- laurassuoh
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何がいけなかったのか、答えは出ない。僕がちょっと早とちりする童貞だったから。鹿島さんが優しすぎる処女だったから。あるいはその両方。もしくは別の要因。とにかく、僕は鹿島さんをレイプして、鹿島さんは傷を負った。僕を訴えればよかっただろうに、優しすぎる鹿島さんはそれをしなかった。
2016-02-10 18:57:55僕をその手でボコボコにしたことへの後ろめたさだったのか、あるいは自分の態度がいけなかったと思い直したのか。それは希望的観測だ。悪いのは実行犯の僕、鹿島さんは防衛しただけだ。本当にそうなのか。鹿島さんは無自覚に僕を誘った。僕は蛾なんだ、鹿島さんの光は僕にとって強すぎて無防備すぎた。
2016-02-10 18:59:25僕には分からない。ただ、誰も幸せにならなかった事は確かだ。 僕はコンビニを後にしてラブホ街を歩く。ふと目をやったビルに鹿島さんと知らない男が入っていくのが見えた。そう言えば鹿島さんは一度も「彼氏がいない」とは言ってなかったっけ。もちろん、そのカップルは鹿島さんではなかった。
2016-02-10 19:01:23分からない。僕にはもう、あらゆる男女の二人連れが鹿島さんとその彼氏に見える。きっと鹿島さんには彼氏がいたはずだ。僕のことは友達程度に思っていて、軽い気持ちで夕ご飯に誘ったのだ。小さな無自覚の優しさと、無知な勘違いが招いた悲劇、いや、喜劇か。
2016-02-10 19:38:09鹿島さんは今頃何をしているのだろう。僕の精液はどうなったのか。まさか子供ができていたりしたらどうしよう。すべて夢だったような気もするが、僕の片方ない精巣が現実であったことを証明してくれる。もっと分かりやすい世界に生まれたかった。精神だけの世界とか、無性生殖の世界とかに。
2016-02-10 19:43:21「ごめんなさい」 僕は呟く。僕はもう人を信じることができないだろう。 「鹿島さん……あなたのせいですよ」 身勝手な僕は自分の心を守るため、鹿島さんに責任の一端をなすりつけた。きっと僕らに起こったのも、そういうことだったのだろう。僕たちは一生分かり合えることはない。
2016-02-10 19:46:04