本来は身近なものであるべき政治や経済がこんなよそよそしくなってしまったのは、人間、つまり芸術が抜け落ちているから。人間としての生き方の哲学が失われてしまっているのだ。
人生は積み重ねだと誰でも思っているようだけど、本当は積み減らすべきだ。いままでは謙虚であるということが世渡りの第一歩と考えられてきたが、じつはそれは不遜な考え方だ。
というのも、自分はどのくらいの能力があり、どのくらいのことをすべき器であるかということを見極めようとしないから。みんな、やってみもしないで、最初から引っ込んでしまっている。
自分に忠実だなんて言う人に限って、自分を大切にして、自分を破ろうとしない。大事にするから、弱くなってしまうのだ。己自身と闘え。
確かにこの考えは、飛躍的で、空想めいて聞こえるかもしれない。しかし今や全人類をのみ込もうとしている近代化の虚無を克服する方法は、これ以外にはないと思う。
岡本太郎「自分の中に毒を持て - あなたは“常識人間”を捨てられるか」より
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by francisco_bot