この定理はエンドを使わなくても証明できると思いますが(というかSGLは確かエンド使ってないですね)、この証明のポイントは、わりかし機械的な計算だけで証明が終わっていることだと思います。
2016-05-01 04:22:11この証明もそうでしたが、C^でのHomの計算が、エンドを使うとSetでのHomの計算に化けるので、計算的にはかなり分かりやすいです。
2016-05-01 04:23:10他の例だと、例えばF†Eが各点Kan拡張のとき Hom(F†E(d), u) = Hom(Hom(F-, d), Hom(E-, u))という重要な定理がありますが、これもエンドを使って証明できます。(alg_d.comのKan拡張PDFは違う方法で証明してます)
2016-05-01 04:27:06というのも、まずKan拡張は(適当な条件の下で)コエンドを使って F†E(d) = ∫^cHom(Fc, d)◎Ec と書くことができます。(コエンドによる各点Kan拡張。なお◎で「copower」を表した)
2016-05-01 04:29:23するとHom(F†E(d), u) = Hom(∫^cHom(Fc, d)◎Ec, u)となって、さっきと同様、コエンドを前に出したり積分を交換したりすることで、定理が証明できます。
2016-05-01 04:30:42また、米田の補題 Hom(y-, P) = P はエンドを使うと ∫_cHom(Hom(c, -), Pc) = P と書くことができますが、実は P をコエンドを使って書く公式も知られていて、余米田の補題(coyoneda lemma)と呼ばれています。
2016-05-01 04:35:27ところで、alg_d.comではエンドはあんまり出てきてないと思います。というのも僕は #全ての概念はKan拡張である と思っていて、Kan拡張を基本として圏論を組み立てたいからです。(エンドの割合を今より増やしたような書き方もできると思います。)
2016-05-01 04:40:56ところが、「豊穣圏」を考えると話がちょっと違ってきます。豊穣圏とは、Homが集合ではなく、良い圏 V の対象になっているような「圏」をいいます。アーベル圏はHomがアーベル群になっていますが、ああいうのです。
2016-05-01 04:41:59Hom(c, d)∈Vとなるような豊穣圏をV-豊穣圏といいますが、例えば圏はSet-豊穣圏と考えられるので、豊穣圏論は圏論の一般化と考えられます。
2016-05-01 04:44:18良い圏 V を固定し、C, D をV-豊穣圏としたとき、関手の一般化である「V-関手」や、V-関手の間の「V-自然変換」も、もちろん考えられます。
2016-05-01 04:44:58さて、通常の圏と同様、「関手圏」を考えたいわけですが、これの定義は自明ではありません。というのも、V-関手を対象、V-自然変換を射とすれば、関手「圏」Fun(C, D)が定義できますが、そうではなく、V-豊穣圏にしたいからです。
2016-05-01 04:46:27そこでエンドを使います。通常の圏では Hom(F, G) = ∫_cHom(Fc, Gc) だったので、V-豊穣圏C, Dに対して、V-豊穣圏 [C, D] を ・V-関手を対象とする ・Hom(F, G) := ∫_cHom(Fc, Gc) により定義できます。
2016-05-01 04:48:11