圏論での積分(エンド)について

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V-alg-d(ZZ) @alg_d

エンドの普遍性から、(必要なエンドが存在するという仮定の下で) ∫_x∫_cT(c, c, x, x) = ∫_{c,x}T(c, x, c, x) が分かります。(=は圏Dでの同型です)

2016-05-01 03:49:25
V-alg-d(ZZ) @alg_d

特に、 ∫_x∫_cT(c, c, x, x) = ∫_{c,x}T(c, x, c, x) = ∫_c∫_xT(c, c, x, x) となって、二重積分が交換できることが分かります。

2016-05-01 03:52:06
V-alg-d(ZZ) @alg_d

エンドは普遍性を使って定義しましたが、実はエンドは極限を使って書けます。

2016-05-01 03:53:54
V-alg-d(ZZ) @alg_d

つまり、関手F_Tを考えることで、 ∫_cT(c, c) = lim F_T とできます。

2016-05-01 03:55:05
V-alg-d(ZZ) @alg_d

つまりエンドとは極限です。極限は Hom(d, -)と交換するので、エンドも交換することが分かります。つまり Hom(d, ∫_cT(c, c)) = ∫_cHom(d, T(c, c))

2016-05-01 03:56:13
V-alg-d(ZZ) @alg_d

一方、エンドの双対としてコエンドもあります。コエンドは、 T: C^op×C→D に対して T から e へのcowedgeを同様に定義して、普遍性を持つcowedgeとして定義します。

2016-05-01 03:57:17
V-alg-d(ZZ) @alg_d

コエンドは∫^{c∈C}T(c, c)で表します。コエンドは余極限側の存在なので Hom(∫^{c∈C}T(c, c), d) = ∫_cHom(T(c, c), d) となります。

2016-05-01 03:58:41
V-alg-d(ZZ) @alg_d

そろそろエンド、コエンドは何に使うのか? という話をしますと、これらは「自然変換の計算」に威力を発揮します。

2016-05-01 04:00:23
V-alg-d(ZZ) @alg_d

圏論で一番重要なのは自然変換の計算(自然変換の合成の計算)でしたね twitter.com/alg_d/status/7…

2016-05-01 04:01:49
V-alg-d(ZZ) @alg_d

圏論で一番重要なのは、やはり自然変換の合成だと思うんです。

2016-04-23 04:19:32
V-alg-d(ZZ) @alg_d

(こまった、Kan拡張を出さないと話が先に進まないな… #全ての概念はKan拡張である )

2016-05-01 04:03:39
V-alg-d(ZZ) @alg_d

圏 C が有限完備だとします。つまり、有限直積とか終対象くらいは持っているとします。すると c∈Cに対して、右から直積する関手 -×c: C→C を考えることができます。

2016-05-01 04:05:23
V-alg-d(ZZ) @alg_d

これが右随伴を持つとき、Cはカルテシアン閉であるといいます。

2016-05-01 04:05:46
V-alg-d(ZZ) @alg_d

これは、言い換えると、 d∈Cに対して「x∈C について自然な全単射  Hom(x×c, d)=Hom(x, Gd)  が成り立つような対象Gdが取れる」ことを意味します。

2016-05-01 04:08:19
V-alg-d(ZZ) @alg_d

このGdをexponential objectといって、d^cなどと書きます

2016-05-01 04:09:31
V-alg-d(ZZ) @alg_d

例えば C = Set の場合、d^cは集合の冪 d^c と一致します。

2016-05-01 04:10:13
V-alg-d(ZZ) @alg_d

さて、Cを圏としたとき C^ := Set^{C^op} はカルテシアン閉となります。これを示してみます。まず C^ は有限完備であることを気を付けておきます。

2016-05-01 04:11:36
V-alg-d(ZZ) @alg_d

示すべきことは、P, Q∈C^ を取ったとき、X∈C^ に対して自然に Hom(X×P, Q) = Hom(X, Q^P) となるようなQ^P∈C^ が存在する、ということです。

2016-05-01 04:12:44
V-alg-d(ZZ) @alg_d

ここで、もしそのようなQ^Pが存在したとすれば、X = y(c) := Hom(-, c) と取って米田を使えば  Hom(y(c)×P, Q) = Hom(y(c), Q^P) = Q^P(c)  となるので、Q^P(c) = Hom(y(c)×P, Q) でなければならない。

2016-05-01 04:14:19
V-alg-d(ZZ) @alg_d

そこで Q^P(c) = Hom(y(c)×P, Q) と定義して  Hom(X×P, Q) = Hom(X, Q^P)  を示します。

2016-05-01 04:14:52
V-alg-d(ZZ) @alg_d

ここでエンドが使えるわけです。つまり、自然変換の集合 Hom(X×P, Q) と Hom(X, Q^P) を計算してこれらが一致していれば良いわけですが、この計算にエンドが使えます。

2016-05-01 04:16:15
V-alg-d(ZZ) @alg_d

計算したものがこちらとなります。 pic.twitter.com/ovtDCoJsCB

2016-05-01 04:16:40
拡大
V-alg-d(ZZ) @alg_d

1行目で、まずC^でのHom(=自然変換の集合)をエンドに直します。 2行目はQ^Pの定義です。 3行目、するとまたC^でのHomが現れるのでエンドに直します。 4行目、エンドはHomと交換するので一番前に出せます。

2016-05-01 04:18:52
V-alg-d(ZZ) @alg_d

5行目はSetがカルテシアン閉であるということです。 6行目でFubiniにより、積分を交換します。 あとは、積分を順番に計算していくだけです。

2016-05-01 04:20:08