圏論での積分(エンド)について

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V-alg-d(ZZ) @alg_d

アニメ終わったし今日も圏論の話するか

2016-05-01 03:04:54
V-alg-d(ZZ) @alg_d

反応ないし誰も聞いてないっぽいので、積分の話しますね(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)

2016-05-01 03:14:18
V-alg-d(ZZ) @alg_d

C, Dを圏として、関手 T: C^op×C→D を考えます(先に言ってしまうと、TとしてHom(-, -)みたいなものを取ることを想定しています)

2016-05-01 03:15:06
V-alg-d(ZZ) @alg_d

このとき対象x∈DからTへのwedgeとは、Dの射の族  σ = { σ_c: x→T(c, c) }_{c∈C}  であって、画像の可換性を満たすものを言います。 pic.twitter.com/BBecNsibwR

2016-05-01 03:17:50
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V-alg-d(ZZ) @alg_d

例えば F, G: C→D を関手としたとき,Hom(F-, G-): C^op×C→Set という関手を考えます。これはc, c'∈C に対して集合 Hom(Fc, Gc') を与える関手です。

2016-05-01 03:19:54
V-alg-d(ZZ) @alg_d

1 = {*} を一点集合として、σを 1 から Hom(F-, G-) へのwedgeとします。σは族 { σ_c: 1→Hom(Fc, Gc) }_{c∈C} であって、さっきの可換性を満たすものです。

2016-05-01 03:21:18
V-alg-d(ZZ) @alg_d

T = Hom(F-, G-) の場合、f: c→c' に対して、さっきの図式に出てくる T(id_c, f) とは Hom(F(id_c), G(f)) ですが、これは 後ろから G(f) を合成する写像 G(f)○-: Hom(Fc, Gc)→Hom(Fc, Gc') です

2016-05-01 03:23:40
V-alg-d(ZZ) @alg_d

同様にT(f, id) とは 前から F(f) を合成する写像 -○F(f): Hom(Fc', Gc')→Hom(Fc, Gc') です。

2016-05-01 03:24:39
V-alg-d(ZZ) @alg_d

つまりさっきの図式は次のようになります pic.twitter.com/WWubxcnqmt

2016-05-01 03:28:13
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V-alg-d(ZZ) @alg_d

これはSetでの図式で、1={*}だから、これが可換というのは、 θ_c := σ_c(*) (写像σ_cの*の行き先) と書くと、 Gf○θ_c = θ_{c'}○Fg ということです。

2016-05-01 03:30:09
V-alg-d(ZZ) @alg_d

Gf○θ_c = θ_{c'}○Fg は図式にするとこのようになります pic.twitter.com/BCrIDTCQ9d

2016-05-01 03:31:51
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V-alg-d(ZZ) @alg_d

これはθが自然変換F⇒Gであることを言っており、つまり、1 から Hom(F-, G-) へのwedgeとは自然変換F⇒Gと同等のものです。

2016-05-01 03:32:42
V-alg-d(ZZ) @alg_d

さて、普遍性を満たすwedgeをTのエンドと言います。

2016-05-01 03:33:12
V-alg-d(ZZ) @alg_d

つまり、T: C^op×C→D のエンドとは、組(e, λ)であって、以下を満たすものをいいます: (1) e∈Dは対象である。 (2) λは e から T へのwedgeである。 (3) σが x から T へのwedgeであるならば、p: x→e が一意に存在して(続)

2016-05-01 03:35:36
V-alg-d(ZZ) @alg_d

このとき e を、記号 ∫_{c∈C}T(c, c) で表します。

2016-05-01 03:36:37
V-alg-d(ZZ) @alg_d

自然変換がwedgeだといいましたが、関手 Hom(F-, G-) のエンドが、 FからGへの自然変換全体がなす集合 Hom_{D^C}(F, G) となることが分かります。(読者の演習問題です)

2016-05-01 03:38:10
V-alg-d(ZZ) @alg_d

つまり記号でかくと ∫_cHom(Fc, Gc) = Hom_{D^C}(F, G) であり、射 Fc→Gc を集める(積分する)と自然変換 F⇒G になるといっているんだと思います(たぶん)

2016-05-01 03:39:08
V-alg-d(ZZ) @alg_d

さて、この積分は"Fubiniの定理"を満たす、つまり二重積分が交換できます。

2016-05-01 03:40:01
V-alg-d(ZZ) @alg_d

C, D, Xを圏として関手 T: C^op×C×X→D を考えます。x∈Xを固定することで、関手 T(-, -, x): C^op×C→D が得られるので、これのエンド ∫_cT(c, c, x)∈D を考えることができます。

2016-05-01 03:41:19
V-alg-d(ZZ) @alg_d

すると対応 x |→ ∫_cT(c, c, x)∈D が得られますが、これは関手 ∫_cT(c, c, -): X→D を与えることが分かります。

2016-05-01 03:42:23
V-alg-d(ZZ) @alg_d

関手にするのは簡単です。まず k: x→y をXの射としたときに、図式の点線の部分の射を定義する必要がありますが、実践部が全部可換なので、図式を可換にするように、点線の部分の射が一意に取れます(エンドの普遍性) pic.twitter.com/MiiJxT3PSI

2016-05-01 03:44:37
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V-alg-d(ZZ) @alg_d

すると普遍性から、この定義が関手の定義を満たすことが簡単にわかります。

2016-05-01 03:45:02
V-alg-d(ZZ) @alg_d

さて、今度は4変数の関手 T: C^op×C×X^op×X→D を考えます。もし、必要なエンドが存在すれば、関手 ∫_cT(c, c, -, -): X^op×X→D が得られるので、これのエンド ∫_x∫_cT(c, c, x, x) ∈D を考えることができます。

2016-05-01 03:46:51
V-alg-d(ZZ) @alg_d

一方 T を 関手T: (C×X)^op×(C×X)→D だと思えば、エンド ∫_{c,x}T(c, x, c, x)を考えることができます。

2016-05-01 03:47:55