黄昏町のくらげ（11日目～20日目）

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

[町]巨大な黒い獣が現れた。建物を破壊しながら君を執拗に追いかける。竜の尾に鬼の腕。力では勝てそうにない。《探索3以上で逃亡成功【魂+1】、2以下で死亡【魂-1/異形『獣鼻(探索+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

13日目。勝てない相手からは逃げないと。【魂10/力0/探索0】『角(力+2)』『三ツ目(力+1、探索+2)』『複口(力+2、探索+1)』 #黄昏町のくらげ

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

ギャアアアアアン！　映画に出てくる怪獣みたいな声が、住宅街を走る私の後ろから飛んできます。必死に走りながら、私は三つの目で人が住んでなさそうな家を探します。まるで地震のような揺れと、地面が砕ける音が追いかけてきています。突然、私とその周りに影ができました。「うわああっ！？」

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

私が跳び退くと、さっきまで走っていた場所を大きな手がパンチしました。土が飛び散って、私にべちべち当たります。手を振り下ろしたままの怪獣は猿みたいな顔でこっちを見て、大きなトカゲのしっぽで私を弾き飛ばそうとします。私はしっぽの動きに合わせてジャンプして、衝撃を減らそうとします。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

それでもしっぽは速くて、私は何度も跳ねながら地面を転がっていきます。私は素早く立ち上がって、また逃げ道を探します。角を曲がると、怪獣は曲がり角にあった家をなぎ倒して向かってきます。私はがれきを避けながら、細い路地に逃げ込みました。それでも怪獣は、両側の家を壊して追ってきます。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

もう人のいない家とか言ってる場合じゃない、私は横っ飛びで窓を突き破って木造の家に飛び込みました。窓のあった場所が私の身体の2倍はある太さの腕でぐしゃぐしゃになりました。「何だお前！」この家の人が叫びます。「逃げますよ！」「逃げるって――」家の人がぐしゃぐしゃになりました。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

私は木の壁を蹴り破って外に出ました。怪獣が二階の壁を突き破って顔を出します。私は向かいの家の扉を蹴り破って、また家の中を走ります。追いかけて入ってきた怪獣は肩から上が二階に突き出ていて、前が見えてなさそうです。私は方向を変えて、隣の部屋に駆け込みました。大きな足が走っていきます。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

木や石が壊れていく音や足音がどんどん遠くなっていって、私はほっとして床に座り込みました。壊れた壁の向こうには、この家に住んでいたのかもしれない人がばらばらになって落ちていました。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

黄昏町のくらげ 13日目おわり #黄昏町のくらげ

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

[町]大きな両手が君を掴んだ。「ごめんなさい、ごめんなさい」震えた声の怪物が、君の体へ鋭い角の先を沈めてゆく。《力3以上で勝利【魂+1】、力2以下で死亡【魂-1/異形『角(力+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

14日目。私も強くなりました。【魂11/力0/探索0】『角(力+2)』『三ツ目(力+1、探索+2)』『複口(力+2、探索+1)』 #黄昏町のくらげ

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

この何回でも死ねるような世界に来て、2週間くらいがたちました。早く元の世界に帰りたいとも思うけど、こんな姿で帰って怖がられないかなと思うと、少し帰るのが怖いです。夕焼けの街中で一晩過ごせそうなところを探していると、おでこから角の生えた大きな人が私に向かって走ってきました。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

「ごめんなさい！」大きな人はそう言って、私を勢いよく掴もうとします。角の生えた大きな人って謝りながら人を掴む習性でもあるのかな。なんかやだな、なりたくないな。私はその両手を跳び越えて、おでこから突き出ている角を両手で掴みました。「ちょっと痛いよ。ごめんね」

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

両手を思いっ切り下げて、私はひざで角を叩き割りました。真ん中くらいから砕けた角のかけらが、夕陽を浴びてきらきらと光っています。「あああ！　痛い、痛いよお！」大きな人は砕けた角を押さえて倒れています。こんなに強いと危なくて帰れないなぁ。そう思いながら、私はまた寝床を探し始めました。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

黄昏町のくらげ 14日目おわり #黄昏町のくらげ

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

[町]「異形の種類は死因に準じるみたいなんだよね」白衣の少年は、錆びた包丁と君を見比べた。「実験しよ？」《君が頷くなら刺されて死亡【魂-1/異形『棘(力+2)』を入手】、力1以上で少年を戮せる【魂+1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

15日目。刺されて死んだ。まさか実験がそんなのだったなんて。【魂10/力0/探索0】『角(力+2)』『三ツ目(力+1、探索+2)』『複口(力+2、探索+1)』『棘(力+2)』 #黄昏町のくらげ

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

「ねえお姉ちゃん、実験しよ？」白衣を来た男の子が、私を呼び止めました。「実験ってどんなですか？」「異形についての実験だよ」「異形？」「……お姉ちゃんの角や目みたいな、普通の人には存在しないパーツのことだよ」これって異形って言うんですか。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

「研究が進めば、人から異形を取り除くことができるようになるかもしれないんだ」もし帰る方法が見つかっても、そのままの姿じゃマズいでしょ？　言いながら、男の子は近付いてきます。たしかに。「ね、だから、実験しよ？」「できるようになったら私も戻してくださいね」私は協力することにしました。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

「で、実験って何をしますか？」「それなんだけど……」男の子はポケットに突っ込んでいた手を出しました。ざく。男の子が手に持っていた包丁を私の胸に突き刺しました。「ぅぐ、え、え？」「異形の種類は死因に準じるみたいなんだよね」男の子は包丁を引き抜いて、もう一度私の胸に突き刺します。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

私は突然の痛みにへたり込んでしまいます。「異形の発生をコントロールできたら、消すこともきっとできるはずなんだ」包丁が私の胸に何度も何度も出たり入ったりします。「お姉ちゃん、ちょっと刺し辛いんだけど」それ私悪くない。包丁が刺さったまま、私は仰向けに倒れてしまいました。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

「多分お姉ちゃん、次は何か尖ったものが出せるようになってると思うよ」私の胸から包丁を引き抜いて、男の子が言いました。私の血にまみれた包丁が、夕陽でぎらぎらと輝いててきれいでした。

しずにえ @4z2E_PK0ZYHD

黄昏町のくらげ 15日目おわり #黄昏町のくらげ