「地球外生命体感すごい」エイの美しい骨格標本を作った人に制作の苦労を聞いてみた
骨格標本を作りTwitterに投稿している、いのししの人(@hunterfigskate)さんが公開した、アカエイの全身骨格標本が注目を集めている。
アカエイの全身骨格標本
2年ぐらいずっとエイの骨格標本試行錯誤しててやっと綺麗にできたから見て。
地球外生命体感すごい https://t.co/VwIT3BWHPD
— いのししの人 (@inoshishinohito) 2022年2月26日
骨だけになると一気に「地球外生命体感」が増すエイの姿。エイの中身ってこんなになってたんだ!
エイは軟骨魚類。軟骨動物の骨は非常にもろく(おつまみでおなじみのエイヒレを、普通に噛んで食べられることからも分かると思う)、骨格標本にしようと思うとかなり難易度が高そうだ。実際いのししの人さんも、2年くらいかけて試行錯誤した結果ようやく完成にこぎつけたという。
ふだんあまり見る機会のない貴重な骨格は、眺めていて飽きない不思議な魅力がある。見た人からも「軟骨魚類をこの精度で…しゅごい」「こうして見ると毒針が特出して発達してるのがわかるねえ」といった反応が寄せられた。
詳細が気になったトゥギャッチ編集部は、いのししの人さんに制作の様子を聞いてみた。
骨格標本をつくり始めたきっかけを教えてください
昔から生物が好きで、博物館などで見かけるたびに感動してました。骨格標本を初めて作ろうと思ったのは高校生のときです。
当時参加した学会で、ビンに入った千円くらいの透明骨格標本を購入し、飾ってるうちに「こういったものを自分でもつくってみたい」と思うようになりました。
透明標本は薬品をたくさん使うため難易度が高そうでしたが、骨格標本なら作れるのでは?と思ったのです。
いのししの人さんは、エイ以外にもさまざまな動物の骨格標本を作って公開している。
やっとできたーーー!!!
友人が釣ってきたイシガキフグの全身骨格標本
骨にするとすごく面白い
強そう https://t.co/myVMvsyGsj
— いのししの人 (@inoshishinohito) 2021年11月2日
エイの標本づくりは3週間くらいかかる
エイの骨格標本づくりで苦心したポイントを教えてください
軟骨魚類は骨の中の水分が多いため、肉をとったあと普通に乾燥させると大きく収縮、変形してしまいます。
また骨自体が非常に脆いので耐久性の課題もありました。
いっぽう、ほかの魚類と異なってパーツが少なく比較的単純な構造だったので、その点は作る上で楽でしたね。
エイの骨格標本をつくるのに、どれくらいの時間がかかったのでしょうか
3週間くらいですね。(乾燥や薬品に漬ける時間を除き)実際に手を動かして作業するのは10時間くらいです。
標本化に挑戦する動物は、どんな基準で決めているのでしょうか
釣った魚や、狩猟で駆除された生物、人から依頼されたものなどを作製してました。エイのように、文献など調べて「こんな構造してるのか!?」という驚きがあったときには、自分で選んで挑戦しています。
これから新たに挑戦してみたいと考えていることはありますか
文献などにも載ってないような、学術的に貴重な骨格標本を作って発信していけたらと思っています。
これから骨格標本づくりに挑戦する人への、アドバイスや注意点などあれば
アセトンやエタノールなど、揮発性の高い薬品も多く使うので取り扱いには注意が必要です。
自分もそうでしたが、最初はなかなかうまくいかず、長時間作業になるので途中で投げ出したくなります。最後まで完成させることが最初の大きなハードルかと思いますので、根気強く楽しみながら続けていただけたらと思います。
いのししの人さんの骨格標本作りの様子は、YouTubeチャンネルでも見ることができる。エイをはじめ、美しい標本がどのような工程を経て作られているのか気になった人は、ぜひチェックしてみては。