「シェフが教えるペペロンチーノ」を「パスタは目分量」で生きてきた人間がレシピ通り真面目に作ってみたら

パスタ目分量同志の皆さん、試してみてください
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トゥギャッターオリジナル編集部のふ凡社です。

先日、社内で「ペペロンチーノが上手く作れない」という話が出た。

ペペロンチーノは、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子、塩だけで味付けするシンプルな料理。しかし、よく料理をする人ほど「ペペロンチーノみたいなシンプルな料理こそ難しい」と言うものだ。

私も自炊をする中で数々のパスタを作ってきたが、シンプルなペペロンチーノはどうやっても味がいまひとつ。「まぁ普通に美味しいんだけど、お店の味にはとうてい及ばない」という着地になってしまうので、「ペペロンチーノは素人が手を出さずに、店で食べたほうがいい」という認識だった。

いっぽうで、YouTubeやレシピサイトを見ていると「プロのシェフが教える本当に美味しいペペロンチーノの作り方」はたくさん出てくる。

「ひょっとして、”真面目に”やれば家でもお店みたいなペペロンチーノを作れるのか?」

ということで、改めてペペロンチーノ作りにチャレンジしてみた。

「真面目に作る」とは

「真面目にやれば」と書いたが、今回の企画はここがポイント。振り返ると、私はこれまでペペロンチーノを作る時にパスタや塩の分量をざっくり感覚で測っていたり、生のニンニクを使わずチューブで代用して工程をショートカットしたりと、細部をおろそかにして作っていたことに気付いた

今回は、全ての材料を妥協せず揃え、分量をきっちり測り、全ての工程を一切省かず、レシピ通りに作るのだ。

レシピはレシピサイト『クラシル』で公開されている、麻布十番のイタリアン『ピアットスズキ』のオーナーシェフ・鈴木弥平さんによる「アーリオオーリオペペロンチーノ」を参考にする。

材料は以下の通り。

材料(1人前)

パスタ(1.4mmを使用):80g

お湯:1000ml

塩(ゆで用):12g

ニンニク:10g

唐辛子(イタリア産):1本

オリーブオイル:15g

イタリアンパセリ(生)、塩:適量

パスタのゆで汁:大さじ2くらい

パスタ1人前ってさ

材料調達も妥協しない。ポイントはイタリア産の唐辛子だ。こちらは日本の鷹の爪に比べて小粒でかなり辛く、本場の味に近いペペロンチーノを作るためには欠かせない食材らしい。これは近所の店では見つからなかったので、Amazonで取り寄せましたとも。

70gで1400円くらい

ニンニク、イタリアンパセリもちゃんと生のものを用意。過不足なく材料を整えたところで、いざクッキング。

ニンニクもちょうどイタリア産のものが売ってて良かった

まずはパスタの計量から。私はいつもパスタを目分量で使っているので、きっちり測るのなんていつぶりだろうか。試しに「いつも作ってる1人前の分量がこれくらいかな?」という量をスケールで測ってみたところ、155gだった。嘘だろ!?

普通にこれくらいが1人前だと思っていたぜ

80gで測ってみると、その量はあまりにはかない。「こんなに少なくて大丈夫?足りる?」と不安になるが、今回はこの量でなくてはだめなのだ。

持った時の感触が華奢で、はかなげな量

とにかく忠実にレシピをなぞる

ニンニクを薄切りにする。ニンニク10gは測るとだいたい2片分で、こちらは逆に「1人前でこんなにニンニク使うんだ」となる。

ニンニクもちゃんとスライスする

フライパンにオリーブオイルとスライスしたニンニクを入れ、中火にかける。鈴木シェフいわく、火にかける前にニンニクを入れるのがポイントらしい。

ニンニクは最初から入れる

1分くらいすると、オリーブオイルがふつふつと泡を立てるので、唐辛子を軽く潰して種ごと加える。

辛いのが苦手な人は、種は入れなくてもいい

ニンニクがうっすら茶色に色づいて来たくらいでいったん火を止め、ニンニクと唐辛子に余熱で火を通す。ニンニクはすぐ焦げて風味が損なわれるので、余熱で火を通すくらいの塩梅がちょうど良いとのこと。なるほど、これまでは毎回軽く焦げるくらい火を通しちゃってたな。

いったん取り出すという丁寧さ

ふつふつが収まったくらいで、ニンニク・唐辛子をいったんフライパンから取り出し、キッチンペーパーの上で余分な油を落とす。またこの時、塩ひとつまみくらいをニンニク・唐辛子に振っておく。(この工程も、いつもなら絶対省いちゃってたと思う。)

この間にパスタを茹でる。茹で時間は表示時間よりも1分短め。また、同時にイタリアンパセリをみじん切りにしておく。

パスタが茹で上がる2分半前くらいになったところで、フライパンに残ったオリーブオイルにパセリを投入し、中火でさっと熱を通す。オイルがふつふつと泡立ったら(火をつけて20秒くらいでこうなるので注意)火を止め、フライパンを濡れタオルの上に置いて少し休ませる。オイルにパセリの風味をしっかりつけるのだ。

一瞬でふつふつするので熱しすぎ注意
濡れタオルで休ませるというワンポイント

パスタが茹であがったら、フライパンに投入して、中火でオイルと絡める。フライパン上でパスタを広げ、全体に塩をパラパラと適量振り(量は味を見ながら調整)、パスタのゆで汁を大さじ2くらい入れてさっと混ぜればOK。

ゆで汁の量も控え目に

本当に俺が作ったペペロンチーノなのか

お皿に盛りつけ、フライパンに残ったパセリ、ソースをパスタの上に注ぎ、最後に唐辛子、ニンニクをのせれば完成!!!

これが真面目に作ったペペロンチーノだ

完成した段階で、もうニンニクの香りの強さが全然違う。パスタのツヤもお店で出てくるそれにかなり近い。これは期待が高まる。

一口食べて、悶絶した。

「めちゃくちゃ美味しい!!!すげぇ!!!!!」

パスタの食感は少し歯ごたえを残して、ぷりっとしている。全体にニンニクの香りと、イタリア産唐辛子の強い辛さ、風味がしっかりと効いている。オリーブオイル、塩、ニンニク、唐辛子だけで作られたとは思えないほど複雑な味わいだ。

ふだん作るパスタは水分が多かったり、逆にすぐソースが乾いてもっさりなったりしがちだが、このペペロンチーノはオリーブオイルがしっかりと絡みつつも程よい水分量。お店で食べた時の感覚にかなり近い。いや、相当近いぞ。

あまりに美味しく、その後すぐに3回くらい作った。調理中気をつけるべき繊細ポイントはたくさんあるが、工程自体はシンプルなので、一度流れを頭に入れれば、以降は比較的さっと作れるのも良い。イタリア産唐辛子もまだまだ大量にあるから、これから美味しいペペロンチーノ作り放題だ。やったぜ。

これからは「ペペロンチーノ美味しく作れます」と言える人間に

「横着せず、レシピ通りにちゃんと作る」

当たり前だけどその実おろそかにしがちだった「料理の基本中の基本」に立ち返ることの大事さ・偉大さを、しかと思い出させてくれる体験だった。

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ふ凡社

Togetterオリジナル記事編集部員。平凡から非凡へ向かう道を探す男。

Twitter:@Hubonsya