エレン先生と考えよう、日本人の英語

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２３）日本語には英語でいう過去時制が実はないからです。「～る」文こそが主役で、そこに「～た」文を混ぜることで過去のできごとだと相手に理解させるのが基本技なのです。

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２４）もし「北京に行く前にデパートで買い物をする」だと、これから北京に（そしてデパートに）行くかのように感じられてしまう。

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２５）「北京に行った前にデパートで買い物をする」は論外だし、「北京に行った前にデパートで買い物をした」も先に論じたようにやはり不自然に感じられる。

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２６）「北京に行く前にデパートで買い物をした」なら正しく感じられる。「～る」文（ここでは「～く」文ですがｕで終わっているのは共通）で始まり「～た」で終わる。「～た」で終わるのは、これが過去のことだとわからせるためであり、それ以上の機能はない。

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２７）「買い物をする」で終わると過去のことだとわからなくなるから「した」にしたのです。「した」だから過去を表すのではなく、「した」にしないと過去のことだと伝わらないから「した」が選ばれた。禅問答のようですがこういうメカニズムが働いています。

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２８）この作文メカニズムは、西洋の小説が翻訳で読まれるようになるもっともっと前から日本に（少なくとも江戸に）は話しことばのなかで回っていたのだと想像します。そこに西洋の小説スタイルが入り込み、漱石の手で「～た」を地の文としつつ「～る」を挟んでくるスタイルが確立していった。

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２９）日本語ネイティヴが英作文したり英会話したりすると、英語ネイティヴには理解しがたい時制の使い方をしてしまいます。それはこんな風に江戸の話しことばと明治の翻訳小説文体の折衷を経て日本語の書きことばが整備されていったことと関係しています。

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３０）エレン先生はいかがお考えですか。 pic.twitter.com/hoFEiD72Fa

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