名古屋の人気シンボル「ナナちゃん人形」を17年間撮影し続けている現地ライターの思いを聞いた

名古屋でナナちゃんを知らぬ者はいない
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名古屋駅から程近い、名鉄百貨店にたたずむ「ナナちゃん人形」を撮影した49種類の画像がX(Twitter)で話題だ。

ナナちゃん
さまざまな衣装のナナちゃん人形を定点観測

「ナナちゃん人形」を撮影したのはライターの大竹敏之(@bakaruto)さん。Xに投稿された画像には水着やワンピースなど、オシャレなファッションに身を包んだ49体のナナちゃんの姿が写っている。大竹さんは2006年からナナちゃん人形を撮影し続けており、画像はその一部。所有者である名鉄百貨店からも「いついつ(撮影時期)の写真持ってないですか?」と問い合わせが入ることもあるという。

投稿を見たユーザーからは「所有者から問い合わせあるのすごい」「さすがです」など、地道に継続された定点観測を称賛する声が寄せられている。

ナナちゃん人形を撮影し始めたきっかけや思い出に残っているナナちゃんなど、大竹さんに詳しく話を聞いた。

「ナナちゃんは世界でも類をみないソーシャルアート」

ナナちゃんを撮影し続けることになったきっかけを教えてください。

2006年にWebガイドサイト「All About」の名古屋ガイドを担当することになったのがきっかけです。

名古屋の観光情報を発信する中で、随時衣替えをするナナちゃん人形も、訪れる人の目を楽しませるコンテンツのひとつになると考え、「ナナちゃん人形コスプレコレクション」と題した更新型の記事を、翌2007年から毎年アップすることにしました。

「All About」の記事は2019年まで続け、以後はXで最新の衣装をアップしています。

今まで撮影した中で、印象深かったナナちゃんを教えてください。

・あごがびょ~んと伸びて地面を突き破る(2014年)

・60周年の感謝をこめておじぎする(2014年)

・セールの安さに興奮して鼻息をブシューッと噴射する(2016年)

これらはすべて衣装ではなくナナちゃん本体をイジった演出で、これができるのは名鉄百貨店の企画だけです。

2012年からはナナちゃん人形が一般企業広告用に解禁され、広告主がユニークな衣装を制作するようになり、名鉄百貨店も負けじとインパクト路線をどんどんエスカレートさせているのです。

特に「鼻息ブシューッ!」 はワイドショーにも取り上げられ、ナナちゃんの知名度アップのきっかけのひとつになり、印象深いです。

ナナちゃん
「アゴがのびた」「おじぎ」「鼻息がブシュー」と出たインパクト強めのナナちゃん(大竹さん提供)

私が撮り始めた頃はスマホ普及前だったこともあり、ナナちゃんにカメラを向けている人はほとんどいませんでした。一眼レフで撮影している私に対しても、冷ややかな視線が送られていたように記憶しています。

周囲の反応が変わったのはスマホ、SNSが一般化した8~9年前からでした。

ずっと見守って来たナナちゃんが注目されるようになったご感想は?

今では、話題性のある衣装の時には絶えず誰かがナナちゃんにスマホを向け、観光客や子ども連れがナナちゃんと同じポーズで記念撮影していることも珍しくありません。

撮影のためのベストポジションを確保するのに少々時間がかかるという悩みも生じていますが(苦笑)、ナナちゃんを名古屋のシンボル、アイコンと認めて愛着を感じてくれる人が増えてとてもうれしく思っています。

見て、撮って、ネットに上げて、時には衣装製作に参加することもできる(※毎年、地元の学生がデザイン・制作する衣装を身につけます)ナナちゃんは、世界でも類のないソーシャルアートになったと誇らしい気持ちです。

今後のナナちゃんにはどんなことを期待していますか?

名古屋駅ではリニア開通にともなう大規模な再開発計画が控えていて、駅前に立つナナちゃんの去就も不透明です。

しかし、多くの人のナナちゃんに対する愛着や関心が可視化されることによって、名古屋のシンボルとして守っていこうという気運も高まっていくはず。

ずっとスマートで美しく、そしてみんなを驚かせ、楽しませてくれるナナちゃんであることを願っています。

ナナちゃん
今後もナナちゃんの活躍が楽しみだ

誕生からすでに50年の月日が経ち「名古屋の顔」としての存在感を持っているナナちゃん。今後も多くの人から愛され、さまざまな表情を見せ続けて欲しいものだ。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。
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書いた人
みわんこ

東京下町出身の3人息子のママライター。アマプラと少女漫画とベリアル様(見た目)が好き。

Twitter:@miwancoo