結婚式で新婦からの手紙を「学会発表風」に読み上げた花嫁に注目 研究者夫婦ならではのユニークな門出を聞いた

データは私!
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結婚式で、新婦から両親への感謝の手紙の読み上げを「学会発表風」に行ったという報告がX(Twitter)で話題だ。

それではこちらをご覧ください

結婚披露宴会場でドレスに身を包んだ新婦が提示した先には「本研究の目的」とつづられたスライドが。来賓のはスライドを見上げており、その様子は学会の発表のよう。新婦が両親への手紙を読み上げている姿だとは想像できない。

投稿した新婦のれご@機械学習ネキ(@FluffyHernia)さんと新郎さんは、二人とも研究職。実際に研究発表を経験してきた二人ならではの演出だったようだ。

投稿を見たXユーザーからは「表情まで学会発表っぽいのが最高」「素人質問が飛んできそう」といった反応が寄せられた。

二人の門出を祝うつもりでやってきた家族や来賓の方々は、この演出にどんなリアクションを見せたのか? れご@機械学習ネキさんに、詳しい話を聞いた。

手紙を読んだら泣いてしまいそうで、楽しい伝え方に

「学会発表風の新婦からの手紙」はどのような経緯で行ったのでしょうか

新婦からの手紙を学会発表風にしたのには、二つ理由があります。

まず一つは、結婚式の参列者には大学院を卒業した技術者や大学教授などの学会経験者が多く、面白いと思ってもらえると感じたからです。

もう一つの理由は、手紙を読んでいる最中に私が泣いてしまうのが恥ずかしかったので、「いっそのこと私が泣かない方法で楽しい気持ちのまま両親に想いを伝えよう」と思ったからです。

ちなみに、当日用意したスライドのタイトルは『人生を楽しんで歩んできたことについての研究報告』。実際に使われた資料は6ページに及び、一般的な研究発表スタイルにならって行ったそう。

実際に使用したスライド資料。家族や友人ら専門家(?)に発表するのにぴったりな研究内容 (画像提供:れご@機械学習ネキさん)

どのような発表を行いましたか?

目次の時点でもう面白い (画像提供:れご@機械学習ネキさん)

・目的…私(新婦)が幸せな人生を送ること

・手法…両親が私にどのように接して、またどのように育ててきたのか

・結果…上記を両親が実践したおかげで私がどのようなことに興味を持ち、どのような人生を歩むことができたのか

・まとめ…両親への感謝の言葉

・今後の展望…今後は夫と一緒に実家にもよく顔を出し、夫と楽しい家庭を築き、夫も一緒になって新しい思い出を作っていく

という内容です。

また、新婦の手紙(発表)の後に、新郎挨拶用にも謝辞スライドを用意しておきました。新郎新婦二人のスライドを合わて一つの発表が完成するようになっています。

写真資料も貼付され、非常に分かりやすい発表となったことであろう。 (画像提供:れご@機械学習ネキさん)

新婦様のご両親・参列者からの反応はいかがでしたか?

私は子供の頃から人とは違うことをやりたいタイプだったので、両親は披露宴でも私が普通とは違うことをするだろうと思っていたようです。実際にプレゼンテーションが始まると「そう来たか!」と思ったそうです。

他にも両親からは、「プレゼンはうまくまとまっていて資料もあるので分かりやすかった」「文字に起こされるとこっぱずかしかった」とのコメントをもらいました。

会場の皆様からは嬉しいことに笑みがこぼれていました。また参列者の中には、自主的にベルを鳴らす方もいらっしゃいました。(一般的には学会では発表終了時間を知らせるベルが鳴ります。)こちらでも笑い声があがっていました。

学会発表風の新婦からの手紙のほかにも、れご@機械学習ネキさんの披露宴では一風変わった演出をしており、それらもXに投稿されている。たとえば、ウェディングケーキは「H-llAロケット」をイメージしたものだったそうだ。

ウェディングケーキがH-llAロケット※

※JAXAが打ち上げ安全監理業務を行う日本の衛星打ち上げを担うロケット。

発射するかのような点火

ケーキをH-llAロケットにしたのはどのような由来からでしょうか?

現在、夫婦の研究分野はそれぞれ異なりますが、元々私達は大学の航空宇宙工学専攻のクラスメイトでした。

私達自身が宇宙好きであるのはもちろん、話題のSLIMにも深く関わっている恩師の先生方や同じ専攻のクラスメイトも多く招待するなど、参列者の多くが宇宙好きだったこともありH-llAロケットの形にしました。 

※JAXAによる日本の無人月面探査機・着陸機。2024年1月20日に日本初となる月面着陸かつ史上初となるピンポイント着陸に成功した。

また、他の演出の一つとしてはJAXAのロケットの発射カウントダウンのアナウンス音源を自分たちで録音して用意しておき、エンジン点火のタイミングに合わせてケーキの下に仕込んだドライアイスの煙が噴射するようにし、発射タイミングに合わせてケーキカットを行いました。

同じ宇宙工学好き・研究職という特徴をふんだんに盛り込んだオリジナルの披露宴。同じ学会研究者仲間や、一緒に人生を歩んできた新婦の共同研究者(友人やご家族)に見守られ、今後の展望として語られた未来が達成されることを祈ってやまない。

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書いた人
中野ようす

野生のフリーライター。本とお笑いを摂取し日陰で眠り、たまには濡れた犬の匂いが嗅ぎたい。Twitter:@nakano_books