図書館での「分類」の意味と司書の専門性について。

海老名市立図書館の分類が悲惨なことになっている、というツイートを受けて、本来図書館の分類がどのように決定、運用されているか、という解説連投と関連ツイートをまとめました。
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IMAI Toshiyuki @imait

検索のインデックスは、まず書名で作ります。書名で読みが複数にわかれそうな場合は、増し刷り(コピーですね)してそれぞれでインデックスを作ります。それで、書名索引の箱に収めるわけです。

2015-10-04 01:19:37
IMAI Toshiyuki @imait

書名は、一冊に複数のタイトルが所収されてされている場合、その所収タイトルごとにインデックスを作ります。短編集は扱った覚えがちょっとないけど、どんなことになるんだろう。館の性質によって、それぞれの索引が求められる場合は、どんなに大量でも作成するのだと思います。大変だな。

2015-10-04 01:21:44
IMAI Toshiyuki @imait

書名の次は著者名で作ります。複数著者があった場合、やっぱりカードを増し刷りして、それぞれの著者ごとにインデックスを作成します。また、その著者がペンネームを複数使っている場合は、別の名前でもインデックスを作ることもあります。栗本薫/中島梓さんが、例といて示されることが多いですね。

2015-10-04 01:24:05
IMAI Toshiyuki @imait

そして、今回の話題になってる、分類でもってインデックスを作ります。まず第一に資料の主分類(それが請求記号として使われることが多い、もちろん排架もこれによる)で作ります。内容が多岐にわたる場合は、またそれぞれの分類のインデックスを作成していくわけです。増し刷りです。

2015-10-04 01:27:46
IMAI Toshiyuki @imait

こうして作成した書誌を増し刷りして、あっちにもこっちにもインデックスを作るのはなぜかというと、アクセスするための入り口を多様に用意することで、利用者が資料にアクセスしやすくするためです。このあたりは、昼間にいったことの繰り返しになりますね。

2015-10-04 01:30:36
IMAI Toshiyuki @imait

最近ではコンピュータで検索することが一般的で、カードをめくって本を探したことのある人も減ってきているのではないかと思います。カードで資料を探していた時代には、以上述べてきましたようなことを、図書館の整理係が行っていたのだなという、雰囲気だけでも感じとっていただけますと嬉しいです。

2015-10-04 01:32:43
IMAI Toshiyuki @imait

コンピュータが扱う書誌、これをMARCといいます。機械可読目録、MAchine Readable Catalogingの略です。これも業者から買えます。TRCが解説してますので、興味ありましたら参照ください。 trc.co.jp/solution/marc.…

2015-10-04 01:35:08

連ツイ主さんによる補足説明です。

IMAI Toshiyuki @imait

図書館の仕事についての例のtweetsとそのまとめ、少々誤解なさってる方もいらっしゃるようで、「図書館の分類は本をひとつのカテゴリに固定すること」みたいな理解がちらほら見られて、ちょっとまいったな、という気分。実際はむしろ逆で、図書館は、ひとつの資料を多様なカテゴリに分類してる。

2015-10-04 13:11:23
IMAI Toshiyuki @imait

まつきさんの出してくださった例がすごくありがたい。こういう場合はインデックスカードを3枚作って、それぞれを社会学36, 鉄道68, 地理29のカードボックスに収める。そうすることで、ひとつの資料を、みっつの入り口から検索可能にする。 twitter.com/matukimatuki/s…

2015-10-04 13:14:08
まつき @matukimatuki

館によって分類が分かれた例 社会学36と鉄道68と地理29が拮抗。 常磐線中心主義 : ジョーバンセントリズム 五十嵐泰正, 開沼博責任編集 http://ci...「図書館での「分類」の意味と司書の専門性について。」 togetter.com/li/881936#c219…

2015-10-03 20:55:20
IMAI Toshiyuki @imait

最初のtweetで、元発現に引っ張られて「NDCは排架場所が1箇所に決まるというのは確かにそうかも」なんて書いてしまったのがそもそもの謝りで、NDCは排架場所を決定しないという前提も説明すべきだった。

2015-10-04 13:16:12
IMAI Toshiyuki @imait

NDCによる分類をもとに請求番号が作成され、請求番号順に排架されることが多い、というのは事実だけど、NDCでの分類が排架場所を決定するわけではない。というのは、例えば大型本、例えば辞書、百科事典の類いは、NDCによらず、大型本や辞書コーナーに排架されることが多い。

2015-10-04 13:18:15
IMAI Toshiyuki @imait

では、その大型本や事典はNDCによる分類はなされないのか? というと、もちろんそういうわけではなく、やっぱりそれぞれに、写真集なら写真集の、事典なら事典の分類番号は与えられて、それぞれの分類から検索できるような仕組みが用意される。ただ置き場所は、分類頼りではないというだけのこと。

2015-10-04 13:20:19
IMAI Toshiyuki @imait

なんで大型本は別置されるのかというと、もうそれは単純に、でかすぎて棚に収まらんから。辞書もそれに近いけど、こういう*主に*調べものに使う資料の場合、それがひとまとめにされてた方が利便性が高いから。そういったいろいろな理由で、排架される場所は変わってくる。分類一本槍じゃないんです。

2015-10-04 13:24:08
IMAI Toshiyuki @imait

昨日のtweetsは、「分類が排架場所を決める」という前提にほいっと乗ってしまったのがひとつ目の失敗。ふたつ目の失敗は、資料を整理する際に、複数の分類番号を与えて、それぞれの分類から検索可能にするということを、私が当たり前に考えすぎてて、説明がさらっと流されてしまったこと。

2015-10-04 13:27:07
IMAI Toshiyuki @imait

複数の分類から資料が検索できるということは、図書館をわりとハードに利用してる人から当たり前で、説明されなくとも、そうだよねー、とイメージできることだったかも知れないけど、そうでない利用者にとっては、もっと丁寧に説明すべきことだったと思う。このあたりの塩梅は難しいですね。

2015-10-04 13:28:16
IMAI Toshiyuki @imait

図書館の仕事についてtweets、誤りはほかにもあって、「本が入荷したら、まず最初に分類を行う」は間違い。支払いとかそういうのはもちろんあるんだけど、それは私の仕事ではなかったので、整理の仕事に限ると、まず最初にするのは、目録づくりです。昨日、最後に補足した、NCRの出番がここ。

2015-10-04 13:33:24
IMAI Toshiyuki @imait

といっても実際はTRCにカードを発注するのだけどね。で、TRCが扱ってないものを自作する。目録作成が終わったら、分類して、請求記号付与して、検索用にカード増し刷りして、本に三段シール貼ったりいろいろして、図書目録カードをカードボックスに収め、資料を排架する。これが一連の流れかな。

2015-10-04 13:37:17
IMAI Toshiyuki @imait

しまった、誤りが謝りになってる。もう、あかんな。修了を終了って書いてたりしたし、あちこちに誤字がまじるのは本当に申し訳ない。

2015-10-04 13:29:34