ニンジャスゴロク「秘密のニンジャ砦」【キャット・イン・ストロングホールド】■前半戦■

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グラスキャットはチキンを頭から追いやり、振れ続けるトラップを眺めた。「……砦ってだけはあるか。ナメてたね」痛みに耐えながら立ち上がった彼女の表情は、ハードなビジネスに赴く時のそれに変わっていた。「探知重点」『ニンジャ存在確認な』「……！」武器はない。尻尾が揺れる。 26

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不安は拭えぬ。生きて帰れるだろうか。「帰ったらチキンの店探しだ。タスク追加」『重点な』諦める訳には行かぬ。グラスキャットはスリケンを生成し、両手に携えた。そして駆け出した。 27

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＊ ダイス判定:1 残HP:30 運:3 所持金:3000円 / 現在マス:20 / 次出目1 ＊

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グラスキャット【21】：対岸の塔からスリケン狙撃！体力判定【難度7】で回避できねば10ダメージ。回避の可否に関わらず、更にセンチピード【戦7危5金3000】と闘え。■参五 #n7g shindanmaker.com/289991

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ザアア、と水音がする。グラスキャットは瓦礫の山のひとつに飛び乗り、眺めた。川だ。……対岸に塔が見える。「ズーム」迷彩か？何かがいる。『ニンジャ存在確認な』「ワカル、ワカル」頷くその頬を、鋭い感触が掠めた。「な……」目の端に映る、瓦礫に刺さったそれは……スリケンである！ 28

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わざわざ確認するまでもない。塔からだ。「酔狂な奴！」瓦礫の影に伏せる。この距離だ、肉眼のみで当てて来るとは思えない。グラスキャットは血を拭いながら瓦礫を見やる。この距離からあれを倒すならジツだ。だが、グラスは無常にも迫り来る存在を捉えていた。 29

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頑丈そうな鉄パイプを取り、（（（3、2、1！）））軽く跳び下がった瞬間に地が割れる！「イヤーッ！」土煙が視界を遮る中、カタナのように振り下ろした鉄パイプに重い衝撃が伝わる！グラスキャットは宙返りで相殺し、距離を取った。一方、襲撃者は土砂を撒き散らしつつ華麗に着地！ 30

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「防ぎやがッただと？」枯れ草色の装束を纏ったニンジャは、苛立った声と共に両腕を振った。先から爪が展開し、鈍く輝く。「ドーモ！センチピードです」「ドーモ、グラスキャットです。そいつはサイバネかい」「オムラの技術よ！」「実際良いね」曲がった鉄パイプを構え直す。「イヤーッ！」 31

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踏み込みながら叩きつけた鉄パイプはトーフめいて貫かれ、そのまま襲撃者の得物に攫われた。「アッ！クソッ、何しやがる！」「うん。実際良い」苦心して爪から外そうとする姿を見ながら、グラスキャットは新しい鉄パイプを拾った。（（（この腕でスリケンをここまで飛ばすか……？））） 32

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「あんたも噂を聞いたクチ？」スリケンを投擲しながらグラスキャットは問うた。「俺達はそういう奴らを狙って来てンだよ」鉄パイプが刺さったままの片爪で易々と弾きながらセンチピードが答える。「運が悪かったなァ。イヤーッ！」腕を振り抜き、パイプが外れる！爪が一段階伸びた！ 33

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センチピードが跳躍、両腕の爪が襲い掛かる！「イヤーッ！」「おっと。伸びるんだね」グラスキャットは装束を裂かれながらも回避、着地を狙ってパイプを振り下ろす！センチピードは素早く距離を取り、更に飛来する鉄パイプを爪で薙ぎ払いカット！「余裕なツラしやがって！イヤーッ！」再度跳躍！ 34

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回避に専念し、後退しながら、グラスキャットは思考する。（（（俺達、ね）））つまり、もう一人いる。あのスリケンはもう一人のニンジャのものと考えるのが自然だ。「イヤーッ！」「グワーッ！？」突き出される爪に脇腹を掠られながら跳躍！同時に塔方向からスリケン狙撃！「ウナーッ！」 35

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手甲で辛うじて弾き飛ばし（手が痺れる！）、下方向にスリケンを連続投擲！けん制しながら着地！全て叩き落したセンチピードの爪をまたも間一髪でいなし、パンチを叩き込む。「イヤーッ！」「パワーはサンシタだなァ？」胴もサイバネだった。グラスキャットのそれでは大したダメージにならぬ。 36

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グラスキャットは追撃をくぐり抜け、背後からケリ・キックを見舞った。「イヤーッ！」「グワーッ！」反動で瓦礫の山に着地、すかさず蹴りつけて飛ばす！「調子に乗るンじゃねェ！」飛来する瓦礫を叩き落しながらセンチピードが迫る！跳躍！「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」 37

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「ウナーッ！」ドラム缶飛来！「グワーッ！」破壊しきれず失速！ヒット・アンド・アウェイじみて飛び離れた所へ、今度はグラスキャットが仕掛けた。手には大剣めいた大型の金属片！「ウナーッ！」「イヤーッ！」振り下ろされたそれをセンチピードの両腕が捉えた！CRASH！複雑に割れ砕ける！ 38

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距離を取ろうと跳んだグラスキャットにセンチピードのケリ・キックが命中！「イヤーッ！」「ンアーッ！」金属片でガードする間もなく、高く吹き飛ばされる！「しまっ……」塔が見える。ガキン！金属片にスリケンが刺さる。グラスキャットは下を見やった。センチピードの爪が迫る。CRASH！ 39

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ガードした所に更にスリケンが飛来し、脇腹を切り裂く！「ンアーッ！？」更に一枚はガードするも、腿と肩にスリケンを受け、バランスが崩れた。「ンアーッ！」「イヤーッ！」「この……！」センチピードの更なる追撃も防ぎきれない。肩口が裂ける。成す術なく瓦礫の谷間へ転がり落ちる。 40

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転がりながらスリケンを引き抜き、投擲する。爪が弾く。痛みで立て直しが利かぬ。ようやく止まったところに来た急所への一撃を、金属片で弾き返す！「イヤーッ！」「イヤーッ！」「ンアーッ！」威力が殺しきれぬ！グラスキャットはワーム・ムーヴメントで転がり、出来る限りの距離を取った。 41

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実際傷だらけになってしまった。グラスキャットは苦笑した。見ると、金属片もズタズタになっている。「ああ……使えるね」レーダーが位置関係を示す。頑丈なものだ。（（ここなら塔の死角だ。やれる）））起き上がらず、迫る影を見やった。爪が更に伸び、威圧感を放つ。 42

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「俺達の力にはサンシタじゃ敵わねェよ」ブザマに地に転がった手負いのネコに止めを刺すべく、センチピードは歩く。「なンだァ？その目は」その言葉には二重の意味がこもっていた。ネコの目が笑った。「なンだと思う？」妙におどけた声に、センチピードは苛立った。「知るかよォ！イヤーッ！」 43

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「聞いといてそれかい？」呆れたような声が返る。だが転がったままだ。殺せる。だが、飛び掛ったセンチピードの喜色は訝りに変わった。目が離せぬ。平衡感覚が狂い、センチピードは虚しく落下する。そこに跳ね起きたグラスキャットが飛びかかった！「ウナーッ！」「グワ、アバーッ！」痛烈！ 44

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ウケミを取り損ね、瓦礫から身を剥がしながらセンチピードが呻く。「テメェ、何を」「なンだと思う？イヤーッ！」「グワーッ！」「イヤーッ！」「グワーッ！」「ナメやがっ」「イヤーッ！」「グワーッ！」グラスキャットは手を緩めぬ！ 45

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「この野郎ーッ！」「こっちの台詞さ！イヤーッ！」ふらふらと突き出された爪を難なく避け、金属片を振り下ろす！「アバッ！？」「あんたが壊してくれて助かったよ。ウナーッ！」踵落としがその刃を捩込む！頭部破壊！「アバッ、アババババーッ！サヨナラ！」センチピードは爆発四散！ 46

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「ゲホッ……ああ、貰える物は貰うさ」グラスキャットは唸りながら、亡骸から素子を拾った。その尻尾は力なく下がっている。全く割に合わない。（（（塔のアイツはやめだね。死んだら終わりだ……）））首を振り、脇腹を押さえながら死角を歩く。あのジツがうまく効いてよかった。 47

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グラスキャットは塔を振り返った。あの川を渡るだけの気力は無い。万が一追われたら交戦すればよかろう……「休まないとまずいね」『重点な』「それ砦の外だよ……」『ヌンヌンヌン……』「アイエッ、いい、いいって。ドーモ」 48