけど、西洋数学の「Q.E.D.」(quod erat demonstrandum: which is what had to be proved)を和訳するときに、関係代名詞のquod(そのことは…)の訳として頑張って捻り出したのが「題意」や「所題」だったんじゃないかな。

2016-08-07 21:10:39
風霊守 @fffw2

英語版Wikipedia「Q.E.D.」に掲載されている表によると、「Q.E.D.」に相当する訳語は世界各国ばらばら。英語でも特に正式な表現は決まっていないようだ。 en.wikipedia.org/wiki/Q.E.D.

2016-08-07 21:15:25
風霊守 @fffw2

Unicodeでは「end of proof」の記号としてU+220E「∎」(黒い四角形)が定められており、一般に「墓石」や「ハルモス記号」と呼ばれる。

2016-08-07 21:18:54
風霊守 @fffw2

ふぅ、疲れました。これにて、夏休みの自由研究、終了です。

2016-08-07 21:31:55

[追記] 明治35年の用例が報告されました