人造昆虫カブトボーグV×Vについて

七井史門(ステップジュンが面白い) @7ishimon

第30話「吼えろ!アフリカ・サバンナ・キリマンジャロ」世界大会でエジプト代表カメーダ・カーメダかと対決するリュウセイさんだが、彼ら親子の陰謀によって一方的に反則攻撃が許可される試合をせざるを得なくなってしまうといった話。浦沢脚本回 pic.twitter.com/9b2KUgDSZD

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カメーダ・カーメダは父親が反則や買収を積極的に行うセコンドとの点も加えて、おそらくボクシング界のあの親子を露骨なネタにしたと考えざるを得ない。さらに本放送時は少し後にその親子が事件を起こしてしまっていた……この話が欠番扱いされなかったのは今となって考えて見れば幸いである。

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そんな今回だが、浦沢脚本回のリュウセイさんは弱い。もう少し救いのある書き方をすると比較的まっとうな行動をする事が多いがそれがかえってアクの強い相手のリードを許しており、なによりまともな精神攻撃を浦沢リュウセイは一度もしていない。

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以前書いたが、数少ない例としては第7話での「同情なき同情は～」のくだりが当てはまるが、この言い負かしもリュウセイさんとすればベネチアンを激励する意味で送った言葉であり、それが結果的に彼女を逆上させてしまったとなり……リュウセイさんが狙ってやった精神攻撃ではない。

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また第9話では石田母に対しての精神攻撃が逆効果になる失態も披露している。そんな訳で浦沢リュウセイは基本的に弱い。16話も勝治の言い負かしによってどうにか持ち直して勝ったようなものである。

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この話もリュウセイさんは精神攻撃を放つ機会を全然与えられず、カメーダ父のペースにほぼ踊らされていると言っても過言ではない。最初の偽りの事情で同情を誘いリュウセイさんへ負けさせようとする描写は失敗に終わるが、その後のリュウセイさんを暗殺しようとする計画からはカメーダ父の独壇場。

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そのリュウセイさん暗殺計画が失敗して、カメーダ父が黒幕だと知らされる辺りはリュウセイさんのペースであり、さらにロイドさんがアフリカの神に変装してカメーダ親子を威嚇させる描写も効果的なダメージを与えているかに見えるが、ここでカメーダ親子が責任を感じて自ら命を断とうとする芝居に出る

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ここでリュウセイさんが「やりすぎだよ!」と彼らの自殺を止めようとする訳で、珍しく彼なりに良心をもっていた事を見せさせる。しかしその良心によって止むを得ずカメーダ親子の頭を叩いて自殺を思いとどまらせる描写の後に、大会スタッフがリュウセイの行動がペナルティだと判定してしまう。

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またこの大会スタッフの判断もカメーダ親子からすれば狙い通りの表情だった。直接的な描写はないが、おそらくカメーダ親子がスタッフを買収したと考えた方が良いだろう。

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またカメーダ親子が大会前にリュウセイさんを陥れんと彼の命までも狙ってくる展開はダーティだ。ついでに予選でも一人を交通事故を引き起こさせて不戦敗にさせたと回想で語っており人目につかない所では相手を殺してでも勝つスタイルをカメーダ親子は持っていた。容赦ない反則精神だ。

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その容赦ない反則精神は、人目のつかない所で相当な効果を発揮したと大会本戦までの描写を見ると推測する事が出来る。リュウセイさんがこの謀略戦で負けたのは世界大会に命のやりとりにまで及ぶ事を考えていなかった。言いかえれば常識に縛られていたと言った方が良いだろうか……

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だがカメーダ親子はダーティな手腕こそ得意戦法だが、それによって負けたと言っても良い。彼は試合で一方的な反則攻撃を許される訳で、試合が始まって早々カメーダ父がリュウセイさんへと噛みついたり殴ったりと暴行を加えて、挙句の果てにピラミッド型の石で撲殺しようとしてしまう。

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これにアフリカの動物達がキレて、観客達も暴動を起こした事によってリュウセイさんが勢いを盛り返して勝った。人目につかない所で反則を行って相手を陥れたのだからカメーダ親子は強く、逆に試合で堂々と反則を使ってはカメーダ親子は強くなかったのだ。

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とはいえこの勝負でリュウセイさんは特に何にも行動は起こしておらず、観客という第三者に助けられて勝利を得ている。そこが浦沢リュウセイさんが弱く見える印象を与えているのだろう。

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余談だが……冒頭の飛行機ネタで大会へ向かう選手たちが映しだされるが、おそらくこの14人にリュウセイさんと銀河を含めて世界大会の本選へ進出したベスト16が判明したと言っても良いだろう。ピンクの枠で囲んだ面々がその14人。 pic.twitter.com/FderH6JFKM

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この件はリュウセイさんが鼻ちょうちんで居眠りしている描写を「大会前でも余裕という現れで、他の選手たちはそうではないはず」との勝治の台詞の後に鼻ちょうちんで眠っている人たちを見て「全員余裕だね……」とのリアクションから推測して大会本選の出場者を割り出してみた。

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第28話で登場した面々と世界のベスト4、そしてカメーダ、トーマス以外の5人はおそらくこのメンバーなのかと。ただこの5人の面々の名前は多分分からない。国についても残念ながら

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小ネタとしてはカメーダ親子が「父ちゃん、このポップコーンまずい」→「ん……俺もそう思う」と恒例のメシマズネタが出てくる。

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また、自分が嘘をついていない際に「この目を見ろ!」と迫る父親の姿は第37話(同じ浦沢脚本回)で見られた中島社長を彷彿させる。どちらとも親馬鹿。ついでにこのシーンでは息子が父を信じずに眼つぶしをお見舞いさせるシーンが強烈な出来ではある。 pic.twitter.com/BthWfC13ql

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第48話……夏休みの宿題をあと2日で終わらせなければいけない事情でリュウセイさんとケンが無一物状態に覚醒して宿題争奪ボーグバトルを繰り広げる。この暴行にロイドさんがキレるといった大まかなあらすじ。千葉脚本回 pic.twitter.com/hrgV5hmuia

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この話は同じ千葉脚本としての勝治主役の49話と同じ時系列で話が展開しているという珍しい状況で展開されていた。ある意味前後編と言っても過言ではないカブトボーグ終盤のエポックメイキング。ただ当時のスペシャルでは48話しか扱っていなかったのでこの48話だけで語らせてもらう。

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この48話も無論単体でも面白い。特に冒頭のリュウセイさんのやる気のない棒読みから始まり、夏休みの絵日記が徐々に何も書かれなくなっていき、8/30の時点で夏休みはあと2日だ!と我に返った演技に戻るシーンに味がある。

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この話は無一物状態になるまで、カブトボーグでは珍しくローテンションでのやりとりが続く。ケンとリュウセイさんの研究と工作ネタでは、「人の夏休み研究を写してどうする」「半分にした貯金箱の工作を誰が求める」といった冷静な突っ込みが交錯する

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ちなみに夏休みの宿題に挑む際に「気合いだァァァァァ!」ではなく「気負いだァァァァァ!」と二人が言っているシーンもポイントだ。気合いでどうにかなるものではなく、気負わなければどうにかなりそうにもないと提示しているかのようである。

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そして夏休みの宿題争奪戦では、無一物状態と化した際のリュウセイさんやケンを目にしたモブの人々の冷ややかな表情が凄い(笑) pic.twitter.com/vP3QUMXRO4

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