法政大学・保井美樹先生「まちの継続性とは?・BIDの試みと日本のエリアマネジメント」

2012.4.3名古屋駅地区街づくり協議会での発表内容から木下がピックアップ。
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木下斉 / 「まちづくり幻想」日台韓中で発売中! @shoutengai

保井先生「米国では競争に参加できること=機会平等であり、いかなる人でも成功に向けた努力できることとして、良しとされてきた。都市政策においても護送船団ではなく、街が経営して競争するために、チームで競争に参画する方法を策定している。これをエンハンスするための制度の一つがBIDである」

2012-04-03 14:41:49
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保井先生「米国ではほとんどの州、都市で導入されている。イギリス、ドイツ、南アフリカはじめ世界的に広がっている。今日は特に大都市モデルとしてマンハッタンをベースに説明する。SOHO、DUMBO、SoBroなどマンハッタンでは様々な面白い地区が続々と登場している。」

2012-04-03 14:43:53
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保井先生「まちの変化を地区の人々が自ら取り組み、生み出している。価値の維持向上のための地区のイノベーションが発生している。そのキッカケは、2つあり、大規模再開発関係の計画軸、もう1つはアンカーの動き。具体的な規模は小さいが、それが連なり新たな展開を生み出すエリアに変貌するもの。」

2012-04-03 14:47:15
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保井先生「タイムズスクエアでは70年代のマンハッタン戦略、80年代UDC市共同の再開発計画、それ以降の民間開発に対する各種インセンティヴ、その後低迷期を迎え空洞化、92年にTimesSquareAlliance(BID)設立、民間開発が好調になり、2010に開発完了。」

2012-04-03 14:50:21
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保井先生「DUMBOでは、工場や倉庫などが荒廃、80年代から違法でアーティストたちが入居。開発提案を行い、その後開発承認、そして2006年にBID設立民間という流れ。民間主導型のこのような流れもある。」

2012-04-03 14:55:55
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保井先生「HARLEMについても変貌をとげている。かつて危険だと言われていたが、今はゴスペル観光などで賑わっている。60年代から人種問題で投資衰退、80年代にCDCの活動活発化、93年に125th Street BID設立。94年にエンパワーメントゾーン(税制優遇)の指定。」

2012-04-03 14:57:55
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保井先生「BID設立の背景は様々。政府行政主導、地元大手民間主導、中小の勝手に始めてしまうもの、行政民間のパートナーシップ、多様な方法から生まれていった」

2012-04-03 15:05:19
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保井先生「グランドセントラルは地元の地権者たちの発案で始まった老舗BID。年間事業費1200万ドル。ストリートスケープの整備、警備員(BIDではよくある取組みだが、アンバサダーと呼ぶのが普通)。」

2012-04-03 15:09:20
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保井先生「ハーレムは集められる事業費が86万ドルのため、警備員雇用とかはできないので、別のマーケなど。自分たちでできることをしっかりとやっていく。」

2012-04-03 15:09:29
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保井先生「BIDは州法で規定され、主として都市中心部の商業地に設置。法的には準政府的位置づけであるが、運営は民間。5年間のサンセットで実施され、再評価をして継続の如何を決定する。」

2012-04-03 15:14:16
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保井先生「行政だけでは対応不可能だが、民間だけでも難しい領域について、BIDが担っている。治安維持のための軽微犯罪防止もその一つ、公共空間のPrivateManagementなども。公共空間をBIDが利活用できるようにし、ファンドレイジング事業をやったりしている。」

2012-04-03 15:20:19
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保井先生「道路改修なども事前にBIDと協議して行政も動き、整備後に道路空間でのマルシェやフリーマーケットなどの展開が可能となり、事業収入を通じたファンドレイジングになっている。」

2012-04-03 15:21:08
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保井先生「BIDでは、まず基礎的にDistrict Management Association(DMA)が負担金の拠出者で構成されている。この負担金を運営するためのBIDのマネジメント組織を造り、理事会もあり、マネジャーやスタッフを雇用して必要事業展開を進捗する。」

2012-04-03 15:23:10
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保井先生「DMA(会社でいう株主、行政でいう納税者)に対して、役員・マネジャーたちは説明責任、結果責任がある。もし成果が伴わなけれは5年間の再評価の際に、BIDが解消される。」

2012-04-03 15:24:57
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保井先生「BID設立過程。計画策定、計画告知・パブリックミーティング、市に申請、合意確認、議会就任というプロセス。NY州では資産所有者の床面積割合で過半が賛成すれば、成立する。(この点の成立基準は、州や国によって議会承認にしたり、様々ではある)」

2012-04-03 15:27:49
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保井先生「負担者は基本的には資産保有者、徴収は市役所が資産税に上乗せ徴収、地域によって負担割合の算出などは異なる。」(木下)基本的には資産保有者による負担社受益を通じた、バリューアップ事業であるという位置づけ。ここの視点が重要。公益でもあるが、制度の基礎が共益という設定である。

2012-04-03 15:30:45
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保井先生「米国は公共サービスを特別区制度で重層的に作っている。目的に沿った特別区で負担者受益が基礎となっているため、日本のような一括徴収、再分配とは異なる制度設計になっているのも、このような取り組みの制度化が容易な背景でもある。」

2012-04-03 15:32:29
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保井先生「日本では補助金頼みのTMOのようなものがあったが、そのようなBIDは存在していない。日本においても再開発を契機に公物管理に踏み込んだ汐留、地域課題の共有でマネジメント組織の設立へ動いている大丸有、博多、名古屋、札幌などなども出てきている。」

2012-04-03 15:34:12
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保井先生「日本においては、名古屋のようにこれから立替開発などが相次ぐエリアでは、開発後に共に資産価値を高めていくための取組み。共同投資としてのフレームが考えられる。これが行われることで、必要な人材を雇用していくこともできるだろう」

2012-04-03 15:38:36
木下斉 / 「まちづくり幻想」日台韓中で発売中! @shoutengai

保井先生「過去BIDの導入議論はあった。2006年に北谷町から国に構造改革特区でBID特区を申請したが、特区なしで実施可能という判断が下されている。国として資金調達を含む地区管理事業組合の制度も持ち上がったときもあるが、収束。地区運営組織の認定と法定外目的税または分担金という道」

2012-04-03 15:40:23
木下斉 / 「まちづくり幻想」日台韓中で発売中! @shoutengai

保井先生「負担者自治のモデルをいかにして作るか。意思決定の自治と財政的効率性を共に尊重。またインセンティヴとしてTax Increment Financing(TIF)の利活用もある。」(木下)TIFは開発によって生じる増加分固定資産税を減免、もしくはその周辺地区に投下する制度。

2012-04-03 15:44:12
木下斉 / 「まちづくり幻想」日台韓中で発売中! @shoutengai

保井先生「TIFは単に再分配的に補助金ではなく、自らの地区で民間投資で生じた増加分の固定資産税をさらなる発展に活用するモデル」(木下)自ら生み出すインセンティヴを造り、その一部を再投資してさらに成長させるもの。結果として、より多くの固定資産税を将来的に自治体は獲得できる可能性。

2012-04-03 15:45:05
木下斉 / 「まちづくり幻想」日台韓中で発売中! @shoutengai

保井先生「様々な社会実験も、今後は継続的に支えるためのBIDのような負担金と受益のモデル。今後に期待している」(木下)地域ガバナンスは、皆で原資を出し合い、成果を着実に産み出していくことが重要。過去の徴収分配モデルとはことなる、アプローチが重要度を増している。

2012-04-03 15:47:44