「現代思想」(特集人工知能)自分の論考を語る

昨年(2015年)「現代思想」12月号に人工知能について書かせて頂きました。かなり長い原稿ですので、ここで、短く概要をツイ―トして行きます。http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791713097
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三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第二章)一層は反射、二層目は一層目をコントロールしながら意思決定をする。三層目は二層目までをコントロールしながら、三層目を考える、というように、最初の層を包むように進化するので、包合構造(サブサンプション構造)と呼ばれるわけです。

2016-02-14 00:55:06
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第二章)さらに深く意識の構築について考えてみましょう。意識モデル、という分野があり、いくつかのモデルが提案され、それを組み合わせて実装したモデルもあります。CERA-CRANIUMアーキテクチャです。これは意識の劇場モデルを基礎として実装されています。

2016-02-14 00:57:06
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第二章)このモデルはアクションゲーム上でチューリングテストを行う大会で優勝しました。つまり、人間らしい知能として、認識されました。

2016-02-14 00:57:52
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)さて、生態学的人工知能、を具体的に構築する方法について考えてみましょう。つまり環境との結びつきの中で人工知能を考えることです。

2016-02-14 00:59:37
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)環境と知能を結ぶモデルを、ロボティクスでは、エージェント・アーキテクチャと言います。ゲームAIもこれを使用します。環境からセンサーによって情報を集め、知能の中で認識、意思決定、行動生成を行い、身体を通じて世界に影響を及ぼす、というサイクルです。

2016-02-14 01:01:21
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)ところが生物学では、これをより細密に捉える方法があります。それを環世界と言います。これは生物の持つ身体や習性が、環境の中で自身が作用を及ぼす場所が浮かび上がらせる、と同時に、身体の動さがその場所に向かって励起される、という理論です。

2016-02-14 01:03:35
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)すると、生物は自分の習性に従って、環境から情報を受け取り、自分の身体が作用を及ぼせる位置が見えており、その場所に従って生物的行動を行う。これを環世界と言う。 pic.twitter.com/8yPADubLdf

2016-02-14 01:05:24
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三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)逆に言えば、生物は自分が作り出し、環境の環の中から抜け出せない。この抜け出せない世界のことを環世界と呼びます。それぞれの生物は、それぞれが作り出した環世界に閉じ込められている、と捉えるわけです。

2016-02-14 01:07:20
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)そして、認知科学にも、環世界とよく似た「アフォーダンス」という概念があります。これは環境がその生物に対して持っている価値のことを言います。例えば、りんごは「食べることができる」、車は「動かすことができる」など、物に張り付いた運動可能性のことを言います。

2016-02-14 01:10:01
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)生物学の環世界、認知科学のアフォーダンス、と来て、さらに人工知能では、同じことを知識表現と言います。知識表現とは、AIにとっての環境世界を描く時に、それぞれの物・場所に対して、記憶を形成することです。例えば、「りんご」は「赤い」「食べる」「堅い」などです

2016-02-14 01:12:12
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第三章)生物学の環世界、認知学のアフォーダンス、人工知能の知識表現は、極めて近いことを、違う立場、違う言葉で説明しているのです。

2016-02-14 01:13:36
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第四章)最後に二十世紀最大の哲学である現象学と、人工知能について解説します。20世紀以前の西欧の学問はデカルトの機械論的な、つまり因果律を前提に、分解して組み上げる、時計仕掛けの、合理的な学問大会を築いて来ました。し

2016-02-14 01:15:31
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第四章)世界について考える科学でもそれは良かったかもしれません。しかし、そういった機械論的な還元主義が、人間の内面をも、そのまま語ろうとする時に、それを学問的な危機として、新しい哲学が立ち上がるわけです。それが現象学です。

2016-02-14 01:16:47
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第四章)現象学は一言で言えば経験の哲学です。経験を何かに還元するのではなく、その全体性を確認した上で、全体性の中から、あらゆる存在や特性を考えようとする学問です。

2016-02-14 01:19:52
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

#特集人工知能 (第四章)現象学的な人工知能とは、そういった全体の経験を分解せずに、経験の総体を体験できる知能を作ろうとする試みです。

2016-02-14 01:20:16